2019年11月27日水曜日

そのうち読もうと思っている本棚の文学全集になかなか手がつけられないのは何故?

 
本棚の本を単なるインテリアで終わらせていないか?
 
電子図書であらゆる本が簡単に読めるようになった昨今になっても家の本棚にたくさんの本を並べている人は少なくないようですが、いったい並べた本は読まれているのでしょうか。
 
並べられた本にはおそらく未読のものが少なくないはずです。読みかけてやめたのか、あるいはいずれ読もうと思って並べているのかもしれません。
 
そうした未読のものにはいわゆる全集と言われるものが多いのではないでしょうか。なぜなら、全集ものは装丁がきれいなものが多く本棚に並べると見栄えがよく格好のインテリアになるからです。
 
それだけでなく”知的でありたい”というインテリ願望も満たしてくれます。
 
 
家の本棚の本がついつい後回しになってしまうのは?
 
でもなぜ自宅の本棚に未読の本がたくさんあるのでしょうか。理由はいろいろありますが、大きいのは、今は本の調達方法が非常に多くなったからではないでしょうか。
 
中でも最も影響が大きいと思われるのはインターネットの電子図書の出現です。電子図書といえば、まず第一に挙げるべきは「青空文庫」というサイトです。
 
これは死後50年が経過した(著作権が切れた)内外の主だった作家の作品が網羅されている電子書籍の図書館です。
 
たとえば国内作家で言えば、夏目漱石、芥川龍之介、太宰治など往年のメジャー作家の主だった作品がすべて収められているのです。
 
これらの作品がどこからでもパソコンやスマホを使って簡単に、しかも無料で読めるのです。これはネットがなかった時代に比べるとまるで夢のような話です。
 
 
今は読む本の調達方法はいろいろ
 
そのうち読もうと思っていながら、いつまでも手がつけられず、単なる飾りに終わってしまっている原因が何かといえば、今は本を調達するために選択肢が多いからです。
 
つまり、あえて本棚にある古くなった自分の本を読まなくても、他に新しくて魅力的な本を調達する方法がいくらでもあるからです。現在の本の調達方法はざっと並べれば次のようのものです。
 
 
・インターネットで電子書籍を読む
電子書籍の魅力は、無料で読めるものが多い上にジャンルの広さと点数の多さです。
 
たとえば「青空文庫」ですが、夏目漱石、芥川龍之介、太宰治などの有名作家ですと(没後50年を経過した人に限る)なら、その作品のほとんどすべてが掲載されています。それがすべて無料で読めるのですから凄いことです。
 
・書店で新しい本を買う
お金がかかるとはいえ、時代の流れについていくためにもある程度は新しい本の調達は必要です。
それを購入するのが本屋さんです。
 
・図書館へ行く
図書館といえば古い本ばかりいうイメージを持っている方は少なくないはずです。つまり人の手垢にまみれた古い本しかない、と思っているのです。
 
でも今ではこの考えは通じません。もちろん大半は古い本で占められています。しかし図書館の一角には「新刊コーナー」という陳列棚があり、そこには新刊書ばかりが並んでいるのです。数は少ないとはいえ、図書館では新刊書も読めるのです。
 
・自分の書棚から探す
自分の書棚の本は時の経過とともに次第に増えてきます。本好きの人ほど増え方が顕著で、そのうち収納スペースが無くなる人もいるでしょう。中には収納スペースが無いのが理由で本屋で新しい本を買わず、図書館や電子図書しか利用しない人もいるくらいです。
 
 
 
こうして本の調達方法の特徴を並べてみてもわかるように、「自分の書棚からさがす」は選択肢の最後のなってしまいます。
 
これが家の本棚の本がいつまでたっても手がつけられない最大の原因ではないでしょうか。つまり余程読み物が払底しているときでない限り、家の本棚の本には手がつけられないのです。
 
したがって中途で読み止しの本や、手にとって読むのに骨のいる扱いにくい全集ものが未読のままどんどん貯まっていくのです。




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2019年11月23日土曜日

名作を読み直してみた(1)・ 田舎教師 田山花袋

 
 
