空き家820万戸!実に7軒に一軒が空き家という日本の現実
1000兆円の財政赤字と800万戸の空き家、単位こそ違え、1000と820という数字だけ見れば、よく似ているのが何か不思議な感じです。
財政赤字はともかく、本日取り上げるのは空き家問題の方です。
ところでこの800万戸という空き家ですが、数字だけ見れば確かに多いのですが、相対的に多いかどうかは、この数字だけではわかりません。
なぜなら何か比較するものがないと判断できないからです。そこで、まず欧米などの外国の空き家について見てみることにします。
まずヨーロッパでも空き家率が低いといわれるイギリスですが、最近の統計によるこの国の空き家は61万戸になっています。
これだけ見ても日本の820万戸に比べるとずいぶん少ないことが分かります。
でもこれだけでは不十分ですから、次は日本とイギリスの空き家率を見てみますと、日本の住宅総数が6063戸に対して820万戸が空き家で、空き家率は13.5%。
一方イギリスは住宅総数2337万戸に対して空き家が61万戸ですから空き家率は2.6%でしかありません。
どうですか?この数字の違いは。
実に日本は率にしてイギリスの5倍以上の空き家を抱えているのです。
これで日本の空き家の数が、いかに異常であるかがよくお分かりになったと思います。
イギリスだけではありません。ドイツやフランスを見ても少なさの点はそれほど変わりません。
しかし、日本だけがなぜこれほど空き家が増えたのでしょうか。
日本の空き家が欧米に比べて異常に多い理由は、住宅に対する意識の違い
それにしてもイギリスと比べた日本の空き家率の高さは異常ではありませんか。
いったい何が原因でこれほど大きな違いが生じたのでしょうか。
その最大の理由は日本と欧米の住宅に対する考え方の違いです。
それをよく表しているのが日本と欧米の全住宅取引に対する中古住宅の取引の数字の違いです。
日本の全住宅取引に対する中高住宅の取引率は15%前後です。
これに対してイギリス、ドイツ、アメリカをはじめとした欧米では中古住宅の取引率は全体の70~90%にも及んでいます。
これもまた大きな違いではありませんか。このように大きな数字の開きができるのは、日本と欧米の住宅に対する考え方が根本的に違うからです。
つまり欧米ではできるだけ長持ちする家を建てて長い間使い続けようと考えますから、家を買う場合、たいていの場合はまず中古住宅に目を向けるのが当たり前になっています。
ところが日本では、最近でこそ100年住宅などと言い始めていますが、これまでは家の耐用年数を極めて低く設定しており、耐用年数に近づいた家は極端に資産価値が低くなります。
日本人は住宅を大事な資産と考えますから、資産価値の低い中古住宅にはあまり目を向けず、自然に新築住宅の方に比重を置いてしまうのです。
このために価値が認められない中古住宅はどんどん空き家になっていくのです。
こうなったのも、国の誤った住宅政策に原因があるに違いありません。
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