2026年10月15日木曜日

T.Ohhiraエンタメワールド〈7〉進次と和子の青春グラフィティ(14)

 

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         14

 その日和子は、午後最後の色彩学の授業を終え、帰りにいつも寄るスーパーで夕食のための買物をして、四時過ぎにはもう下宿に戻っていた。通っている服飾専門学校は下宿から自転車で七~八分くらいのところにあり、距離としては小さい頃通っていた小学校や中学校などと大差はなかった。

でも近すぎることは和子には不満だった。できたら、例え一駅でもいいから電車に乗って通学してみたかった。沿線には多くの女子大があって、朝、駅へ向かって颯爽と歩いている女子大生の姿を目にするときなどは、「あーあ、私も試験に通っていたらなあ」と呟いて、溜息ついたりすることも時にはあった。

 だがそんなときには、すぐ後で、「仕方ないか、わたし勉強あまり好きじゃなかったのだし」と考えて、くよくよしたりはしなかった。ただ今の専門学校は高校時代に比べて宿題などもうんと少なく、ましてや受験勉強があるわけでなく、時間的にはすごく余裕があって、時としては時間を持て余し気味に感じることさえあるので、そのことを少し厄介に思っていた。

だったら、せめて夕方の二~三時間でもアルバイトに当てたら、と考え、これまでそのことを何度か母親に話したのだが、「二十歳過ぎるまで仕事はダメ」と反対され、これまでアルバイトは一度も経験したことがなかった。


 和子の実家は白壁の町並みで有名な隣の県の倉敷市の玉島という町にあり、おじいさんの代からカマボコ工場を営んでおり、金持ちとは言えないまでも、まず裕福なうちに入っていて、和子に対する毎月の仕送りにしても、他の多くの友人たちに比べると随分余裕をもった金額だった。

でも和子は決して浪費家ではなく、それどころかむしろつつましく暮らしていると言ったほうがよく、余ったお金はすべて貯金に回しているため、去年の四月以来九ヶ月余りで、銀行の通帳にはもう六十万円以上貯まっていた。


 毎日自転車で学校と下宿を往復するだけで、月一度か二度、隣部屋の紀子と神戸の三宮へ出て、ちょっと遊ぶ程度で、下宿代を除き、食費と少しの雑費以外にお金を使うことはほとんどなかった。

では洋服代はといえば、少なくとも二ヶ月に一度は自宅に帰っているので、その際母親と一緒に倉敷のデパートへ出向き、気に入ったものがあれば、すべて母親が買ってくれたのだ。だからたまには自分自身でパアッとお金を使って見たい気もして、進次とデートした時だって、「わたしにも払わせてください」と申し出たかったのだが、その場でも母親の口癖である「男の人は立てるものよ」と言うセリフが脳裏を掠め、つい気後れして言い出せなかったのだ。

 ―でもこの次のデートでは、なんとしても私が払おう― 進次との二度目のデートの後、和子はそんなことを考えていた。


 それにしてもおかしいわ。二回続けて一夜を共にしたのに、なんにもなかったなんて。年頃の男と女でこんなことってあるのかしら。

進次さんが二十一でわたしが十九、悪い言葉で言えば盛りのついた年齢なのに。初めての夜は神戸のホテル。進次さんが「なにもしないから」って言い、わたしが「ほんとになにもしない?」って聞き返して、その結果泊ることにしたのだけど、ほんとう言えば、わたし微かに期待してたんだ。


ああ言ったのは一種の照れ隠しで、お互いに何もなくすむとは思っていなかったはずだわ。

でも進次さん、ホテルを出るとき一度キスをしただけで、後は何もしなかった。あれだと港での長いキスはいったい何だったのだろう。


それに私の下宿に来たときには、コタツの中で抱きしめられたときも、もう悪酔いはすっかりさめていて、キスしながら心地よさで天にも昇るような気がして、さあこれからだわ、と思って、次の展開を凄く期待してたのに

進次さんたら胸で私の乳房を強く圧迫しただけで、「悪酔いがぶり返したらダメだから」と言って、それ以上は何もせず、二人ともいつの間にか寝てしまっていたのだわ。


よく分からないけど、あんなことってあるのかしら。ひょっとして私に魅力がないからなのだろうか。

いや、そんなはずないわ。バストだって九十近くあるんだし。


つづく

次回10月22日(木)


2026年10月13日火曜日

下の文章 トリプルバインドの使い方は正しいか?