文庫版(新潮文庫)は106刷りにも達する超ロングベストセラー
 
一見自伝風の作品だが、そうではない。花袋には生涯教師の経験はない。
 
「蒲団」と並ぶ代表作だが、古い作品にもかかわらず現在でも根強い人気を続けている。その証拠に左の写真にある新潮文庫は平成30年の発行まで実に110刷りを数えており大ベストセラーにも匹敵する発行部数を誇っている。
 
110刷がいかにすごいかといえば、たとえば夏目漱石の「こころ」や「草枕」などと比較しても、決して遜色がないことからもよくわかる。
 
もっとも太宰治の「人間失格」のように206刷りという恐るべき超ロングベストセラー作品もあるのだが。
 
 
田舎教師はなぜこれほど長い間人気が続くのか
 
・文章とストーリーがわかりやすい
古い本を読むのに悩まされることのひとつは仮名遣いと意味不明の古い用語が多いことです。今の新仮名づかいでなく、読みづらい旧仮名づかいになっている上に、今では使われていない古い用語が出てくることもあります。
 
確かにのこの作品にもそうした箇所は少なくありません。でもそうした箇所にはほとんどルビが振られていますから読めないことはありません。
 
そんな難点は多少あっても、文章が回りくどくなく非常に素直な読みやすい表現で書かれいるためスラスラ読み続けていけます。
 
またストーリーが時系列に順序だてて展開しているため、わかりやすく、途中でこんがらがり、立ち止まって整理しなければならないようなことはありません。
 
読んでいる最中に「なんとわかりやすい小説なんだろう」と何度も思ったぐらいです。
 
 
・卓越した背景(情景)描写と心象描写
一般的に小説は、背景描写、心象(心理)描写、会話文でなりなっています。その比率は均等ではなく作品によって異なりますが、概して下手な小説ほど会話文の比率が多く、小説で大切な要素である背景や心象描写がうんと少なくなっているようです。
 
それは会話文に比べて書くのが難しいからです。会話文はともかく、背景や心象の描写こそが作家に力量が問われる大切な要素なのです。
 
この作品は会話文は極端に少なく、その反対に背景、心象の描写が非常に多くなっています。だからといって決して読みづらくはなく、作者の卓越した表現力(文章力)はこの作品の価値をうんと高めています。
 
 
・登場人物が多彩で魅力的 
主人公(林清三)の魅力を語るには、登場人物を挙げないわけには行きません。なぜならこれが多彩で多いほど、主人公の人間性が良くわかるからです。
 
彼を取り巻く人物は学生時代の友人を初めとして男女とも非常に多くいます。とりまく友人が多いということは彼が人として魅力があるからであり、それが人をひきつけるのです。これが登場人物を多彩にし、この小説の大きな魅力になっています。
 
 
・文学のかおりが高い
小説などの文芸作品を読んでいると、よく文学とは何か、という命題に突き当たります。特に純文学と称される作品を読む際によくあることです。何を言おうとするのかが不明で内容にさっぱり興味がわかないため、小説(文学)というもの意味がわからなくなってしまうのです。
 
その点この作品は違います。薫り高い瑞々しい文章が散りばめられており、味わい深い文学のかおりが、初めから終わりまでいたるところに立ち込めているからです。
 
”これぞ文学 ”という思いを強く感じさせる作品です。
  
 
 
田舎教師 あらすじ
主人公林清三は、埼玉・三田ヶ谷村の小学校教師。中学卒業までは青雲の志に燃えていたものの家庭の事情もあって卒業後は薄給(月給11円)地方の教師になるしかなかった田舎の地味な教師生活の中、時には東京から下宿先の寺に学生時代の親友らがやって来て、酒に酔いにまかせて文学談義を闘わしたり、また一高に行った友人から葉書を羨望をこめて読んだりしながら日々を送っていた。そうした中で教師仲間で通った田舎の小さな料理屋酒の味もおぼえ。夏休みがやってくると密かに思いを寄せていた熊谷に住む親友の妹が学校から帰ってきたのを訪ねてその美貌に恋心を募らすそうした焦燥と寂しさを癒やそうと利根川べりの妓楼に女を求めに行くようになり生活は乱れるやっと堕落から逃れて、何とか気を取り直すと、かねてより学校の授業の合間に勉学を重ねてきた音楽の試験を受けに東京へ行くが、あえなく失敗に終わり借金はますます増えていったその後健康も次第に悪化して、病魔は日に日に体を犯していったついに学校休み、実家で養生を続けたがくしくも日露戦争での遼陽半島占領で賑わう提灯行列の日に貧困のなか寂しく死んでいく。


