「一杯おごるよ」と言いたいことはよくある
I buy you a drink は洋画を観ているときよく聴くセリフです。
酒場で「一杯おごるよ」と言っているシーンですが、洋の東西を問わず、人に酒をおごりたいのが人情なのです。
でもなぜ人は酒をおごったり、奢られたりすることが好きなのでしょうか。
あなたはおごりたいですか、おごられたいですか?
人に酒を奢ったり、奢られたりするのが好きな人が多い世の中ですが、でもいったい何故なのでしょうか。
人の行動には何らかの目的や動機があるはずです。したがって酒をおごるのも、おごられるにもそれがあるはずです。
まずおごる側から考えてみましょう。酒場で人に酒をおごるときはどんなときかを考えてみると、
・酔って気分が良い時
・思わぬお金が入ったりして懐具合が良い時
・人に何かを頼みたい時
・その人と友だちになりたい時
・相手を醉わそうという魂胆があって
などなどがあります。
一方おごられる方は
・お金をかけすに飲んで得しようと思う
・相手の自尊心を満足させるため
・気が弱くて申し出を断りきれない
・飲み終わったら奢り返そうと考えている
金のない方が金のある方を奢る場合だってある
上のような動機や目的で人は酒を奢ったり、奢られたりするのですが、この場合お金の貸し借りなどの場合と同じような上下関係の力学は働くのでしょうか。
つまり、お金を多く持っている人がよく奢り、持っていない人が奢られるというような構図です。
もちろん上司が部下に奢るという場合もあります。
この場合は明らかに上司の方が給料が高くお金に余裕があると考えられ、部下もそれに甘えることを良し、としますから上で述べたような力学が働きます。
でも会社の人でなく、相手の事情をいっさい知らない場合はどうでしょう。
お互いの懐事情を知らずに奢り、奢られることになるのですから、上下関係の力学など発生する余地はありません。それ故に次のような問題が発生するのです。
おごられたらおごり返すのが良いのだろうか?
この答を出すためには、立場を自分に置き換えて考えてみればよくわかります。
つまり自分は人にお酒をおごった後で相手からおごり返されたらどう思うかを考えてみるのです。
まず酒を奢られたときは、何故奢られたのかその理由を考えます。
これれは単にギブアンドテイクの精神に法って(のっとって)やっているのだろうか。
自分この人に何か良いことをしたことがあるだろうか。もしそうなら、1度くらいお酒を奢られても大丈夫だろう、でも何も役に立ったことがないのにお酒を奢られたら借りをつくることになる。
それは嫌だから次は相手に奢り返そう、と考えるのが自然で、それ故におごり返すのは当然の行為と見倣すのです。
奢り奢られることでコミュニケーションが発生して、お互いの関係が深まる
I give you a drink と言って人にお酒を奢ったり、また相手からそう云われて奢られたりするのは、何か無駄なことのようにも思われます。
奢っておごり返されるのではお互いに何の得にもなりません。何故そんな面倒なことをやるのでしょうか。
確かに奢られたものをおごり返されたのでは、一見何の意味もないように感じられます。でもこれはこれで人間社会を円滑にするという役目を果たしているのです。
なぜなら、お酒を奢り、奢られることによって、人と人の接触が発生し、それによりよりコミュニケーションが生まれるからです。
要は人々はより良いコミュニケーションをはかるための、こんな面倒なことをやっているのです。
奢られてすぐ奢り返すと良い人間関係は続かないのでは?
より良いコミュニケーションをはかるため、人はお酒を奢ったり奢られたりすると上で書きました。
確かにこう考えるのも一理あります。とはいえすべての人がこの考えに納得するとは思えません。
より良いコミュニケーションを図るどころか、奢ったものをおごり返されたら人間関係を悪くする、と考える人も少なくないのです。
つまり、打算は一切なく単に好意からだけで相手にお酒をごちそうしたのに、すぐにおごり変えさりしたら、好意が無駄になるだけでなく、こちらのプライドも傷つき嫌な思いをする。
こんな思いまでしてコミュニケーションを図る必要はない。と考え、ここで関係は遮断されてしまうのです。
酒場でI buy you a drinkと言って気軽に人に近づくのはいいのですが、相手からNo thank you.と拒否されても決して気を悪くしないことを心がけておくことが大事なようです。