2016年8月11日木曜日

猛暑のせいなのか?・ 出先で「普通ではあり得ないこと」が短時間に3度もあった



普通ではあり得ないこと・その1

駅前の薬局でのことです。普段はあまり行かない店なのですが、たまたま用事で行った出先の近くにあったので寄ることにしました。処方箋を持っていく調剤薬局です。

この店は以前は普通のドラッグストアでしたが、駅前なので競合が激しくて成り立たなかったのか2年ほど前に調剤薬局に変わったようです。

それはともかく、病院でもらった処方箋を渡して座って待っていました。

すると別の客を呼ぶ女性薬剤師の声が耳に入ってきました。

その呼び声は「・・・さん」という、さん付の呼び方でした。

これを聴いた瞬間、大きな違和感を覚えました。

店員が客を呼ぶのに、さん付けなど長い間聴いたことがなかったからです。

いうまでもなく、これまでこうした場所で聴いてきたのはすべてが「…様」というもので、客商売の場所では「・・さん」はあり得ないと思ったからです。

その店に行ったのは確か3度目で、以前はこんな呼び方はしていなかったはずです。それだけによけいに違和感が大きかったのです。

しばらくしてわたしの番がやってきました。今度は中年の男性薬剤師でしたが、やはり前の人と同じく「・・さん」でした。

それを聴いて良い気がしなかったので、これは放っておけないと思ってその薬剤師に言いました。

「今、さん付けで私を呼んだようですが、なぜなのですか? 店で店員が客を呼ぶ際は「…様」が普通でしょう。今どき病院でもそう呼びますよ」

病院をひきあいに出したのは調剤薬局は病院あってのものだと思ったからです。

すると店員は「そ、そうなのですが、実はお客の中に精神疾患の方がいらっしゃって、その方が・・様と呼ばれるのは恥ずかしいとおっしゃったものですから」

などと、まるで意味不明のことを言うのです。

私はそれには応えず「ここは客商売のお店ですねえ」と確認すると、相手が「ええ」とうなずくので続けて言いました。

「客商売の店なら、どんな場合もお客を・・様と呼ぶのが常識ではないですか?・・さんと、さん付で呼ぶなど、どの店でも聴いたことがないですよ」

そう言いながら、続けて「そんな呼び方をするとお客は来なくなりますよ」と言おうかと、一瞬思いましたが、それは止めておきました。

この段になって店員は恐縮そうな態度になり、「皆で相談して、あらためるように検討します」と言うので、「わかりました」といって、薬を受け取ってその店を出ました。

店を出た後で思い出したのですが、その店がまだドラッグストアであったころ、風邪ぐすりを買うため入ったことがありました。

その時も、店に入ったとき、目の前いた女性店員は下を向いたまま、「いらっしゃいませ」の一言も言わないのです。

その態度に気分を害されたので、思わず「ちょっとおねえさん、この店は客が入ってきても知らんぷりなのか」と少し語気を強めて言って、けっきょく何も買わずに出たことがあったのです。

そうなのです。その店は以前から曰くつきのところだったのです。


普通ではあり得ないこと・その2

薬局をでて地下街のトイレに向かいました。最近改装されたきれいな公衆トイレです。

小用を済ませて、洗面所で手を洗って出ようとすると、傍らで清掃の任務に当たっていた中年女性が、なんとわたしに向って「ありがとうございました」と言うではないですか、

先ほどの薬局ほどでもないのですが、それを聞いてびっくりして、また別の種の違和感を感じました。

街中の公衆トイレの清掃員のおばさんが、用を足しに来た人に「ありがとうございました」はあり得ない、と思ったからです。

そこを出てからしばらくは妙な気持ちが頭に残りました。


普通ではあり得ないこと・その3 

公衆トイレを出ると、地下から商店街へ上がって、いつも行くコーヒーショップ「ドトール」へ行きました。

暑さのせいで客が多くレジの前には5~6人待っていましたが、構わずその最後尾に並びました。

5分とかからずおいしいアイスコーヒーを注文することができました。

あいにく空いていたのはレジの前の横並びの席だけです。そこへ座ってこの店自慢の薫り高いアイスコーヒーをすすっていました。

その後も客はひっきりなしに入ってきて、その中に家族と思しき4人連れの白人の外国人がいました。夫婦と高校生ぐらいの女の子二人です。

注文には子どもの中の一人が当たっていましたが、もちろん日本語はできない様子でしたがジェスチャーを交えて一生懸命注文を伝えようとしていました。

さて店員はどのように対応するだろうか、と興味津々で見ていたのですが、

いつも見るぽっちゃり型のかわいい女性店員は、少しもたじろぐことなく、日本人客に対するのと同じように「店内でお召し上がりですか?」と堂々と日本語で訊いているではないですか。

この店は駅近のメイン商店街にあるだけに外人客も多いのですが、そうした外人客に対しては、注文取りの際にはどちらかというと片言の英語で接しようとするする店員の方が多かったのですが、この店員は相手に一切おもねることなく

堂々と「店内でお召し上がりですか」などという店のマニュアル通りの日本語で通そうとしているのです。

これに対して外人客の方は分かったのかどうかは不明ですが、カウンターを指さして「ココ、ココ」と答えていましたから、どうやら第一関門は通過できたようです。

その後は通常の客より多少時間がかかったようですが、日本語一辺倒の店員の応対でも、無事注文は成立して、4人はお盆に飲み物を載せてニコニコ顔で奥の席の方へ移動していきました。