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2019年11月18日月曜日

若者ことば「なにげに」と「ほぼほぼ」が嫌い

 
若者ことばに違和感を感じるのは年齢のせいではない
 
タイトルに「なにげに」と「ほぼほぼ」という若者ことばが嫌い、とはっきり書いていますが、なぜ嫌いなのかといえば、感性が合わないからです。
 
とはいえ、それは年齢のせいではありません。それが証拠に、若者ことばでも好きなものはあります。
 
たとえば人気漫才コンビサンドイッチマンがはやらせた「意味わからん」という言葉は大好きです。その他でも「半端ない」や「やばい」なども嫌いではありません。
 
年齢などは関係なく「嫌いなものは嫌い」という感じです。要は語感が悪く、見るのも聴くのも嫌なのです。したがって自らが使うなどはもってのほかです。
 

こうした若者ことばは一時だけの流行ですから、そのうち消えていくものでしょうが、どうせならできるだけ早く消えていってほしいものです。 


さてこれら二つの言葉の意味ですが、「ほぼほぼ」については想像がつきますが、もう一つの「なにげに」は想像ではわかりません。

ご参考までにネットに載っている二つの言葉の意味を下に記しておきます。

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何気に

読み方:なにげに

何気なく」(何気無く)を省略した若者言葉さりげない、特別な様子見せないさま。「さりげない」も「さりげに」と略されることがある
 
 

ほぼほぼ

「ほぼ」を重ねて強調した言い方。完全とは言えないまでも、おおむねその通りであると述べる際に用いられる表現三省堂が「今年の新語2016」の大賞に「ほぼほぼ」の語を選出している。

「ほぼほぼ」の意味・ニュアンス基本的に「ほぼ」と同じと言い得るが、使用者ごとに微妙にニュアンス異な場合もある。「ほぼ」よりもさらに確度が高いさまを示す意図がで用いられている場合あり得るし、「ほぼ」の語調強め意味合い重ねて述べている場合あり得る。単に口語では「ほぼ」という表現が短すぎては聞き逃されるという懸念から重ねて述べているだけ、ということあり得る
 
 
出典・Weblio辞書 

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使う人の言葉のセンスが疑われる
 
どんな言葉を使うかは使う人の自由で誰にも止める権利はありません。

「なにげに」は、つい最近もyoutubeの動画で聴きました。ただし視聴率の高い人気動画ではありませんでした。「ほぼほぼ」の方も夏場のプロ野球中継で解説者が使っているのを聴きましたが好きな解説者ではありません。

いずれも、聴いたときは「うーん」という唸り声が出るだけで、聴いて好い気はしませんでした。と同時に、いい年をしてなぜこんな言葉を使うのだろう、という疑問も残りました。
 
要は言葉に対する感性(センス)が悪いのではないか?という風に思っただけです。
 
 
ボキャブラリーが多ければ変な言葉は使わない
 
「なにげに」「ほぼほぼ」などの意味のはっきりしない言葉を使う人は、たぶんボキャブラリーが少ない国語力の弱い人なのではないでしょうか。

言葉の選択肢が少ないために、つい流行っているいい加減な言葉を使ってしまうのかもしれません。

言葉は大事です。言葉によって相手に信頼されたり、されなかったりするのですから、決しておざなりにすることはできないのです。それはネットの人気ユーチューバーを見てもよくわかります。
 
 
人気ユーチューバーは言葉づかいがうまい
 
最近注目を浴びているユーチューバーですが、人気がある人はたいてい言葉遣いが上手です。

おそらく人気が出た理由の半分ぐらいはボキャブラリーの豊富な巧みな話術にあるのではないでしょうか。要は聴いていて話が面白く説得力があるのです。

これからユーチューバーを目指す方は、ボキャブラリーを増やし話術を磨くことがいちばんの課題ではないでしょうか。
 
 

2019年11月15日金曜日

騙されてはいけない!「わけあり品商法」と「忘れ物市商法」

 
ネットに「わけあり商品」と銘打ったパソコンの広告が連日出ているのは何故?
 
