2026年10月17日土曜日

しみじみ味わう読書の秋にふさわしい一冊 「なつかしき人々 2」 遠藤周作





書評 「こころの風景 なつかしき人々」 遠藤秀作 小学館 



「エッセイの名著を挙げよ」と言われたら私はこの作品をその一冊として挙げるのを忘れないでしょう。


このエッセイには著者の渾身の力がこもっていると、私を含めて作品を読んだ多くの人が感じるのではないでしょうか。


このブログでもこれまでに多数紹介していますが、氏は狐狸庵の名のもとにユーモアの溢れた読んで楽しいエッセイを多数書いています。でもこの作品はそうしたものとは一線を画した、いわば後世に残しておくべきエッセイの名著だと思います。


まず下の目次をご覧ください。なんという錚々たるメンバーでしょうか。この作品はこうした人たちとの生前の交友を思い出として書いたものですが、メンバーの名前を見るだけで氏の人間関係がいかに充実していたかがよくわかります。裏返して言えば、氏にはこれだけの人々を引き付ける人間的魅力が備わっていたのです。


この本はシリーズ(1)と(2)にわかれており、まず(2)の方から先に読みました。

これは今から30年まえの氏の没年に出版されたものですが、30年前という古さを少しも感じません。名著というのはやはり息が長いものだと、つくづく感じます。


読書の秋にふさわしい しみじみと味わえる一冊です。


書籍の概要

著者: 遠藤周作

出版社: 小学館

発売日: 1996年10月(または11月)

ページ数: 206ページ

もくじ


1 聖書の中の女性

2 R婦人

3 曽野綾子さん

4 瀬戸内さんの笑顔 ー 瀬戸内晴美

5 安達瞳子さん

6 有島暁子さん

7 深尾須磨子先生

8 ある女性たちの生き方

9 山の神

10   新珠三千代さん

11   テレーズ・デスケルウ

12   佐々木久子さん

13   椎名さんのこと

14   船橋さんのこと

15   錬さんを偲ぶ ー 柴田錬三郎

16   精霊流し ー 丸岡明、柴田錬三郎、原民喜、山本健吉、武田泰淳、梅崎春生

17   北君と怪人マブゼ ー 北杜夫

18 「さむらひ」と「侍」 ー 河上徹太郎 

19 芥川比呂氏を思う

20 私の感謝 ー 小林秀雄

21 ある小料理屋と向田さん ー 向田邦子

22 三田、長崎、私たち ー 山本健吉

23 石坂洋二郎氏を悼む

24 三雲夏生教授のこと

25 山本健吉氏をしのぶ

26 思い出、あれこれと ー 山本健吉

27 グレアム・グリーンをしのぶ

28 G・グリーンの魔



遠藤周作


(1923-1996)東京生れ。幼年期を旧満州大連で過ごし、神戸に帰国後、12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶応大学仏文科卒。フランス留学を経て、1955(昭和30)年「白い人」で芥川賞を受賞。一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア作品、歴史小説も多数ある。主な作品は『海と毒薬』『沈黙』『イエスの生涯』『侍』『スキャンダル』等。1995(平成7)年、文化勲章受章。 


2026年10月15日木曜日

T.Ohhiraエンタメワールド〈7〉進次と和子の青春グラフィティ(14)

 

           adobe stock     

         14

 その日和子は、午後最後の色彩学の授業を終え、帰りにいつも寄るスーパーで夕食のための買物をして、四時過ぎにはもう下宿に戻っていた。通っている服飾専門学校は下宿から自転車で七~八分くらいのところにあり、距離としては小さい頃通っていた小学校や中学校などと大差はなかった。

でも近すぎることは和子には不満だった。できたら、例え一駅でもいいから電車に乗って通学してみたかった。沿線には多くの女子大があって、朝、駅へ向かって颯爽と歩いている女子大生の姿を目にするときなどは、「あーあ、私も試験に通っていたらなあ」と呟いて、溜息ついたりすることも時にはあった。

 だがそんなときには、すぐ後で、「仕方ないか、わたし勉強あまり好きじゃなかったのだし」と考えて、くよくよしたりはしなかった。ただ今の専門学校は高校時代に比べて宿題などもうんと少なく、ましてや受験勉強があるわけでなく、時間的にはすごく余裕があって、時としては時間を持て余し気味に感じることさえあるので、そのことを少し厄介に思っていた。

