2010年6月27日日曜日

「呼び込み」新時代

 つい一昔前までだと「呼び込み」と聞けば、夜の巷でキャバレーやピンクサロンなど、いわゆる風俗関係の店先に立って男性客を誘う黒っぽい服を着た「お兄さん」の姿を連想したものだ。

もちろん今でもそうした人たちを目にすることはあるのだが、概してこの「呼び込み」と呼ばれる世界の状況は、このところ一変したと言ってもいいのではないだろうか。

 このごろ繁華街を歩いていると、この「呼び込み」の世界に新たに参入してきたと思しき若い女性の姿を、昼夜を問わずよく目にするようになってきた。

 つい先日も駅前商店街の一角で自分の背丈より高いプラカードを支えながら大声で店の宣伝をする20歳そこそこと見うけられる女性の姿を目にしたばかりだ。
 
その女性、声が大きいのはもちろんだが、抑揚がよく利いていて、しゃべりかたも非常に上手で、歩きながら聞いていた当方を思わず「この人只者ではないな。若い女性の身でたいしたものだ」と思わせたぐらいなのである。

こうした若い女性たちによる「呼び込み」の姿は、何も商店街の一角に限らず、居酒屋などが集まった飲み屋街の真ん中でも、ランチを売り物にした日中のイタリア料理店の前でも、あるいは女性フ

ァッション関係の店ばかりが連なる夕刻のショッピングアーケードの中でも、というふうに時と場所を問わず、あらゆる場面で目にするようになってきたのである。

これらの人たちを注意深く観察してみると、どうやら2種類に分かれているように思われる。

つまり、その一つは技術を叩き込まれたいわゆる「プロの呼び込み屋さん」で、それだけを職務とする人たち、そしてもう一つは「普通の店員さん」で、従来はなかった「店先でのお客さんの呼び込み」という職務を新たに付け加えられた人たち。という分類にである。

 従って、世の中の「普通のお店」が、こうした呼び込み方式を取り入れていくのが一般的な傾向なのだとすると、いわゆる「プロの呼び込み」は別として、募集広告を見て「普通の店員」として応募する人たちとしても、従来のように店の中で、ただお客さんを待っているだけでなく、今ではこういった「呼び込み」ということも、職務の一つに入っているのだという「意識改革」をしておく必要があるのではなかろうか。
 
 

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