本の腰巻とは何ですか?
書籍において、本についてのキャッチコピーや推薦文等を記載し、本の一部分を被うように巻かれた紙を指します。 「帯紙」や「袴」、「腰巻」とも呼ばれ、目を引く内容を記載して、宣伝効果・購買意欲を高めるために付けられます。
かつて井上ひさしが審査員の「日本腰巻文学大賞」というのがあった
作家井上ひさしは本の腰巻について「書物を最後に古本屋へ売り飛ばすつもりなら帯やカバーやパラフィン紙や函は大切に保存しておいたほうがいい。
丸裸にしてしまった書物は驚くほど安く買いたたかれてしまうからだ」と言っています。
でもこう言いながら読みにくさから捨ててしまう方が多かったようです。
このように井上ひさしに限らず、捨ててしまわれるのが多い本の腰巻ですが、親しみと愛着を持っている人たちも少なくないようです。
その証拠にかつては「日本腰巻文学大賞」というものがあったのです。
井上やすしはその審査員の一員でしたが、ちなみにこの第七回の賞は、大賞が星新一の「安全のカード」、第一位が和田誠「いつか聴いた歌」、二位が武田泰淳「私の映画鑑賞法」となっています。
出典「まるまる徹夜で読み通す」井上ひさし 岩波書店
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
井上ひさし 本の腰巻(帯)推薦文の傑作
井上ひさしは本の推薦文を腰巻(帯)にたくさん書いていますが、そうしたもの中から優れた作品を一篇ご紹介いたします。
阿久悠著「作詞入門 阿久悠ヒットソングの技法」
クリエーターの壮絶な生きざま 阿久悠は十年か二十年に一度出るか出ないかの、才能に溢れた作詞家である。 この本を読むと、その彼でさえ、一篇の詩に生命を与えるために、どれほど苦しい時間を過ごさなければならないか、それがじつによくわかる。 彼は、われわれの生きる時代を芯の芯まで解剖し、人の生き方を底の底まで観察し、市場を徹底的に調査し、歌手を骨の髄まで分析し、さらに汗と血みどろの孤独な数十時間を経て、ようやくひとつの詞を誕生させる。 彼の詞が圧倒的に受けるのは、かつて必然となる。 だから、この本からわれわれが学ぶのは、単なる作詞の技術ではなく、作詞を生業とするひとりの人間の生きざまそのものについてなのだ。 この本は、そこで、人生論としても第一級のものとなった。 (1972年5月 産報ジャーナル/カバー) 出典:「まるまる徹夜で読み通す」井上ひさし 岩波書店 |
0 件のコメント:
コメントを投稿