作家井上ひさしのファンなのだが、好きになったのは今から45年前の37歳の頃だった。きっかけは当時読んだ氏の著作「日本亭主図鑑」読んだことである。
とにかく面白い本で、読み終わってもしばらく興奮が収まらないぐらいであった。
当時の読書記録が残っていたので、読み返すと、今でもその時の気持ちの高ぶりがぶり返してくるような気がする。
記録には本の価格も記入されているが、新潮文庫で240円とあるが、今のおよそ3分の1程度の値段である。
こんなに面白い本をこれほど安く買え、本好きにはとてもいい時代であったようだ。
古い読書記録が出てきた
(読書記録 昭和53年)
書名 著者 出版社 発行年月 価格 購入先 読了日
日本亭主図鑑 井上ひさし 新潮文庫 S53/11月 240円 未記入 未記入
女性批判の書物であるが、これまでのこうした書物の中では最高傑作ではないだろうか。
この著者の作品については過去に小説を一冊読んだだけで多くを語れないが、こうも鋭い観察力を持った作家だとは思っていなかった。女性の欠点について綿密に分析し、それに基づいて批判しているだけに大変な説得力を持っている。2~3の箇所で?と思うこともあったが、90%以上は納得できた。エッセイの内容の90%以上で読者を頷かせる書物などそれほど多くないだろうと思う。以前何かの週刊誌で、この人の1ヶ月に購入する新刊書の本題が30万円だというのを見て驚いたが、それほどにこの人はプロ意識の高い勉強熱心な人なのであろう。
井上ひさしが好きな理由は知らないことをよく教えてくれるから
氏のことを好きになって40年以上になるが、今好きな理由を言え、と言われれば、それは物事をよく教えてくれるからである。
とにかく物知りな人で、それも文學分野の事柄だけでなく、政治、経済をはじめとして幅広いジャンルにわた知識を持っている人なのだ。
物知りの理由は、ズバリ氏が無類の勉強家だからである。その証拠に毎月の本屋への支払いが30万円を下ることがないというのは驚きだ。
氏の本代は単行本をはじめとしてあらゆる雑誌、それに新聞5紙すべてを読んでいるのだ。
たとえば雑誌だが主だった週刊誌、月刊誌はいうまでもなく、文学者としては珍しく経済雑誌の「エコノミスト」まで購読しているのだ。これだとひと月の本代が30万円というのも頷ける。
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