書評 ・ 「さよなら韓流」 北原みのり著 河出書房新社
別に女性だから悪いと言う訳ではないが、著者は何かといえばすぐ下半身の話を持ち出し、性について露骨な表現を繰り返しており、下品なことこの上ない。
また韓流スター「当方神起」を異常と思えるほど過度な評価で持ち上げて、その反面、同じジャンルで活躍する日本人スターたちを極端に見下した表現でこき下ろしている。これは読んでいて胸糞悪くなるほどである。
それに著者と対談する他の女性たちもまた然りである。特にともに知性派と呼ばれる「信田さよ子女史」と「渋谷知美女史」との3人の対談はひどかった。
この2人も司会者の北原氏に同調して、まるで悪乗りでもするかのように、韓流男性スターを礼賛し、日本の男性スターをこき下ろす大合唱を繰り広げているではないか。
しかしこのような言わばインテリとも言ってもいい女性たちが、なぜここまで韓流スターに入れあげるのであろうか。
しかも彼女らが褒める点は、ルックスや肉体的なことばかりで、中身である知性には少しも触れようとしないのである。
ということは彼女らにとっての韓流男性スターは、おつむの良し悪しなどは関係なく、見た目さえ良ければいいのだろうか。
普通これぐらいの女性だと、相手の知性についても関心を持つはずなのだが、でもそうしたそぶりがまったくないのは、いったいどうしてなのだろう。
この対談の中で、北原氏の数多くの過激な発言はともかく、信田さよ子氏の次の発言にはたまげてしまった。
「つまりねえ、経済的にも社会的にも(彼らより)圧倒的に優位に立てるわけですよ。女が社会的に優位に立てることってめったにないじゃないですか。今の私だったら貧乏な(韓国の)男の子なんて2人ぐらい養えるかなって思うと、色気すら感じるわけですよ」。(注)カッコ内筆者記。
こう語る信田女史とは、もうとっくに還暦を過ぎた人である。
また、もうひとつ疑問に思うのは、こうした内容的にいかにも”下品で過激”とも思える北原みのり氏の対談が週刊朝日やアエラなど、朝日系の週刊誌に幾度も掲載されていることである。
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「さよなら韓流」
北原みのり著
河出書房新社
価格:1300円
平成13年2月発行
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著者 北原 みのり (キタハラ ミノリ)
1970年生まれ。コラムニスト、女性アダルトグッズショップ「ラブピースクラブ」代表。
著書に『はちみつバイブレーション』『アンアンのセックスできれいになれた?』
『毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記』など。
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もくじ
● ヨン様が開いてくれた欲望の扉
● 東方神起で目覚めた男の美しさ
● 新大久保は女の解放区
● 女の楽園を潰さないで!
● これはピュアすぎる性欲なのか?
● 日本の男らしさと韓国の男らしさ
● 日本女の絶望が韓流ブームを生んだ?
● 韓流おばさんやめてくださいとか言われても
● 男のアイデンティティーの正体(9センチ) …他
女たちとの〈韓流〉対談も収録!
●「韓流はフェミである!」×信田さよ子×澁谷知美
● 「韓流は女子のボーダーライン!?」×西森路代
● 「女の欲望が、韓国ドラマをつくる!」×山下英愛
● 「女子のために生まれた、韓流という奇祭」×少年アヤちゃん
● 「在日コリアンがみた『韓流』」×韓東賢
● 「エロの現場で、韓流に愛を叫ぶ」×牧野江里(SILK LABO)
● 「あえて反論。韓流でいいのか日本の女」×上野千鶴子
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1 件のコメント:
北原みのりさんは、このような意見が来るという事を最初から想定されていると思いますよ。
何故、男の顔や体が綺麗な事、そしてそこに欲望を抱く「女」がいけないのでしょう?
そして何故、「男」はそのような「対象」ではなく「知性」で測られるべき「主体」なのですか?
韓流スターの多くが、実は顔と体だけでなく、高学歴で知性も備えている前提もありますが、顔や体を放置して努力のかけらも見られない男性は、国籍がなんであっても魅力的に映らないのは致し方のないことではないでしょうか?
知性などより、顔や体ばかり評価の対象にされて来た女からの「反抗」とも、受容できるのではないかと思います。
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