ネットにわけあり商品として、パソコンの広告が出ているをよく目にします。
まず「わけあり商品」ですが、これがどんな商品かといえば、ネットサイトの解説では次のように説明しています。
 
訳あり商品とは
様々な規格外を理由に格安販売される見切り品のこと。いわゆる「アウトレット商品」。「わけあり」とされる値下げ理由は、型落ち品、新古品、展示品処分、キズモノ、不揃いサイズなど様々。 たとえば、不揃いサイズの煎餅や、今まで廃棄処分していたケーキの端の部分を寄せ集めて再利用した菓子など食料品から、わずかなキズがある家具類など。僅かな外見上の見劣りに目をつぶるだけで、正規品より半額~8割引きなど格安で販売されている。 これまで日本の消費者は、海外に比べ神経質な傾向があり、流通側は高い検品コストをかけたうえで商品を出荷していたが、近年の不景気デフレによる庶民の節約志向と企業側の価格戦略が、マッチして流行になりつつある。 従来の日本の消費者は、生鮮食料品に対して味や安全性だけでなく、色・形など枝葉末節に至る要求が多かった。この消費者の性向が、値下げに対する歯止めとなっていた。 「わけあり商品」として着目される以前は、廃棄処理されていた商品も多く、工夫次第で商品の再利用、ゴミ減量などに効果があり、エコブームとも相乗効果をあげつつある。
出典・HATENA KEYWORD
 
上の解説でお分かりのように、訳あり商品を簡単に言えば
規格外を理由に格安販売される見切り品
・アウトレット商品
型落ち品、新古品、展示品処分、キズモノ、不揃いサイズ品など
わずかだがキズがある家具類など
ケーキの端の部分を寄せ集めて再利用した菓子など
以前は、廃棄処理されていた商品
のようになり、要はまともな価格では販売することのできない不良品のことを言うのです。
ということは当然数に制限があり、新品商品のように豊富にあるわけではありません。したがってもし宣伝広告をするとしても、控えめで限定的なものになり、何日も続けて派手にやるものではないはずです。
この考えからすると、ネットのパソコンの広告は明らかにおかしいのではないでしょうか。なぜなら数に制限があるはずの品物なのに、まるで無制限にあるかのごとく長い期間にわたって広告を出し続けているからです。どう考えても訳あり商品がこうした広告量に匹敵するほど豊富にあるとは思えません。
こう考えていくと、この広告には何か偽りがあるのでは?という疑念がわいてきます。つまり、訳あり商品ということに疑いが生じるのです。
本当はわけありではない新品の商品を、わけありと偽って値引きして売り込もうとしているのではないか、という疑いです。こうすることによって顧客の関心を集め、より多くの客を集めようとしているのではないでしょうか。
だとすれば、嘘をついて客を騙す詐欺商法にあたります。
デパートの「忘れ物市」がいまやスーパーや量販店でも定番に
 
もう何十年も前からある、いわば古典的とも言っていいほどの古い商法なのですが、なぜか最近は以前にも増してよく目にするようです。というのも以前はデパートだけで行われていたものなのに、昨今はスーパーや大型量販店にもち込まれているからです。
 
つい先日も行きつけのスーパーの店頭に「JR,私鉄大忘れ物市セール」と銘打って、おびただしいの数の商品が陳列されていました。
 
目に付いたのは傘、バッグ類、時計などですが、近づいて見てみると値段はさほど安くはないのです。
 
まず傘ですが、いずれも500円前後の値段がついており、安さが売りの忘れ物商品らしくありません。いまどき100円ショップでも200円で折りたたみ傘が買えるというのに、なんといった価格設定なのでしょうか。

次は時計ですが、陳列されている豊富な品揃えには圧倒されてしまいます。時計の忘れ物がとうていこれほど多くあるとは思えず、見ていると笑いさえこみ上げてきます。

あきらかにこれは忘れ物などではなく、訳あり品か何かに相違ありません。要は忘れ物市と偽ったいわば詐欺商法の一種なのです。悲しいかな、今はこんなことまでしなければ商品が売れない時代なのです。

