2015年5月28日木曜日

古本屋では1冊100円! ・ 文学全集はもはや価値が無いのか?



文学全集はなぜ人気を失ったのか

我が家の本棚にはいまだに百数十冊に及ぶ文学全集が並んでいます。

もうかれこれ20年以上も同じ場所に動くことなく鎮座しているのです。

内訳は日本文学全集75冊、世界文学全集48冊、夏目漱石全集12冊などです。

ところがここ数年間、手にとって読んだことは一度もありません。

でも本を読まなくなったわけではありません。

文学全集は手に取りませんが、すぐ横にある文庫本の書棚にはよく手を伸ばしています。



それに文庫本の数はいまだに増え続けています。つい先月も村上春樹の作品が3冊増えました。

また図書館もよく利用しています。でも文学全集は読みません。読むのはもっぱら新刊書です。

しかし人は何故文学全集を読まなくなったのでしょうか。

全集に登場する古い作家にはもはや魅力が無いのでしょうか。

いや、そんなこともないでしょう。中には今でも根強い人気がある太宰治、谷崎潤一郎、織田作之助、なども入っているからです。

手に取らないのは重たくて扱いにくいからではないでしょうか。

それで軽くて取り扱いやすい文庫本ばかりに手が行くのです。

それだけではありません。今では文学作品はネットでも簡単に読めます。

多分ご存知の方は多いと思いますが、ネットには「青空文庫」という便利なサイトがあるのです。

これには没後50年が過ぎて著作権が切れた文学作品がゴマンと収められているのです。

例えば学校の教科書に最もよく採りあげられている芥川龍之介に至っては、実に374点という膨大な数の作品が掲載されているのです。

まさにネット上の「芥川龍之介全集」とも言えるではないでしょうか。

一人の作家でこれだけの数ですから、掲載されている作家のすべての作品を合わせると、想像を絶するほどの数になるに違いありません。

これを文学全集という紙の書籍にすると、おそらく数万冊にも及ぶのではないでしょうか。


文学全集の利用価値は無いのか

でも人々は何故文学全集に関心を失ったのでしょうか。

わたし個人としては、家の本棚に文学全集が並んでいることは良いことだと思っています。

なぜなら文学全集は分厚くてボリュームがありますからよく目に付きます。

したがって家に子どもがいれば、当然彼らの目にも付くことになります。

ということはこういうことなのではないでしょうか。

先ほど芥川龍之介が最もよく教科書に取り上げられている書きましたが、子どもが学校で芥川龍之介について学んだとします。

その後家に帰って我が家の本棚に彼の全集を見つけたら子どもはどう反応するでしょうか。

言うまでもありません。学校で習ったばかりの作家の全集を目にすれば、「アッ」と思って思わず手を伸ばすのではないでしょうか。

これこそ、子どもと本の出会いなのです。

ここから子どもは本というものを知り、読書に興味を抱いていくのです。

このように文学全集が家にあることは、本好きな子どもを育てることに繋がるのです。

ネットで本が手軽に読める時代とは言え、誰もがそれを読んでいるわけではありません。

それを読むのはやはり「本好きな人たち」なのです。その本好きは、家の本棚に並ぶ文学全集が作ったのです。

どうでしょうか、子どもを本好きにするためにも、この際家の本棚に文学全集を並べてみませんか?

