2024年8月28日水曜日

このデータに注目!リスクを危険と取るか、好機(チャンス)と取るか

 

               出典:社会実情データ図録

日本は「危険と取る」が80%で 世界7位

人生にリスクや失敗はつきものである。しかし、それを恐れるだけなのか、それともむしろチャンスととらえるかでその後の人生は大きく異なって来よう。

ここでは、成人と子どもの両方で、リスクや失敗に対する姿勢を各国間で比較した意識調査結果を見てみよう。

 結論的から言うと、リスクを好機ではなく単に脅威と感じる傾向があり、世界の中で最も失敗を恐れる日本人の姿が明らかである。慎重さが共通と見られるドイツ人と日本人だが、ドイツ人のプラス思考とは対照的な日本人のマイナス思考が目立っている。

 まず、成人の意識調査結果から見てみよう。

 OECDのスキル報告書は、ロイズが2019年に行ったリスクに対する各国意識調査の結果を掲載している。これは、リスクを「危険」と考えるか、「好機」と考えるかの違いを探った調査である。

 OECD全体では、リスクを「危険」と考える回答率、「好機」と考える回答率がそれぞれ68.2%、22.3%となっており、一般的には「危険」と考え、「好機」とするのは2割強の少数派であることが分かる。

 対象40カ国の中で日本は、「危険」回答が79.6%と7番目に高く、「好機」回答が15.3%と28番目と少ない。

 ちなみに「危険」回答の最大、最小は、それぞれ、メキシコ、ラトビアであり、「好機」回答の最大、最小は、それぞれ、ドイツ、クロアチアであった。

 「危険」回答の高い国は、メキシコ、コロンビアなど中南米の国が多く、実際、犯罪などの危険が多い国だから回答も「危険」が多くなっていると考えられる。

日本は安全な国であるはずなのに「危険」回答が多い点が目立っているといえよう。ヨーロッパでも、スペインやスウェーデンは日本以上に「危険」回答が多くなっているが、これは日本と同様に用心深い国民性によるところが大きいと考えられよう。

 以下では主要先進国(G7諸国と韓国)のデータを抜き出して表にした。日本が「危険」回答がトップ、「好機」回答が最低であるのが目立っている。同じく慎重で用心深いと考えられているドイツが「危険」回答最低、「好機」回答最高であるのは意外である

出典:社会実情データ図録。


2024年8月26日月曜日

書評「遠慮ないうたた寝」 小川洋子 河出書房新社

 


やさしさ、温かさ、思いやりに満ちた心温まるエッセイ集

エッセイについては常々思っているが、たとえ有名作家のものであっても、必ずしも作品が優れているとは限らない。

やっつけ仕事とまでは言わないが、締め切りが迫って気の乗らないまま仕方なく書かされた、と思われるものも少なからずあるのだ。

そうした作品はテーマ、内容、切り口などいずれも良くない、いわゆる心のこもってない作品で、どう見ても一生懸命書いたとは思えない。

それに反して今回ご紹介する小川洋子のエッセイ集「遠慮ないうたたね」はどの作品も心を込めて一生懸命書かれたことが読んでいてよくわかる。特に第一章は秀逸な作品が揃っている


日常のなんでもない事をテーマに切り口よく上手にまとめている

エッセイの良し悪しはテーマと切り口で決まる、と常々思っている。テーマ、切り口とも良ければ言うことはないが、日常の何気ない事をテーマにしても切り口が良いと、作品として優れたものになる。

今回のエッセイ集「遠慮ないうたた寝」が良かったのがまさにこれに当てはまり、テーマは何でもないことであっても、切り口が鋭いためすぐれた作品に仕上がっているのだ。

とはいえ最初から最後まですべてが良いわけではない。最も良かったと思えるのは第一章で、これが全体の半分ぐらいのページを占めるので評価を高めている。

でも第二章以降はいわば付け足しのような作品が多く、いわば誰でも書けるような平凡なエッセイと言っていいかもしれない。

 