 




しかし夫は、「そもそも、靴と服を買う事はおろか、水曜日に新宿に行く予定すら聞いてなかった」 「後から追及されるのと、事前に言うのとどっちがストレス少ない?」 「報告が遅れてごめんなさい、と何故言えないの?」 とトリプルバインドしてきました。

                           


                                                                                                


  発言小町 2026/10/13



AI による概要

トリプルバインド(Triple Bind)は、文脈によって主に2つの意味で使われます。 [1, 2]


1. 心理学・ビジネス・恋愛における「3つの選択肢」による誘導話法

相手に何かを提案するとき、3つの選択肢を用意するコミュニケーション手法のことです。 [1]

  • 背景にある仕組み:

    • 選択肢が2つ(ダブルバインド)だと「AかBか」の消去法になりやすく、どれも本心ではない場合に断られやすくなります。

    • 選択肢を3つにすると、人は「その中から自分に合うものを選ぶ」という意識になりやすいため、提案を受け入れやすくなると言われています。 [1, 2]

  • 具体例(デートの誘い方など):

    • 「今度ごはんに行きませんか?(YES/NOの2択)」ではなく、

    • 「来週の平日、再来週の土曜、今月の25日のうち、どれが都合いい?」のように、「一緒に食事に行くこと」を大前提(スケジュール等の3択)に忍ばせる手法が使われます。

    • 営業やプレゼンでも、3つのプラン(松竹梅など)を提示して相手の満足度を高める方法として応用されます。 [1, 2, 3]


2. 社会学・ジェンダー論における「三重の拘束(過酷な矛盾する期待)」

社会や組織の中で、同時達成が不可能な3つの矛盾するプレッシャー(期待・規範)を同時に突きつけられる状態を指す言葉です。 [1]

  • 具体例(現代の女性や働く人へのプレッシャーなど):

    • 例えば、「家庭では良き母・良き妻であれ」「職場ではバリバリ成果を出す優秀なリーダーであれ」「常に若く美しく魅力的な女性であれ」といった、すべてを100点で両立することが不可能な3つの役割を同時に求められ、どれを選んでも身動きが取れなくなる心理的・社会的な閉塞感を表現します。 [1, 2]


2026年10月10日土曜日

アジアはIQが高い国が多いのになぜ日本以外はノーベル賞が取れないのか


    

2026年度 国別 IQランキング


 順位     国名            平均    標準  クロンバック

           IQ    偏差    α係数






1

日本

112.29

12.36

0.83

2

中国

111.35

15.87

0.86

3

台湾

111.19

11.63

0.80

4

ハンガリー

111.13

14.34

0.85

5

セルビア

110.76

16.73

0.87

6

イタリア

110.68

15.97

0.86

7

韓国

110.66

14.44

0.84

8

イラン

110.15

14.08

0.84

9

香港

109.59

13.19

0.82

10

フィンランド

109.21

18.94

0.88


ノーベル賞発表の季節ですが、今年も例年のように受賞者は日本の他ではアメリカを筆頭に欧米の独占になるのでしょうか。


そこで気になるのは、ノーベル賞は当然頭が良い人が受賞者になるのですが、頭がいいといえばIQの高さです。でも上の表のとおり、日本をはじめアジアでIQが高い国は多いのですが、そうした国で日本以外でノーベル賞受賞者が出ないのはなぜなのでしょうか。


この問題についてAIに訊いてみました。



AI による概要

アジア地域、特に東アジアは平均IQが高いとされる国・地域が多い一方で、欧米に比べて自然科学分野などのノーベル賞受賞数が少ない背景には、「知能の高さ(IQ)」と「科学的ブレイクスルーを生む環境や文化」の違いがあります。 

岐阜聖徳学園大学 +3

主な理由は以下の通りです。

1. 基礎研究への歴史的・経済的蓄積の差

  • 歴史の浅さ: ノーベル賞(特に科学部門)は、数十年前の基礎研究の成果が評価されることが多く、近代科学の蓄積や研究インフラが欧米に比べて歴史的に浅い。 

  • 経済的背景: アジア諸国の急激な経済成長や大規模な研究開発投資(R&D)は比較的近年のものであり、成果が受賞につながるまでにはタイムラグがある。 

2. 文化・社会構造と「好奇心(オープンネス)」

  • 同調圧力と集団主義: アジア圏では伝統的に集団の調和や協調性が重視されやすく、個人の独創性や既存の枠組みを疑う「開放性(Openness)」や、あえて異端な道を歩む individualism(個人主義)が抑えられやすい傾向がある。 

  • 「異端・失敗」を許容しない環境: 失敗を恐れず誰もやっていない未開拓分野に挑むボトムアップの好奇心(因子q)や、失敗に寛大なファンディング(研究資金)制度が十分に根付いていない国・地域が多い。 

