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2026年9月8日火曜日

「おもしろくてためになる本」をお探しの方にお勧めしたい一冊

 ネットで、紙の本で、ファン急増殖中の異能作家・辛酸なめ子が円熟期に放った会心の一作




書評:「おしゃ修行」辛酸なめ子  双葉社


2017年に出た本ですから決して新しくはありません。でも9年経った今でも、斬新さが失われていません。「おしゃ修行」というタイトルからは、ファッションのノウハウ本のイメージがわきますが、それはそれとしてしっかり内容を伴っていて読み応えあります。

でもそれだけで終わらないところが現代日本サブカル界に君臨する著者のすごいところです。


とにかく出だしから面白いのです。


まず冒頭の章ではクローゼットを整理して、古い衣服をまとめて売ろうと古着屋に持ち込むのですが、一軒目の評価は「申し訳ありませんが値がつきません」と、ゼロ円回答。


それにもめげず2軒目に挑むのですが、「査定の結果、発売年代や、品物のコンディションやセール品の関係で値段がつきませんでした」と、またもや非情な回答。


少なく見積もっても元手に約数十万円もかかった衣類が、古着屋2軒ともゼロ円評価という無残な結果に終わったのです。


でも仕方ないとしぶしぶあきらめて、一部だけ残して、他はすべてチャリティ団体へ寄付することにし、切なく寂しい気持ちを抱えながらとぼとぼ帰途につく著者でした。


著者辛酸なめ子のバーゲンセールに向かうすごいエネルギーに感服


またstep1の「セールの反省と対策」の項もおもしろい。とにかくこの著者の買い物に対するエネルギーはすままじく、バーゲンセールに対しては、まるで物欲の鬼のようなエネルギーで、いったいどれだけ買えば気が済むのかと、その散財ぶりに読者はハラハラドキドキの連続です。このように、冒頭からエキサイトさせられ、一気に引きつけられること必至です。



内容説明

買っても買っても服が足りない、店員に気を遣って購入、パリピに敗北感…だけど、おしゃれになりたい!奮闘する姿に共感&笑い溢れるファッションエッセイ。

目次

1(クローゼット整理術

ファストファッションのカルマ

コンフォートシューズを探して

巻きものに挑戦

時計購入逡巡記

セールの反省と対策

フリーマーケットのカルマ)
2(店員さんとの心理戦について

ハイブランドと運気の関係

着回しマイルール

バッグ欲について;服を作ってみる

アクセサリーへの欲求)
3(商業施設は物欲のるつぼ

おしゃれタウンの視察;服買い過ぎ防止策

おしゃれピープルにあこがれて

パーティーピープルになりたくて

モテ服と萎え服)
番外編 セレブとおでかけ(妄想)

著者紹介

辛酸なめ子[シンサンナメコ]
東京都生まれ。埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。芸能界やスピリチュアル、オカルトなど多数のジャンルを独特な目線で描き人気を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。