しかし終始堂々と日本語で通した店員は立派でした。

これを見て思ったのは、外人客とはいえ、相手におもねって無理して下手な英語で対応するより、堂々と日本語で対応するのも悪いものではない、ということです。

観光客はそれなりに訪問国のことを勉強してきますから相手国の言葉に対する対応もある程度できているはずだからです。

したがって相手に合わせようと無理して下手な英語などを使おうとせず、日本語で堂々と応対しても一向に構わないのでです。

それを気付かせてくれたのがこの店の店員の態度でした。

普通ではあまりあり得ないことですが、これは見ていてとても気分が良くなることでした。

2016年8月1日月曜日

7月に読んだ本はこの2冊 ・ (1)誰も知らない「老老地獄」を回避する方法  山崎 宏 ごま書房新社 (2)「当確師」 真山 仁 中央公論新社 


熱い夏はつい怠け心が出て楽な過ごし方をしたくなるものです。それを引き締めるためには読書が効果的です。読書は気合入れないとできないからです。 

とは言え、硬い内容の本では暑さに負けて途中で投げ出すかもしれません。

そうならないために、テーマに魅力があるものを選びました。その点ではこの2冊はタイトルだけ見ても合格点が与えられます。


(1)老老地獄

「老老介護」の背景

老老地獄とは、まるで地獄のような老老介護の実態を言い表したものです。

私たちは高齢社会がピークを迎えつつある今の世の中で日常的に起こっている老老介護の悲劇的な結末を目の当たりにて暮らしています。

老老介護の悲劇は、殺人、心中、自殺など、人々の悲惨な死が絡むものばかりです。

筆者は社会福祉士として、この現実を正面からみつめて、何とか回避する方法はないかと、問題と真摯に対峙しています。

超高齢化が続く今の日本で、老老介護はもはや人ごとではなく、誰にでも避けられない切実な問題です。


この本の内容

介護はある日突然やってくる!「在宅介護」限界にいる人は7割、介護に疲れ果て心中を考えたも2割強という悲惨な現実。あなたならどうしかすか!?

老齢化が進む社会でどこの家庭でも起こりうる問題とその対処法を、医療・福祉に精通する介護福祉士の著者がアドバイス。

書を読んで老老地獄を回避せよ


もくじ

シニアよ、ダマされるな(目覚めよ!国に期待するなかれ;たとえば死に場所の問題 ほか)

シニアよ、当てにするな(老後の問題が厄介な本当の理由;シニアよ、謙虚たれ ほか)

シニアよ、自律せよ(人生100年時代の老後戦略;確保したい老い先案内人 ほか)

エピソードファイル(実話)(同居する義母の弄便を始末する日々;もの盗られ妄想の母に疑われる日々 ほか)

シニアへのメッセージ(「後の祭り」にならないためにすべきこと;「在宅介護」も潮時を考えよう ほか)

著者紹介:山崎宏

社会福祉士。NPO二十四の瞳理事長。1961年、東京都出身。慶大卒後、外資系コンピューター会社、コンサルティングファーム、医療系メディア、複数の病医院を経て現職。シニア世帯向け24時間365日対応の電話相談サービス「お困りごとホットライン」主宰

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(2)当確師

「当確師」のスト-リ-

当確師というタイトルを見て、たいていの人は選挙がテ-マの小説であることは気付くのではでないでしょうか。

でも当確師という職業が実際にあるわけではなく、請け負った選挙での候補者の当確率が99%ということから

作者が主人公である聖 達磨(ひじりたつま)をプロの選挙請負人として当確師と呼んでいるのです。

一般的には選挙参謀とか選挙コンサルタントと言われる人のことで、この作品では候補者を当選させるために裏で暗躍する敏腕請負人すなわち当確師である主人公の姿を赤裸々に描いています。

今回主人公が請け負ったは、東日本大震災級の大災害に備えた「首都機能補完都市に指定された政令指定都市・高天(たかあま)市の市長選挙であり

再選が鉄板と言われる現職市長を打倒するというミッションを受けています

これだけ予備知識があると、読む前からハラハラドキドキもので、読者の気持ちはいやが上にも掻き立てられます。

作者は語る

日本が民主義国家である以上、政治の変化を求めるなら、選挙で勝つしかないのです。


ただ、これだけの政治的盛り上がりがあっても、選挙は今一つ関心がないという方が多い。


しかし皆さんそれは選挙の面白さ、怖さを知らないからです。


ある人は言いました。「選挙とは、武器を使わない戦争であり、こんな面白い闘いはない」と。

そして、選挙における権謀術数は、戦国時代の武将たちの闘いを凌駕するまさにバトルロワイアルなのです。しかも、合法的な。


『当確師』で、知っているつもりの選挙の裏側を覗いてみて下さい。


著者紹介:真山 仁

1962年大阪府生まれ、同志社大学法学部卒業、新聞記者、フリーライターを経て2004年に企業買収の舞台裏を描いた「ハゲタカ」でデビュー、NHK土曜ドラマで大きな話題を呼んだ。