だったら、せめて夕方の二~三時間でもアルバイトに当てたら、と考え、これまでそのことを何度か母親に話したのだが、「二十歳過ぎるまで仕事はダメ」と反対され、これまでアルバイトは一度も経験したことがなかった。


 和子の実家は白壁の町並みで有名な隣の県の倉敷市の玉島という町にあり、おじいさんの代からカマボコ工場を営んでおり、金持ちとは言えないまでも、まず裕福なうちに入っていて、和子に対する毎月の仕送りにしても、他の多くの友人たちに比べると随分余裕をもった金額だった。

でも和子は決して浪費家ではなく、それどころかむしろつつましく暮らしていると言ったほうがよく、余ったお金はすべて貯金に回しているため、去年の四月以来九ヶ月余りで、銀行の通帳にはもう六十万円以上貯まっていた。


 毎日自転車で学校と下宿を往復するだけで、月一度か二度、隣部屋の紀子と神戸の三宮へ出て、ちょっと遊ぶ程度で、下宿代を除き、食費と少しの雑費以外にお金を使うことはほとんどなかった。

では洋服代はといえば、少なくとも二ヶ月に一度は自宅に帰っているので、その際母親と一緒に倉敷のデパートへ出向き、気に入ったものがあれば、すべて母親が買ってくれたのだ。だからたまには自分自身でパアッとお金を使って見たい気もして、進次とデートした時だって、「わたしにも払わせてください」と申し出たかったのだが、その場でも母親の口癖である「男の人は立てるものよ」と言うセリフが脳裏を掠め、つい気後れして言い出せなかったのだ。

 ―でもこの次のデートでは、なんとしても私が払おう― 進次との二度目のデートの後、和子はそんなことを考えていた。


 それにしてもおかしいわ。二回続けて一夜を共にしたのに、なんにもなかったなんて。年頃の男と女でこんなことってあるのかしら。

進次さんが二十一でわたしが十九、悪い言葉で言えば盛りのついた年齢なのに。初めての夜は神戸のホテル。進次さんが「なにもしないから」って言い、わたしが「ほんとになにもしない?」って聞き返して、その結果泊ることにしたのだけど、ほんとう言えば、わたし微かに期待してたんだ。


ああ言ったのは一種の照れ隠しで、お互いに何もなくすむとは思っていなかったはずだわ。

でも進次さん、ホテルを出るとき一度キスをしただけで、後は何もしなかった。あれだと港での長いキスはいったい何だったのだろう。


それに私の下宿に来たときには、コタツの中で抱きしめられたときも、もう悪酔いはすっかりさめていて、キスしながら心地よさで天にも昇るような気がして、さあこれからだわ、と思って、次の展開を凄く期待してたのに

進次さんたら胸で私の乳房を強く圧迫しただけで、「悪酔いがぶり返したらダメだから」と言って、それ以上は何もせず、二人ともいつの間にか寝てしまっていたのだわ。


よく分からないけど、あんなことってあるのかしら。ひょっとして私に魅力がないからなのだろうか。

いや、そんなはずないわ。バストだって九十近くあるんだし。


つづく

次回10月22日(木)


2026年10月13日火曜日

下の文章 トリプルバインドの使い方は正しいか?

 




しかし夫は、「そもそも、靴と服を買う事はおろか、水曜日に新宿に行く予定すら聞いてなかった」 「後から追及されるのと、事前に言うのとどっちがストレス少ない?」 「報告が遅れてごめんなさい、と何故言えないの?」 とトリプルバインドしてきました。

                           


                                                                                                


  発言小町 2026/10/13



AI による概要

トリプルバインド(Triple Bind)は、文脈によって主に2つの意味で使われます。 [1, 2]


1. 心理学・ビジネス・恋愛における「3つの選択肢」による誘導話法

相手に何かを提案するとき、3つの選択肢を用意するコミュニケーション手法のことです。 [1]

  • 背景にある仕組み:

    • 選択肢が2つ(ダブルバインド)だと「AかBか」の消去法になりやすく、どれも本心ではない場合に断られやすくなります。

    • 選択肢を3つにすると、人は「その中から自分に合うものを選ぶ」という意識になりやすいため、提案を受け入れやすくなると言われています。 [1, 2]