出典:紀伊国屋ウェブ


2026年8月26日水曜日

〈この本〉タイトル見ただけで読みたくなりませんか


書評 「推し」という病   加山竜司 文春新書


この本の表紙のタイトルを見ただけで「読んでみたい」と思う人は多いのではないでしょうか。

誰かが言った「本はタイトルで売る」というフレーズをあらためて思いださせる1冊でもあります。

今の世の中、老いも若きも「誰か(人)や何か(ゲームキャラクターなど)を推したい」という願望に取りつかれた人たちがなんと多いことでしょうか。

まさにクレイジーそのもので、これはもう病と呼ぶしかありません。


つい最近もありました。「親を殺して得たお金のうち1千万円を推しに投げ銭した」という恐ろしいニュースが。

また東京新宿ではホストクラブで大金を入れ上げた女性が相手のホストを殺すという凄惨な事件も起きています。

こうした事件を背景に、いま「推し」は、この本のテーマが示すように「病」として捉えられるようになってきたのです。


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出版社内容情報

なぜ彼らは苦しくても「推し」続けるのか
AKB、ホスト、VTuber、アニメキャラ、ゲーム、地下アイドル、AV女優、ビジュアル系バンド…

当事者への取材を重ねた「推し活」の現在地

「推し」という言葉は、「好きなものを応援する」ポジティブな言葉として使われることが多い。
だが、アニメグッズを購入したり、アイドルのコンサートに参加したりすることだけでなく、たとえば地下アイドルライブでのチェキの大量購入、ホストクラブやメンズ・コンセプトカフェでの過激な売り掛けなどを表す際にもこの言葉は使われている。
少なくとも、言葉のうえでは、学生のささやかな「推し」と、身を滅ぼすほどの出費をともなう「推し」は地続きだ。

「高田馬場ライバー刺殺事件」をはじめ、「推し」を端緒とした刑事事件も発生している。その精神性の根が同じであるならば、私たちは「推し」とは何かを慎重に見極める必要がある。
実際に「推し」によって人生を大きく変える選択をした人々の言葉に耳を傾けることで、「推し」の何が人々を病的なまでにエスカレートさせていくのかを探る。

【目次】
第一章
 「結婚するなら、もちろんアイドル」
“「推し」のためにマンションを売った”トップオタ

第二章
「ホストはコスパがいい“推し活”」
“ホス狂い”風俗嬢のコスト意識

第三章
「二次元は“恋愛対象”になるか」
アニメ、VTuber、2.5次元、声優…オタクたち「推し活」

第四章
「結婚できなかったのはアノ子のせいじゃない」
女性アイドルを14年間推し続ける中年女性の憂鬱

第五章
「AV女優に求める純潔」
秩序を守るAV女優アイドル・トップオタの女子校教師

第六章
「“運営”は搾取をしているのか」
元ジャニーズJr. 地下アイドル運営の見果てぬ夢

第七章
「推しがいないこの世界に、生きる意味はない」
「推し」の後追いで「自殺未遂」した納棺師

第八章
「オタクとアイドルは運命を捻じ曲げて共に生きる」
オタクでアイドルだった彼女は、今日もSNSで未練を語る

内容説明

「推し」という言葉は、「好きなものを応援する」ポジティブな言葉として使われることが多い。だが、アニメグッズを購入したり、アイドルのコンサートに参加したりすることだけでなく、たとえば地下アイドルライブでのチェキの大量購入、ホストクラブやメンズ・コンセプトカフェでの過激な売り掛けなどを表す際にもこの言葉は使われている。少なくとも、言葉のうえでは、学生のささやかな「推し」と、身を滅ぼすほどの出費をともなう「推し」は地続きだ。「高田馬場ライバー刺殺事件」をはじめ、「推し」を端緒とした刑事事件も発生している。その精神性の根が同じであるならば、私たちは「推し」とは何かを慎重に見極める必要がある。実際に「推し」によって人生を大きく変える選択をした人々の言葉に耳を傾けることで、「推し」の何が人々を病的なまでにエスカレートさせていくのかを探る。


著者等紹介

加山竜司[カヤマリュウジ]
漫画ジャーナリスト、ライター、編集者。1976年静岡県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2005年にフリーランスに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出典:紀伊国屋ウェブ


2026年8月17日月曜日

燃え殻のエッセイ集 読むのはこれで5冊目だが

 


書評 「ブルーハワイ」 燃え殻 新潮社


この作品の中で著者はこのエッセイ集について「単なる日記じゃないか」と、ネットの書評レビューに書き込まれていたのを見て「ひどく落ち込んだ」と書いている。


「単なる日記」そう言われてみれば当たっているような気もする。その日出会った人、行ったところ、過去の些細な出来事、などを思いつくままに綴っていて、いうなればどうでもいいようなテーマが多いのだ。