2015年5月22日金曜日

≪待機児童≫だけではない ・ 特別養護老人ホームへの入居を待つ≪待機老人≫は50万人以上もいる



待機とは何かを行いたいのに、いろいろな事情ですぐには実行できず、行動に移すのを待ち構えることを言います。

いまこの待機で問題になっているのは「待機児童」と「待機老人」の二つです。

でも「待機児童」の方は安倍政権になって、解消に力を入れてきたため、このところ大幅に減少しています。

しかしもう一方の特別養護老人ホームへの入居を待つ「待機老人」の方は減少するどころか、年を経るごとに増加の一途をたどっています。

つまり増加を続ける高齢者の数にまったく追いついていないのです。


とは言え、民間では、サービスつき高齢者住宅(サ高住)などの供給が活発になっているのですが、料金が高いことから、特養の待機老人には選択対象になりません。

いま3000万人を超える高齢者ですが、その中の10%に及ぶ人たちはいわゆる貧困層に属していて、そうした費用の高い民間の高施設に入居する余裕はないのです。

豊かになったわが国だとは言え、残りの人生ががそれほど長くない身体の悪い高齢者が安心して過ごせる終の棲家が見つからないとは寂しい限りではないですか。


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待機児童とは≫ 
保育所への入所申請がなされており入所条件を満たしているにもかかわらず、保育所に入所できない状態にある児童のこと。出産後も働き続ける(働き続けなくてはならない)女性の増加、保育所の不足などが主な原因であり、都市部及び3歳未満児において問題が深刻化している。


≪待機老人とは≫

特別養護老人ホーム(特養)に入所を希望しているのに入所できていない高齢者のこと。その数は2014年度は52万2000人に及ぶと言われており、09年度の調査より間で約10万人、24%増えている

2015年5月17日日曜日

空き家が800万軒もあるのに ・ アパート建築がとまらないのは何故?



5月11日のNHKクローズアップ現代で興味深いテーマを取り上げていました。

いま日本には800万軒もの空き家があるのに、なぜアパート建築が一向に止まらないのか、という問題を取り上げていたのです。

つまり、新規にアパートを建築するより、800万軒もある空家対策の方が大事ではないか、という問題提起なのです。

しかし空き家が800万軒とはすごいことではないですか。これだと7戸に1戸が空き家になる勘定です。

いったいどうしてこれほど空き家が増えてしまったのでしょうか。

ここまでになる前に、何か対策は立てられなかったのでしょうか。

監督官庁はいったい何をしていたのでしょうか。


これを聴いた欧米の人はいったいどう思うでしょうか。

おそらく<アンビリーバブル!>と両手を大きく広げて驚くのではないでしょうか。

なぜなら欧米の人は家を求める際には、まず中古住宅に目を向けるのが普通だからです。

したがって中古住宅市場が活発に動いていますから、こんなに多くの空き家が出るのを不思議に思うのです。

<空家対策>、これについてはよく考えれば幾らでもよいアイデアは浮かんでくるように思うのですが、皆さんはいかがですか?

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アパート建築が止まらない 
~人口減少社会でなぜ~
  
 全国で深刻化する「空き家問題」。とりわけアパートなどの賃貸住宅は5戸に1戸が空き部屋となる一方、新規の建築は増え続けている。そのおよそ半数を占めているのが、住宅メーカーや不動産会社が提案するサブリース形式のアパート。会社は、空き部屋があっても「30年家賃保証」するとして、土地を持っている農家などにアパート建設を提案。土地の持ち主は税金対策にもなるしリスクも少ないと、多額の借金をしてアパートを建て、運営を会社にまかせる。しかし、取材を進めると、想定されていた家賃が保証されないなどとしてトラブルが相次いでいる。また、実際の需要を超えて、次々と新しい賃貸住宅が建設され、地域の空洞化が深刻な状態となる地域も出てきている。増え続ける「空き部屋」を通じて、日本の住宅政策のあり方を問う。 