  • 具体例(デートの誘い方など):

    • 「今度ごはんに行きませんか?(YES/NOの2択)」ではなく、

    • 「来週の平日、再来週の土曜、今月の25日のうち、どれが都合いい?」のように、「一緒に食事に行くこと」を大前提(スケジュール等の3択)に忍ばせる手法が使われます。

    • 営業やプレゼンでも、3つのプラン(松竹梅など)を提示して相手の満足度を高める方法として応用されます。 [1, 2, 3]


2. 社会学・ジェンダー論における「三重の拘束(過酷な矛盾する期待)」

社会や組織の中で、同時達成が不可能な3つの矛盾するプレッシャー(期待・規範)を同時に突きつけられる状態を指す言葉です。 [1]

  • 具体例(現代の女性や働く人へのプレッシャーなど):

    • 例えば、「家庭では良き母・良き妻であれ」「職場ではバリバリ成果を出す優秀なリーダーであれ」「常に若く美しく魅力的な女性であれ」といった、すべてを100点で両立することが不可能な3つの役割を同時に求められ、どれを選んでも身動きが取れなくなる心理的・社会的な閉塞感を表現します。 [1, 2]


2026年10月10日土曜日

アジアはIQが高い国が多いのになぜ日本以外はノーベル賞が取れないのか


    

2026年度 国別 IQランキング


 順位     国名            平均    標準  クロンバック

           IQ    偏差    α係数






1

日本

112.29

12.36

0.83

2

中国

111.35

15.87

0.86

3

台湾

111.19

11.63

0.80

4

ハンガリー

111.13

14.34

0.85

5

セルビア

110.76

16.73

0.87

6

イタリア

110.68

15.97

0.86

7

韓国

110.66

14.44

0.84

8

イラン

110.15

14.08

0.84

9

香港

109.59

13.19

0.82

10

フィンランド

109.21

18.94

0.88


ノーベル賞発表の季節ですが、今年も例年のように受賞者は日本の他ではアメリカを筆頭に欧米の独占になるのでしょうか。


そこで気になるのは、ノーベル賞は当然頭が良い人が受賞者になるのですが、頭がいいといえばIQの高さです。でも上の表のとおり、日本をはじめアジアでIQが高い国は多いのですが、そうした国で日本以外でノーベル賞受賞者が出ないのはなぜなのでしょうか。


この問題についてAIに訊いてみました。



AI による概要

アジア地域、特に東アジアは平均IQが高いとされる国・地域が多い一方で、欧米に比べて自然科学分野などのノーベル賞受賞数が少ない背景には、「知能の高さ(IQ)」と「科学的ブレイクスルーを生む環境や文化」の違いがあります。 

岐阜聖徳学園大学 +3

主な理由は以下の通りです。

1. 基礎研究への歴史的・経済的蓄積の差

  • 歴史の浅さ: ノーベル賞(特に科学部門)は、数十年前の基礎研究の成果が評価されることが多く、近代科学の蓄積や研究インフラが欧米に比べて歴史的に浅い。 

  • 経済的背景: アジア諸国の急激な経済成長や大規模な研究開発投資(R&D)は比較的近年のものであり、成果が受賞につながるまでにはタイムラグがある。 

2. 文化・社会構造と「好奇心(オープンネス)」

  • 同調圧力と集団主義: アジア圏では伝統的に集団の調和や協調性が重視されやすく、個人の独創性や既存の枠組みを疑う「開放性(Openness)」や、あえて異端な道を歩む individualism(個人主義)が抑えられやすい傾向がある。 

  • 「異端・失敗」を許容しない環境: 失敗を恐れず誰もやっていない未開拓分野に挑むボトムアップの好奇心(因子q)や、失敗に寛大なファンディング(研究資金)制度が十分に根付いていない国・地域が多い。 

3. 教育システムの違い

  • 「答えのある試験」への強さと応用力の違い: アジア諸国(日本、中国、韓国など)は、学校教育やテストのスコア、IQテストで測られる処理能力や記憶・論理思考の面で非常に高い水準を誇る。 

  • オリジナリティの課題: 一方で、既存の知識を効率よく習得・処理する能力と、誰も気づいていない科学の真理をゼロから見出す「独創的な問いを立てる力」は別であり、減点方式の教育やトップダウン型の管理体制がそれを阻害することが指摘されている。