それらをこの作者特有の感性で上手にまとめている。つまり切り口の良さと味付けの上手さで素材の弱点をカバーしていて、何とか人に読んでもらえる作品に仕立てているのだ。


まあこれも才能あってのことだろう。この著者のエッセイを読むのはこれで5冊目で、発行順に並べてみると



 『すべて忘れてしまうから』(2020年7月、扶  桑社 )

 『夢に迷って、タクシーを呼んだ』(2021年3月、扶桑社)

 『それでも日々はつづくから』(2022年6月、講談社 )

 『ブルー ハワイ』(2023年8月、新潮社 / 2026年3月、新潮文庫)

 『愛と忘却の日々』(2024年9月、新潮社)


となります。さてこれらの作品の評価ですが、私個人的にいちばん良かったのは「すべて忘れてしまうから」で、二番目が今回の「ブルーハワイ」です。

やはり最初の作品はネタも豊富でしょうし、気合の入れ方も違いますから高評価も頷けます。

では4番目に出した「ブルーハワイ」は、というと、2作目、3作目の評価がイマイチだったことを反省し、モチベーションを立て直し、気合を入れて臨んだからなのではないでしょうか。

あくまで私個人の勝手な推測ですが。



出版社内容情報

「週刊新潮はこの連載から読む」という中毒者、増殖中。待望の大人気エッセイ集。ふとしたきっかけで甦る記憶の数々。淀んでいた会議の空気を変えた女の子の大ネタ、僕が放った2点の答え(1000点満点中)、「串カツ田中」が恋しくなった縛りのキツい店、J-WAVEに寄せられたお悩み相談、母の決まり文句、祖母の遺言、柴犬ジョンの教え……ギスギスした日常の息苦しさを解きほぐす一服の清涼剤。

内容説明

週刊新潮、大好評連載。中毒者、増殖中!大人気エッセイ集。

目次

花火って途中で飽きるよね
愛には人の数だけ種類がある
はい、百九十万円
将来は南米に行くと思う
『ヌードの夜』、竹中直人さんに会った
五反田セブンスター
大橋裕之 マンガ「イラスト制作裏話」
僕はそのときずっと天井を見ていた
知らない町の知らない店のスタンプカード
首筋に芋虫
強みは誰にでもある、お金に繋がるかは別として
まあるくなって眠る、真っ白い猫
ドライブ・マイ・カー事件
仕事はできないが、嫌いになりきれない後輩
人間関係の果ての果ての姿
五万の傘が五分で壊れた
毎回同じで飽きませんか?
二十人以上のアイドルのサインを書けた先輩
座席すこし倒してもいいですか?
ちょっとスペース・マウンテン三回乗ってくる〔ほか〕

著者等紹介

燃え殻[モエガラ]
1973年生まれ。2017年『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出典:紀伊国屋ウェブ


2026年7月29日水曜日

今月読んだ本2冊のご紹介

 

「男のリズム」池波正太郎 角川書店



エッセイとしては珍しく、記録調(日記風)で書かれている。したがって読んでいて、これまで読んできたこの著者のエッセイ集(10冊程度)のような楽しさ、面白さは感じないが、内容には味があり印象に残ることが多々記されている。

小学校を卒業して上の学校には進まず、早くして社会に出たこの作者にとって、世の中がすべて学びの対象になったことがよく書かれており、中でも十代半ばから頻繁に映画館に通い、その頃上映された映画を見漁ったことで、脚本書きに目覚めたことがよく理解できる。

また同じ頃ロシアの文豪、ドストエフスキーやトルストイの難解な作品も読み下しているところはさすがである。こうした文学の経験を積んで読売新聞主催の脚本コンテストに応募して佳作になったのをきっかけに脚本家の道を目指したのが、作家池波正太郎の原点なのだ。


(内容説明)

東京の下町に生まれ育ち、仕事に旅に、衣食に遊びに、生きてゆくことの喜びを求めてやまぬ池波正太郎の名エッセイ。友人、知人、思い出の人々、生起するさまざまな出来事を温かく、生き生きと描いて興趣つきない滋味たっぷりの一冊!人は変わり、世は移るとも、これだけは絶対に変わらぬ男の生き方を綴った必読の十二章。