これは意外!小川洋子と官能小説

ネット画像に載っている小川洋子さんの画像を見ると、どれもかわいらしくて清純なイメージである。

でも驚いたのが第四章である。下で紹介するこの本の目次にもある(官能とユーモア 田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』という小説を紹介しているのだ。この作品は30年以上も続くロングセラーの人気作品である。

多くの人がこの作品を「大人の恋愛小説」と言うが、言い換えると官能小説と呼ばれる分野に入るのではなかろうか。

官能には「性欲を享受する」という意味があるように、官能小説とはずばりセックスがテーマの小説と言ってもいい。

その作品の男女の官能シーンを小川洋子は深く感銘し、作者を褒めちぎっているのだ。

でもこうした作品に深入りするのは、それこそ彼女のイメージ(こちらが勝手に作りあげたものかもしれないが)にそぐわないと思うのだが。

とはいえうなずける点もある。それは小説家を含めインテリ女性ほどセックスに関心が高い、と日ごろから思っており、あの清純そうな小川洋子もやはりそうだったのだ、と納得できるからだ。

 

装丁(表紙)の美しさも見逃せない

余談めいた話になるが、この本を気持ちよく読めた理由の一つは群を抜いた装丁の美しさである。

もちろん装丁は内容の良し悪しとは一切関係ないのは言うまでもない。

しかし、表紙を眺め、その美しさがページをめくる楽しさを高めることもあるのだ。

ちなにみこの装丁に携わったのは名久井直子さんである。

 


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出版社内容情報

神戸新聞の人気連載「遠慮深いうたた寝」を中心に、約10年分の中から作家の素顔が垣間見られる、極上エッセイを厳選収録。

 

内容説明

日々の出来事、思い出、創作、手芸、ミュージカル…温かな眼で日常を掬い取り、物語の向こう側を描く9年ぶりのエッセイ集!


目次

1 遠慮深いうたた寝(集会、胆石、告白;地雷だらけの世界で ほか)
2 手芸と始球式(手芸と始球式;指と果物 ほか)
3 物語の向こう側(干刈さんの指;二次会へ ほか)
4 読書と本と(官能とユーモア 田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』;恋をなくした時に読みたい本 ほか)

 

著者等紹介

小川洋子
1962年、岡山県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。91年「妊娠カレンダー」で芥川賞を受賞。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、13年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、20年『小箱』で野間文芸賞、21年菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出典:紀伊国屋書店


2024年8月22日木曜日

いまどき 夫を「あなた」と呼ぶ妻はいるのだろうか?


 

テレビドラマや映画などで、妻が夫を「あなた」と呼ぶシーンに出くわすことがたまにある。

はっきり言って、これを聴くとこちらが恥ずかしくなるだけでなく気持ち悪ささえ感じる。

主に上流階級の夫婦に多いようだが、この言葉って、庶民にはもはや死語になっていて、使う人は皆無なのではないだろうか。

これについて読売新聞の人気掲示板サイト「発言小町」では次のような意見が述べられている。

 

「あなた」に関して発言小町ではこう言っている

(Part 1)

山のあなたの空遠く


 

タイトル通りです。
平成の時代に、夫を「貴方」と呼ぶ妻がどの年代でどれだけいるのか気になりました。


私の知る限りいません。


子持ちの人は「お父さん」「パパ」が多いです。


私は、30代既婚です。
主人を名前で呼んでいます。年上の主人ですが呼び捨てです。(汗)


主人からは「〇〇ちゃん」と呼ばれています。


以前、「貴方」「お前」と呼び合いたいと言われ爆笑したことがあります。


やっぱり、男性は「貴方」と呼ばれたいのでしょうか?


