百田尚樹の小説がベストセラーになるのは面白いから
出版不況で本が売れない時代に、そんなものどこ吹く風といったように、出す本がことごとくベストセラーになるのが百田尚樹という作家です。
永遠のぜロ、海賊と呼ばれた男、夢を売る男、など、いちいち本の題名を挙げるまでもなく、ここ数年間に出した本のほとんどが何十万部という売り上げを記録する大ベストセラーになっているのです。
ベストセラーと言っても又吉直樹(こちらもなおき)の「火花」のように話題だけが先行し、中身が伴わないものもありますが、百田尚樹の作品はテーマ,ストーリーともに優れていて読んで非常に面白いのです。
ベストセラーが続いているのも、この面白さによるものに違いありません。とはいえ、次々と絶え間なく出す作品が、なぜこれほど売れ続けるのでしょうか。
その答えは、ズバリ百田尚樹という作家に並々ならぬ才能があるからです。
言い換えれば百田尚樹は天才作家と言っても決して過言ではありません。本が売れるということは、読者を惹きつけることができるからです。何が読者を引き付けるのか、というと、いうまでもなく作品のおもしろさです。
百田尚樹はなぜ面白い本を書き続けることができるのか
では百田尚樹氏はなぜ面白い本ばかり書き続けることが出来るのでしょうか。それは彼が卓越した文章センスを持っているからです。
文章センス、これはよく聞くことばですが、いったいどんなことを意味するのでしょうか。文章が上手なこと、文章をたくさん書けること、文章を速く書けること、などいろいろあるでしょうが、これらだけでは的を得ているとは言えません。
もう一つ大事なものを付け加えなければいけませんが、それは「読者を惹きつける文章が書けるること」ではないでしょうか。
いかに上手にたくさんの文章を速く書けても、読む人をしっかり惹きつけなければ、継続した読者を獲得することはできません。そうなると出す作品がことごとくベストセラーになることはありません。
百田尚樹氏の出す本がベストセラーを続けているのは、この作家に卓越した読者を引き付ける力があるからです。惹きつける力というのはいうのはたやすいことですが、実際に読者を惹きつけることは簡単にできることではありません。前述したように、読者を惹きつけるためにもっとも大切なのは内容のおもしろさです。「おもしろさ」これもまた簡単に作れるものではありません。読者が面白いと感じるのは、「なるほどなあ」と納得できる説得力であったり、ハッとさせられるような新鮮な言葉遣いであったり、また、「こんなこともあったのか」と思わせるような、な満足感などで、読者はこれらをトータルしておもしろさを測るのです。これらの点からみて、百田尚樹氏の作品のほとんどが読者のおもしろさの尺度を満足させてくれるのです。特に説得力という点は抜群で、どこを読んでも、おもわず「なるほどなあ」とうなづいてしまうほどです。説得力とはすなわち人を惹きつける力です。この作家こそ、まさに人を惹きつける天才なのです。
これほどの説得力を持ち合わせていれば、この人は作家以外のどんな道へ進んでも大成功を収めることができる人に違いありません。
百田直樹は人を惹きつける天才
このブログを書く前に、氏の作品の一つ「夢を売る男」を読みました。この作品はジョイントプレスという方法で、素人が書いた本を世に出す三流出版社の編集長を主人公にしたものです。三流出版社と言え、この編集長の辣腕ぶりにはすっかり感心してしまいます。編集長とはいえ、本の編集力だけでなく、営業力も抜群で、客のことごとくを説得して大金のかかる本の出版に同意させます。また次々に降りかかってくる客からのクレームを見事に片づけてしまいますが、そのスマートさはほれぼれするぐらいです。これこそが読者を惹きつける力なのです。
百田尚樹という人は、天才作家という前に、人を惹きつける天才といったほうがふさわしいかもしれません。これこそが次々とベストセラー小説を書き続けることができる真の理由なのではないでしょうか。
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