(目 次)

劇場
家
食べる
着る
散歩
映画
最後の目標
26年前のノート
家族
私の一日
旅
母

著者等紹介

池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923年東京浅草生まれ。下谷西町小学校卒業後、株式仲買店に勤め、海軍入隊。戦後、都職員から長谷川伸門下生となり新国劇の脚本と小説を発表。60年「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の三シリーズで時代小説の第一人者となる。吉川英治文学賞受賞。90年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出典:紀伊国屋ウェブ



「愛と忘却の日々」 燃え殻 新潮社




先月読んだ「夢に迷ってタクシー呼んだ」と「これはいつかのあなたと私」に続いて3冊目である。

なにかクセなったようにこの著者の作品を読み続けているが、正直言っていまだにこの作家のことをよく理解できていない。

前にも書いたが、読み始めたきっかけは「ベストエッセイ2024」で紹介された「おっぱい足りてる?」を好印象を持ったからだ。でもあの作品の印象が強烈だっただけに、その後読んだエッセイ集の作品は、2〜3点を除いて、いずれをとってもそれほどすぐれた作品は見当たらない。それどころか、この作家の先行き不安を感じる点が多いのだ。その多くは次の点についてである。


今売れている人気作家だが、今後長続きできる力量はあるのかは、はなはだ疑問である。

こう感じるのはエッセイのテーマに日常で身辺に起った細かいこと(例えば行った店(飲食店)で働く人たちこと、そこで会った人(客)たちの、どうでもいいような細々したことなど、他の作家なら無視するような微細なことまでネタとして取り上げているからだ。

こうした様子から、テーマ探しに相当苦労していることがよくわかるのだ。

にもかかわらず、人気をいいことに安請け合いで次々と仕事を引き受けており、そのため絶えず〆切に苦しめられている。

この作家はいま「編集者におだてられたり、責められたりしながら、無理やりに作品を書かされているのではないか」ということを痛いほど感じる。

この調子では疲弊するのがはやく、人気作家として長続きすることは無理なのではないだろうか。



というふうに思うのだが、もし方向性が間違っているとすれば、新人としての自分の力量を顧みず、安請け合いでひたすら仕事量を増やし続けていることに問題があることが明らかだ。



出版社内容情報

「ロマンチックなことが少なすぎるんだよ」 中毒者、ますます増殖中。六本木の路上で「おっぱい、足りてる?」とキャッチに声をかけられ、「足りてないけど、余裕がないんです」とテンパっていた夜。小学生の頃、ひどいイジメに遭い、「死にたい」と母に泣きつき、包丁を畳みに突き刺して言われたひと言。「ベスト・エッセイ」(日本文藝家協会編)選出作を収録、読者渇望の大人気エッセイ集。

内容説明

「ベスト・エッセイ2024(日本文藝家協会編纂)」収録。週刊新潮、大人気エッセイ集。

目次

余裕がないのだ。夢中なのだ。
頑なに働かない友人
結局、彼女は畳に告白した
「おっぱい、足りてる?」
いやらしくて美しい瞬間
「ラムちゃん、ひと筋でいく」
渋谷路上飲み狂騒曲
「寝るときは、これじゃないと」
「無駄太郎」の時代は終った
「おい、まだ帰らないのか?」
「ああ、帰りたい」
「ねー、もう寝た?」
特殊な経験をしているわたし
「エッチ妄想の交換日記をしませんか?」
相談相手は主にジョン
増し増しな人
「お客さま、ピットイ~ン!!」
「お客さん、TBSの『ラヴィット!』に出てますよね?」
「俺のファンはどう思うかな?」
はにかみながら「ほら、盗聴器!」〔ほか〕