なおデパートの忘れ物商法については、このブログで10年近く前に取り上げた記事がありますから、参考までにご一読ください。
 
 
「デパートの忘れ物市、その商法に疑問」 https://tuneoo.blogspot.com/2010/08/blog-post_26.html

2019年11月10日日曜日

バスの運転手不足で進む高齢化と女性運転手の増加

 
バス業界の運転手不足が深刻な問題になっている
 
高齢化社会真っ只中の今の日本では高齢になって定年を過ぎても仕事を続ける人が多くなっています。

高齢者の働き手は様々な職種に及んでいますが、自動車の運転手も例外ではありません。
 
運転手は運送業や輸送業に多いのですが、当然タクシー、バス業界もその中に入ります。
 
タクシー、バス業界の運転手不足は慢性的なものになっており、その証拠に求人広告にはいつも運転手の募集が載っています。
 
最近目立つのは女性運転手の募集です。ダンプでも女性運転手がいる時代ですから、バスやタクシーの運転手がいてもなんら不思議はありません。
 
外出の際にバスはよく利用しますが、今月に入ってもう2度も女性運転手に遭遇しました。
 
運転手不足で女性運転手が増えることは悪くないのですが、心配なのは男性運転手の高齢化が進んでいることです。
 
女性運転手にターゲットを合わせるのは男性のなり手が減少しているからであり、そうした中で男性を増やすためには年齢層を広げざるを得ないのです。
 
つまり、これまで60歳までが採用に上限だったものが、65歳までというふう次第に対象年齢が拡大されるのです。その結果、高齢の男性ドライバーの増加となるのです。
 
 
6人に1人が60歳以上、バスの運転手の高齢化対策で必要不可欠なのは
 
バス運転手の高齢化がどの程度進んでいるかは、現在の6人に1人が60歳以上であることにそれがよく証明されています。
 
6人に1人ということは、60人の運転手がいるバス会社には少なくても10人は60歳以上なのです。
これを高齢化といわずなんと言えばいいのでしょうか。
 
今後この傾向はますます進んでいくのです。高齢ドライバーの事故が問題になっている昨今にあって、対策は待ったなしです 

 
山交バス(山形県)の取り組みに注目が集まっている
 
高齢運転手が増えるバス会社にあって最も大切なのは事故対策です。運転中に健康状態が急変し、運転不可になったときの対策です。
 
それで注目されるのが山交バス(山形県)が打ち出した対策です。
 
その対策とは、電車のように、乗客の誰もが操作できる緊急停止ボタンの設置です。以下はそれに関する最近の朝日新聞の記事です。
 
 
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山交バス(山形市)の「ドライバー異常時対応システム」が画期的

バス運転手が急病、乗客も止められます 路線バスで導入

朝日新聞電子版 20191010
 
バスの運転手が急病などで運転できなくなった時、乗客が安全にバスを停車できる「ドライバー異常時対応システム」を、10日から山交バス(山形市)が路線バスの一部で採り入れる。同社によると、路線バスへの導入は東北地方で初めてだという。
 同社によると、対象は市街地を走る路線バス3台。バスを停車させる「緊急ボタン」は、運転手用にハンドルの下、乗客用に運転席後部の柱の2カ所に設置。ボタンを押せば、ハザードランプなどで周囲に異常を知らせつつ、約10秒でバスを停車させることができる。ブレーキは2回に分けてかかり、乗客への危険が少ないという。
 国土交通省東北運輸局によると、東北6県のバス会社で昨年までの5年間に、運転手の体調不良で運行が中断した事例は計47件。うち8件は事故につながったという。2014年には宮城交通(仙台市)の夜行バスが富山県のサービスエリアでトラック2台と衝突して28人が死傷。同局は運転手が事故直前に意識を失ったとみている。
 山交バスは今年4月に仙台線の高速バス3台に導入しており、今後も増やしていく方針だ。安達吉宏・安全指導課長は「万が一の場合にはちゅうちょなく緊急ボタンを押してほしい」と話している。