安い食べ物でもうまいものはうまい
値段が高いものが美味しいとは限らない、とかねがね思っている。
レストランしかりで、ディナーが一人数万円もする高級店の料理が必ずしもうまいとは限らず、1000円出せばお釣りが来るような場末の安食堂でもうまいものはいくらでもある。
食材にしてもそうだ。フレンチレストランで出るフォアグラはうまいか? 和食の松茸はどうだ。
高級レストランだといずれも万に近い値段だろうが果たしてそれに値するほどうまいだろうか。
一方値段の安い食材はどうだろう。卵しかり、バナナしかり、値段は昔と変わらず驚くほど安い。でもいつたべてもうまい。
本日のテーマは最近食べて、ことにうまい!と思った値段の安い2つの食品の話。
めざし
テレビの時代劇など見ているとめざしは粗末な食べ物として扱われていることが多い。
時代劇ならずとも、一昔前までめざしはおかずとしての粗食の類とされ、貧乏人の食べ物と見做されていた。
でも最近はどうだろう。スーパーでも魚類乾物商品コーナーに置かれているが、他の商品と比べて値段はむしろ高いぐらいで、安物というイメージはなくむしろ高級食品に属する値段なのだ。
したがって近頃の庶民はいつもめざしを食べているわけではない。
先日いつも行くスーパーで、「めちゃうまいめざし」と銘打った商品に出くわした。値段も手頃だったので買って帰り、夜の食事で食べてみたがその旨さに驚いた。
まさに「めざしってこんなにうまいものだったのか」と思ったぐらい、とびきり美味しかったので、立て続けに5匹をぺろりとたいらげてしまった。
ちくわ
ちくわと聞けば多くの人は真っ先に「おでんの具材のひとつ」と思いつくのではないだろうか。
そうなのだ。ちくはは、あつあげ、こんにゃく、と並ぶおでんの3大具材と言っていいだろう。
この商品も一般的に値段は安く、一袋100円前後のものが大半を占めている。
とはいえ、観光地などの土産物売り場では、1000円前後の値段で売られている「高級ちくわ」と銘打った商品も時々目にする。
値段が高いので、とびきりうまいはず、と期待して購入するのだが、スーパーの商品と比べて味と食感に多少の違いがあっても値段の違いほどの価値は認めがたい。
で、今回の食べたちくははどうだったのだ。スーパーで何気なく買った1袋88円の品物は?
さっそく、その夜、酒のつまみに食べてみた。切らずにまるごとかじったのだが、1口食べただけでその味と食感の良さにたまげた。こんなうまいちくわ過去に食べたことがあっただろうか?
スーパーで買ったおでんのちくわと言えば、噛むとぐしゃりとした食感で、弾力性が乏しく噛みごこちが良くない。味にしても特にこれっというものを感じない。
ところがこの商品はどうだ。プリプリとした弾力性のある触感。これぞ海産物といえるほどの風味の豊かさ。
これで値段が4本で88円とは。一体この商品のメーカーはどこなの?と思って、袋の表示を見てみると、「ニッスイ、日本水産姫路工場」とあるではないか。
なんと、嬉しいことに、地元の工場で生産された商品ではないか。
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