著者等紹介

燃え殻[モエガラ]
1973年生まれ。2017年『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー。同作はNetflixで映画化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出典:紀伊国屋ウェブ










2026年6月6日土曜日

このところ人気急上昇「燃え殻」のエッセイってどうなんだろう


   



ベストエッセイ2024で紹介された「おっぱい足りてる?」は強烈だった


 六本木の路上で「おっぱい、足りてる?」とキャッチに声をかけられ

「足りてないけど、余裕がないんです」とテンパっていた夜。 


図書館で借りた「ベストエッセイ2024」に収録されたこのエッセイのタイトルを見たとき、真っ先に思ったのはタイトルの「おっぱい足りてる?」ってなんのこと?だった。


子供を産んだばかりの母親に対する看護師さんの質問なのか?とも思った。


でもまったくの的外れで、これは街角に立つ「おっぱい系風俗店」のキャッチが発したセリフなのだ。


しかしこれってなんとよくできたコピーだろう、夜の街を徘徊するさびしい男が「おっぱい足りてる」はずはないだろう。すぐさま「足りてません」と大声で答えたいに違いないのだ。


そうした男たちの心理を実にうまくとらえているではないか。


正直言ってこのセリフに出会ったときは、「なんと見事なコピーだろう」と感心して、これをエッセイのテーマに取り上げた作者の優れた言語センスに衝撃を受けた。


図書館に燃え殻の作品は1冊もなかった


そして次に思ったのがこの作者の作品をぜひ読んでみたい、であり、翌日に図書館へ向かって、エッセイコーナーの「も」の欄で作品を探した。


でも燃え殻という作者の作品は1冊も棚に並んでいなかった。


「おかしいな、なぜだろう。これまでベストエッセイで紹介された加藤シゲアキとか田中卓志などの作品はすべて見つけることができたのに」と思ってあきらめて帰ったのだ。


本屋へ行ってみるという選択肢もあったが、その時はそこまでの行動に移すところまではいかなかった。


別の図書館の棚に4冊も燃え殻の作品があった


それから2カ月ほどたった5月の末、いつも行く図書館から所変えて分館の方へ行ってみた。


規模は小さいが新刊書はむしろ本館より多いということを知っていたからだ。


さっそくエッセイコーナーに向かい、棚の「も」の欄に目を移すと、なんと「燃え殻」の作者名の真新しい本が4冊も並んでいるではないか。


すぐ手に取ったのはいうまでもなく、4冊は多すぎるのでとりあえずその中から2冊を借りることにした。


それが上の写真にある文庫の「夢に迷ってタクシーを呼んだ」とペーパーバック「これはいつかのあなたとわたし」である。


2冊とも「おっぱい足りてる?」のような衝撃的な作品はなかった


期待が大きすぎたのか、2冊を読んだ後の感想はいずれもテーマごとに「うまくまとまってはいるものの、もうひとつもの足りない」というのが正直なところである。


週刊誌などの連載ものが多く、文字数制限に合わないテーマがあるせいかもしれない。


とはいえ、これまでベストエッセイで紹介された作品を読んだ作家のものは、田中卓志、加藤シゲアキ、穂村弘 西村賢太など、すべて「すばらしい」と感銘して読んできた。


でも今回は満足度が少し違う。最も新しい田中卓志の作品と比べてみても、エッセイに限って言えば田中氏の方に軍配を上げたいぐらいだ。


本の厚みや余白の広さが気になるのだが


それに作品の内容以外で気になったことが一つある。それは本の厚みと余白についてである。


まず厚みだが、文庫の方はページ数が少なく厚みがない。これはひとえに作品数が少ないからに他ならず、才能豊かな新人としては寂しいことだ。


一方ペーパーバックの方は厚みは普通だが、分厚い用紙を使用してページ数の少なさをカバーしている節がある。多分これは価格対策なのだろう。


