賃貸マンションはネーミングが大事
朝のウォーキングでいつも通る大通りに新しい瀟洒な賃貸マンションができました。
10階建で外観は華美な装飾のないスッキリしたシンプルな造りの建物です。
入居者募集のポスターには1LDKで家賃が10万円弱となっていますから、この街ではまず高級な部類に入る賃貸住宅のようです。
ここまでだと、別に取り立てて言うほどのこともない新築賃貸マンションなのですが、問題は建物の名前です。
玄関先に近づいてみると、その名前はアルファベットで<Palais Branche>となっています。
パレーブランシェとカタカナが振ってあり、意味はよく分かりませんが、なにか高級分譲マンションに見るようなフランス語らしい洒落た名前です。
でも少しキザな感じがしないでもありません。これだと若者には受けても、中高年層の中には抵抗を感じる人もいるのではないでしょうか。
とはいえ、賃貸住宅に入居する人は、圧倒的に若年層が多いことを考えると、ネーミングは若者を意識し考えるほうが良いのかもしれません。
アパートやマンションの名前は一昔前と比べるとずいぶん変わってきました。
今では余り目にすることのない昭和の中ごろの古い木造のアパートだと、その多くは、名前の終わりに「荘」が付くものが多かったようです。
つまり、幸福荘、ことぶき荘、福寿荘のような名前です。
でも今こうした名前のアパートがあればどうでしょう。
おそらく多くの人は、名前を見ただけで敬遠するのではないでしょうか。なぜならその名前からは建物の古臭いイメージが連想されるからです。
それに加え、幸福荘やことぶき荘などの名前には、今の若者が好むスマートさや斬新さが感じられないからです。
建物のオーナー側もそれをよく知っていますから、今では新しくオープンする賃貸物件の名前に、「荘」をつける人はまずいないのではないでしょうか。
商品にとってネーミングは非常に大切な要素で、これによって売り上げが左右されることも珍しくありません。
賃貸住宅も商品です。しかも月に10万円近い支払いが伴う高価な商品です。
これだけ高い商品がネーミングで売り上げが左右されるとなると、決しておろそかにできないはずです。
かくしてオーナー側もネーミングには非常に知恵を絞るのです。
その結果生まれるのが<Palais Branche>というような斬新なものなのです。
結果としてこの名前は成功したようです。
なぜなら入居募集を開始してまもなく、建物には屋上から<祝・全室契約済み>の垂れ幕が下がったからです。
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