3. 教育システムの違い

  • 「答えのある試験」への強さと応用力の違い: アジア諸国(日本、中国、韓国など)は、学校教育やテストのスコア、IQテストで測られる処理能力や記憶・論理思考の面で非常に高い水準を誇る。 

  • オリジナリティの課題: 一方で、既存の知識を効率よく習得・処理する能力と、誰も気づいていない科学の真理をゼロから見出す「独創的な問いを立てる力」は別であり、減点方式の教育やトップダウン型の管理体制がそれを阻害することが指摘されている。









2026年10月8日木曜日

T.Ohhira エンタメワールド〈7〉進次と和子の青春グラフィティ(13)

 

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                                     13

 進次が気がついたのは外が白み始めた次の朝の六時前だった。和子が皮をむいてくれたミカンがとても美味しくて、続けて三つも食べ、それから二人で横になってどちらからともなく抱き合って、唇が痛くなるほど長い間キスをして、セーター越しに伝わる和子の柔らかな乳房の感触に思い切り下半身に血をたぎらせたた進次だったが、やっとの思いで我慢して、それ以上は何もしなかった。


男として願ってもないチャンスを逃したと言えば言えなくもなかったが、ここで彼女を興奮させたりすると、せっかく治まった悪酔いが、またぶり返すのではと心配したからで、必死の思いで襲いくる衝動を抑えたのだ。

 覚えていたのはそこまでで、二人ともいつの間にか寝てしまっていたのだ。 


 窓から入る光はまだ弱々しく、表情こそよく見えなかったが、すぐ隣で寝ている和子の心地良さそうな寝息の音だけが微かに聞こえていた。

 ―六時か、どうしよう、このままそっと帰ろうか。こんなに早く起こすのもかわいそうだし― 


そう思って、進次が起き上がろうと身体を動かしたとき、足が当たったのかコタツが音を立てて揺れ、そのせいでか和子が寝返りを打ったが、さいわい目は覚まさなかった。


 昨夜和子が言ってたように、隣の部屋からほんの微かだが、ラジオの音が聞こえていた。

 ―のりちゃんて言ったな、隣の友達。あの後帰ってきたんだ― 

 つい今しがた、このまま帰ろうかと思った進次だが、ふと鍵のことに気がついて、女性の部屋を開けっ放しにするのはまずいだろう、と思い、やはり和子が起きるまで待っていることにした。

 でもそんなことを考えていたのもつかの間で、いつの間にかまた寝てしまい、次に目を開けたのは和子に肩を揺すられたときだった。


 耳元で、「進次さん。進次さん」という声が聞こえ、顔に甘い香りの息がふわっとかかるのを感じて、パッと目を開くと、すぐ上に和子の顔があった。

 昨夜とは打って変わったすっきりとした爽やかな顔色で、もう随分前から起きていた様子で、口紅さえつけていた。


 「あれっ、ぼくさっき起きていたはずなのに、どうしたんだろう。起こされたりして」

 「いま七時少し過ぎたところよ進次さん。学校が始まるまで時間はまだ充分あるわ。起きてコーヒー飲まない?」隣の部屋への気遣いからか、少し声を殺しながら和子が笑顔で言った。

 進次はすぐ「うん」と返事はしたものの、なぜだかさっき目覚めたとき以上に頭がぼんやりしていて、今の状況がはっきり分からなかった。

 少したって、ようやく昨夜からのことについて記憶が戻ってきたとき、「できたわ。進次さん」と言って、和子がコタツのテーブルの上にハムエッグと野菜サラダとロールパンを運んできた。


 それまで気がつかなかったが、和子は花柄のプリント模様のエプロン姿で、昨夜とは打って変わったいでたちであった。朝早くから起きて、口紅つけて、エプロンして、こうして朝食まで作ってくれている。そんな和子が進次にはとても健気に思えた。


 起き上がった進次を見て、和子はコーヒーをカップに注いで、「はいどうぞ」とすぐ前に置いた。

学校へ行く前に喫茶店のモーニングサービス以外は、まともな朝食など、このところずっととったことのない進次にとって、これはまさに感激ものであった。

 時計を見て、時間はまだ充分ある、と確認すると、ハムエッグとサラダはもちろん、ロールパン三個も平らげてしまい、おまけにコーヒーのお変わりをして、三十分くらいたった八時近くになって、やっと立ち上がって帰り支度にとりかかった。


 昨夜和子の悪酔いがあったため、こうして彼女の下宿までやってくることができて、思いがけず一晩一緒に過ごすことができたうえ、おまけにこんなに美味しい朝食までごちそうになった。、ほんの少しだけ、心残りのことがあったとはいえ、進次にとってはまさにばら色とも言ってもいいようなすばらしい一日であったのだ。