ペーパーバックの方でもう一つ気になるのは余白の広さである。


これは文字数の少ない作品で一定のページ数を保つためにとられる方法で、これによりボリューム感をあげるのを意図しているに違いない。


こうした手法がとられたことは、将来性のある作者の作品に対するものと考えると、一抹の寂しさを感じる。


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「夢に迷ってタクシーを呼んだ」



出版社内容情報

いつか僕たちは必ずこの世界からいなくなる。ネットニュースで、三週間前に会った知人の死を知った日。「もうダメだ」と言い続けていた最悪な時代の仲間との再会。「で、お前いつ帰るんだ?」が口癖だった祖父との思い出。恵比寿の焼き鳥屋で見かけたヨーダ似のお爺さんと美少女。日常を生きていく寂しさと、心もとなさにそっと寄り添ったエッセイ集。文庫特典「巣ごもり読書日記」収録。

内容説明

いつか僕たちは必ずこの世界からいなくなる―。ネットニュースで、三週間前に会った知人の死を知った日。「もうダメだ」と言い続けていた最悪な時代の仲間との再会。「で、お前いつ帰るんだ?」が口癖だった祖父との思い出。恵比寿の焼き鳥屋で見かけたヨーダ似のお爺さんと美少女。日常を生きていく寂しさと心もとなさに、そっと寄り添ったエッセイ集。文庫特典「巣ごもり読書日記」収録。

目次

この世界ってさ、ロマンチックなことが少な過ぎるんだよ
夢を五分で挫折したことがある
きっと、僕たちは今度もまた大丈夫だ
こっち見てんじゃねーよ、ゾンビ
青春は未だ完結していない
で、お前いつ帰るんだ?
仲良くなるという目標は達成できそうにない
まったくの他人より、ちょっと知っている人のほうが気まずい
月の綺麗な夜だった
前野くんと来年、フジロックに行きたい
ゴリポンと呼ばれたくなかった
「下心よ去れ」と心の中で唱えていた
うまいでしょう、一杯三千円です
早い!安い!うまい!重い!
『働きアリに花束を』
「生粋の社会人」なんているのだろうか
不潔とケチはモテない
ラジオなんですけど
あなたは女の人に救われた経験はある?
高尾山以上、富士山以下の過酷さ〔ほか〕

著者等紹介

燃え殻[モエガラ]
1973(昭和48)年神奈川県横浜市生れ。2017(平成29)年、『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出典:紀伊国屋ウェブ

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「これはいつかのあなたとわたし」


出版社内容情報

笑って、怒れなかった、あの日のあなたがここにいる。大人気エッセイ集。「原稿、泣きながら拝んで読みました」と持ち上げながら必ず直しを命じる編集者。BE:FIRSTのLEOさんが涙ながらに語った決意、初ラブホでの醜態、母の口癖、J-WAVEに届くブラックなお悩み相談。日常と非日常の忘れられない/忘れかけたことを綴り、あるあると哀愁に満ち満ちた随想、これぞ日本のオアシス。

【目次】

内容説明

人も街も夢も変わっていく。笑えなかった怒れなかったあの日のあなたがここにいる。名画のラストシーンが珠玉の短篇集みたいなエッセイ集。

目次

バディ
人生は、ぬか喜びの連続な気がする
「燃え殻、推薦!」
人も、街も、夢も変わっていく
ズバリ!幕の内弁当一食分
精一杯のお手
美しい鼻歌と、セブンスターの香り
思っていたまんまの印象
住んでいる世界が違う
人はとかく大〓みだ
テイクばかりの人
「絶対に出るな、かけるな」
自意識感知レーダー
プロの「すみません使い」に出会った
咄嗟に取りつくろってしまう
底辺は存在しない
あの日のことをまた書いてしまった
大橋裕之 マンガ「連載200回を超えて」
第二回錦糸町プチ同窓会
ピンクパンティー事件〔ほか〕

著者等紹介

燃え殻[モエガラ]
1973年生まれ。2017年『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出典:紀伊国屋ウェブ