
1 「是々非々」
以前から不思議に思っているのだが、政治家は何故この言葉をよく使うのだろうか。これを耳にしたのはほとんどがテレビなどでの政治家の発言の際だったように思うのだが。
第一この言葉、辞書でも調べなければ意味がよくわからない。それに聞いたときの響きも良いとは言えず、言葉としてのセンスも感じられない。したがってこれを使った人に対しては、新たにマイナス評価を加えることにしている。
2 「温度差」
この言葉は政治家に限らずテレビの司会者などもよく口にしているが、なんとなく意味が不明瞭で響きもよくない。
従来は単に気象上の気温(温度)の差について使うのが普通だったはずなのだが、今ではやたらと多用されていて、場合によっては使う人のセンスを疑うときもある。
例えば「A氏とB氏の日本経済の今後についての意見にはかなりの温度差がある」という発言があったとする。この場合、結論は差があるということを言いたいだけで、他になにか意味があるだろうか。いや決してないはずで、まわりでよく使われるので、単に気取って真似してるだけである。第一これを英語に訳した場合、この温度差という表現がどのように訳されるのか、はたして発言者は考えてみたことはあるのだろうか。
3 「鳥肌が立つ(鳥肌もの)」
テレビのバラエティ番組などで芸能人がよく使っている言葉である。
日常生活で人が「鳥肌が立つ」というような場面に遭遇することはそうやたらとないはずである。従ってこの言葉を使用することも滅多にないことであろう。
しかしテレビでは違っていて、ちょっと驚いただけのことに対してもすぐ「思わず鳥肌が立ってきた」とか「これは鳥肌ものですね」というふうに実に気軽に使われていて、聞いていやな感じになり、逆にこちらが鳥肌が立つような気持になる。
4 「~にやさしい」
エコブームに乗じてか、実によく使われている言葉で、まるで「猫も杓子も」という感すらする。
やれ「車にやさしい」とか「地球にやさしい」だとか
「環境にやさしい」など、まさに百花繚乱である。
でもこの「やさしい」という言葉は、例えば「あの方ははやさしい人ですね」とか「やさしいお医者さんだったわ」というふうに、人に対しての形容詞にするのが最もふさわしいと思うのだが。
5 「そうなんだ(そうなんや)」
これはいわゆる「あいづち」のことばであるが、いまどきの若い女性が一時の「うっそ!」にかわって、やたらと口にしている言葉でもある。
そもそもあいづちとは相手が言ったことに対する反応を示すものであるから、相手のセリフ次第で色々な応え方があるはずである。
でも今の若い女性の応答は圧倒的にこの「ああそうなんだ(や)」なのである。
まあ一種の流行には違いなかろうが、別の角度から考えてみれば、こうした言葉を使う今時の女性は感情表現が乏しいとも言えるのではないだろうか。
正しい「あいづち」とは、相手のセリフに反応して、
「えっ、そうなの」とか「それ、おもしろいわねえ」
だとか「へえ、初めて聞いたわ。そんな話」とういうふうにいろいろと感情を入れて表現したいものだ。
余談だが、この「そうなんだ(や)」を男性が使うと、
聞いてて特に気持が悪い。