 木戸の内側で手を振って和子と別れ、外へ出ると、このところ見せたことがなかったほどの、すこぶる力強い足とりで、進次は駅のほうへ向かってスタスタと歩いて行った。


つづく

次回10月15日(木)


2026年10月6日火曜日

書籍販売会社に勤めていた頃の 「一軒の訪問先で1日36万円分の書籍を売り上げた話」

36万円分の書籍はこれくらい(当時の価格)

   平凡社「世界大百科事典」

   小学館「原色日本の美術」

   筑摩書房「日本文学全集」



図書販売会社に務めていた頃、コープ(生協)の外商セールスで1日36万円売り上げて成績トップになった


本が売れない今の時代に「一人で1日に36万円もの書籍を売り上げた」と聞けば、まるで嘘のような話に思えます。でもこれは本当の話です。


今から40年ほど前の日本がいわゆるバブル時代前期に入った頃のことで、その頃破竹の勢いで業績(売上)を伸ばしていたある図書販売会社に勤務していたときのことです。


これはそこで毎年1回行われていた幹部社員販売コンテストに参加したときのお話です。


コンテストには地域営業所幹部 総勢21名が参加した


会社は学校や官庁などの職域を得意先とする図書販売会社でした。営業社員として入社したのですが優秀な営業成績を認めてくれたのか1年半後に営業所長に抜擢されました。


営業所は大阪環状線の野田駅近くにありました。


確か所長になって3か月ぐらいたった時だったと思います。


毎年1回夏の終わりごろ行われているという恒例の「幹部社員売り上げコンテスト」というのがあって、地域責任者の部長から私に参加要請の連絡が入りました。


参加するのは地区の営業所長及び営業主任で15営業所から総勢21名が参加すると聞きました。


コープ(生協)の得意先を担当者と同行販売


で、どこでどのように販売するかといえば、さすが幹部のコンテストだけあって、訪問先も優遇されており、大阪府下豊中市でコープ(生協)の担当者動向でその得意先がターゲットでした。


地域にもよりますがコープの得意先といえば、比較的上流家庭が多く経済的に余裕があるだけでなく、いわゆるインテリ層が少なくないため本好きな人が多いと見込まれ売り上げが期待できるのです。


とはいえ今回のコンテストは参加者する幹部社員の力だけでは成績は測れません。それ以上に大事なのが同行してくれるコープの担当者の力量が問題なのです。


つまりその担当者がいかに良い顧客(高額な書籍を購入してくれそうな)を抱えているかどうかに命運がかかっているのです。


ということは運に左右されることが大きいのです。


取扱商品がすべて全集なのが高額販売につながる


この書籍販売会社は「家庭の図書室づくり」というのをスローガンにしており、1冊単位の本を販売するのではなく、取扱商品はすべて百科事典、文学全集、美術全集などのいわゆる「全集もの」に限られていました。


それ故に金額も張り、低額でも1セット数万円以上で、百科事典など10万円を超える高価格のものも少なくありませんでした。


顧客として生活に(お金に)余裕があるコープの得意先などは格好のターゲットと考えられるのです。


レベルで言えば、デパート外商部の顧客より少し下ぐらいではないでしょうか。


とはいえ、同行する担当者によって成績は左右されることが予想できます。


つまり、上でも述べたように担当者がいかに良い顧客を抱えているか否かが大きな問題なのです。


同行のコープ担当者のおかげでコンテストでは見事トップに輝いた


いよいよコンテストの結果発表になりますが、運も幸いして、なんと私はトップの成績を納めることが出来たのです。


売上金額は総額36万円に達しており2位に10万円以上差をつけたダントツトップでした。


でも残念なことは、これは決して私一人の力によるものではなく同行してくれたコープ担当者のおかげなのです。


販売に訪れた先は3軒だけで、午前中訪問した二軒は主人が不在で奥さんだけで商談になりませんでした。でも午後おとずれた3軒目にとんだラッキーが飛び込んできたのです。


担当者から事前に教えてもらっていたのですが、その訪問先はご主人が医師で数か月前に引っ越してきたばかりの新築の分譲マンションでした。


前回注文取りで訪問した際、雑談中に奥さんが「リビングが殺風景なので何か飾るものが欲しい」と言っており、それ故に本を揃えようと思っているのかもしれない。と同行のコープ担当者から聞いていたのです。


その予想が見事当たり、なんと百科事典、美術全集、文学全集をまとめて購入してくれたのです。


総額36万2千円、スゴイではないですか。たった1軒でこれだけの売り上げが達成できたのです。


その結果、その幹部売上コンテストで見事トップの成績を勝ち得たのです。