(出典)NHKクローズアップ現代

2015年5月6日水曜日

いま<寿司専門学校>に熱い視線が注がれている ・ 海外の和食ブームの影響なのか



 
いま海を渡る寿司職人が急増している

先月の下旬、朝日新聞電子版に海外を目指す寿司職人のことが書かれていました。

その記事によりますと、いま世界各地で寿司の人気が急激に高まっており、日本食を提供するどの店でも寿司の注文が急増しているそうです。

そのために必要になるのが寿司コーナーの拡大と寿司職人の増強です。

こうした状況下で、いま海外では寿司職人は<引く手あまた>と言っても良いほどの売手市場にあるのです。

これを受けて活気を帯びてきたのが調理師学校です。

いま東京や大阪など、大都市の調理師学校では、寿司に特化した学科を設置して寿司職人の養成に躍起になって取り組んでいます。

生徒の方もどの学科より集まりが良く、募集すると数百人の定員はすぐ満員になると言います。

何故これほど人気を集めているのかと言えば、寿司職人として海外に行けば、日本国内よりうんと良い報酬で就職することができるからです。

どのくらい良いかと言いますと、国にもよりますが日本の倍ぐらいの報酬を払ってくれるところもは珍しくないのです。

ある新聞報道によりますと、日本より格段給料が低いアジアの国でも、月給が40万円程度に達することも珍しくないそうです。

これはスゴイことではないですか。海外へ行って寿司を握るだけで、これほどの高収入が得られるとなると、たとえ専門学校で2年間ぐらい勉強するとしても、志願者は山ほどいるのではないでしょうか。

寿司がこれほどグローバルな人気食品になったのも和食が世界遺産として認められたからに違いありません。

こうした点を考えても、これが一過性のブームで終わるとは思えません。

今後も世界の寿司市場はますます拡大していくことは明らかです。

この様子だと、これからは寿司職人として世界を股にかけて活躍する日本人がどんどん増えてくるのは確実です。

グローバル社会の今、寿司職人に夢をかけてみるのもスバラシイことではありませんか。

2015年5月1日金曜日

このデータがユニークだ!(その7) ・ 欧米に比べて寛容性を重視しない日本

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寛容性

読み方: かんようせい
英語: tolerance 
反対語: 狭量、厳格

ある物事について、排斥することなく、おおらかに受け入れることができる気質や性質。または、そうした性質がどの程度あるかという度合い。 

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日本人は何故<寛容性>を大事と考えていないのか

上のデータでお分かりのように欧米のことごとくの国が、子どもに教えておきたいことのトップに<寛容性>を挙げています。

それに比べてわが国をはじめとするアジア諸国でこれを3位までに挙げている国ははありません。

因みにわが国が挙げているベストスリーは責任感、決断力と忍耐力、自主性です。

これに関して分からないことが一つあります。

それは、これら三つが日本人にとって最も大切だから挙げているのか、それとも日本人に欠けているからなのか、がよく分からないのです。

でもよく考えてみると日本人が責任感、決断力・忍耐力、自主性などの点で優れているとは思えませんから、理由として挙げるとすれば後者なのではないでしょうか。

まず責任感ですが、このところに幼児虐待や育児放棄などで義務を放棄する親が多くなっていることを見ても、日本人が責任感が強いとは思えません。

次に決断力・忍耐力ですが、日本人にこれが欠けているのは明らかです。

なぜなら、Noをはっきり言えず、いつもYesばかり言っているからです。


つまり<はい>、<いいえ>、の決断をつけることができずに、Yesと言ってお茶を濁していることが多いのです。

では忍耐力はどうでしょう。これについては、日本人は粘り強いとも言われていますから、案外良い線をいっているのではないでしょうか。

日本人は忍耐を美徳としている節がありますから、それで第2位に挙げているのだとも考えられます。

では3位の自主性はどうでしょうか。

これについては日本人はまったく弱いと言えるのではないでしょうか。

でしゃばらない、目立たない、ことを美徳と考える国民性にとって、自主性は最も苦手な分野であるに違いありません。


でも、寛容性を挙げてない理由は何なのでしょうか。

寛容性とは、上でも説明しているように<物事をおおらかに受け入れる気質や性質>のことです。

これは島国の単一民族である日本人には特に不足している資質ではないでしょうか。

寛容の反対語は狭量や厳格ですが日本人が資質として備えているのは、むしろこちらの方ではないのかとも思えます。


図表は「社会実状データ図録」から