望み通りに呼びたいのですが、すっごく恥ずかしいです。


トピ内ID:1912152484


                     出典:発言小町

(Part 2)

 

アラフォー、結婚15年、子どもあり(2人)の妻です。
みなさんは夫を呼ぶ時(夫に呼びかける時)
「あなた~」と呼びますか?
私は1度も「あなた」と呼んだ事がありません。


また、周囲でそう呼んでいる人も誰もいません(実親、義親、友人夫婦等)
ドラマやサザエさんで、さんざん耳にする「あなた~」を
実生活で一度も耳にした事がないのです。


子どもの頃からテレビで「あなた~」とか「ねぇあなた」と呼んでいるのをを聞く度に
「こんな呼び方をする奥さんって実際にいるのかな?」とずっと不思議に思っていました。


地域性もあるのでしょうか?(ちなみに関西出身で、今は東海在住です)
よかったら「呼ぶ」「呼ばない」「自分は呼ばないけど、周りは普通に呼んでいる」といった情報と
居住地を教えてくださいませ。

トピ内ID:8113372505


                              出典:発言小町

 

《まとめ》今時の妻は夫をこう呼んでいる

ねえあんた

ちょっとあんた

お父さん

パパ

〇〇さん(例=信彦さん)

〇〇(例=信彦)


2024年8月18日日曜日

「駅ピアノ」や「街頭ピアノ」 弾いているのは


演奏者が女性より男性が多いのはなぜ?

駅ピアノとか街頭ピアノと呼ばれ、今は駅のコンコースや街中のビルなどでよく目にするが、なぜか3度のうち2度は演奏者が男性である。

あえてこう言うのも、ピアノを弾く人は男性より女性の方が多いからだ。それ故に駅ピアノや街頭ピアノの演奏者も当然男性より女性の方が多いはず、と人々は思っている。

しかし実際はそうでなく、どこのピアノも男性の方が圧倒的に多いのだ。

もともと弾く人が少ない男性が駅ピアノに限ってなぜ女性より多いのだろうか。これって、とても不思議なことだと思いませんか。

ちなみにピアノ経験者の男女比率を見てみると下のようになっている。

 

ピアノ経験者の男女比率

2021のピアノ経験者の割合は,53.8%と高い数値を示した。男女別の学習率は、男性23.6%、女性 68.0%である。


上の比率でみれば、ピアノが弾ける人は男性より女性の方が圧倒的に多く、その数は女性3人に対して男性1人である。


ピアノの経験者 男性は女性の3分の1しかいない

上で見るようにピアノ学習者の男女比率は1対3、つまり男性より女性の方が3倍も多いのだ。

学習者の男女比がこうであれば、当然演奏者もこれに準じて女性の方が多いのは当然のことである。

にもかかわらず駅ピアノの演奏者は男性が女性の倍以上に及んでいるのだ。

これはいったいなぜなのか。誰だってその理由が知りたくなるのではなかろうか。

 


「駅ピアノ なぜ演奏者は女性より男性の方が多いのか」理由を考えてみた

ピアノ教室などでピアノの学習を続けていると、年に一度は発表会という催しがあって、学習の成果を聴衆に聞いてもらう機会がある。

人は誰にでも自分の能力を他人に認めてもらいたい欲求がある。つまり自慢したい気持ちである。

これが簡単にできるのが駅ピアノなのである。申し込みもいらず、審査もなしに、いつでも好きな時、自由に人前でピアノ発表会が出来るのだ。

駅ピアノが流行っているのは、こんな単純な理由によるものではないだろうか。ではなぜ女性より男性の方が多いかというと

それは「男でもこんなにピアノが弾けるんだよ」という自慢なのではあるまいか。

なぜ男性にこうした自慢欲求が強いかと言うと、女性より男性の方がピアノ学習者が少なく、希少価値がある。


それ故に、この事実を世の人々に知ってほしいという思い(自己顕示欲「注」)からの行動に違いない。



「注」自己顕示欲とは


Search Labs | AI による概要


自己顕示欲とは、自分自身を目立たせ、周囲の注目を集めたり、褒められたりしたいという欲求です。自分の能力や長所をアピールすることで、他人よりも目立ち、評価を高く維持することを目的としています。

自己顕示欲は、誰もが持ち得る欲求ですが、程度が強すぎるとコミュニケーション面で問題が生じやすくなります。自己顕示欲が強い人の特徴としては、次のようなものがあります。

  • 自分の話をしがちである

  • 大胆な行動で注目を浴びようとする

  • 他人よりも優れていることを見せつけたり、他人の欠点や失敗を指摘したりする

  • 相手の話を聞こうとしない

自己顕示欲は承認欲求のひとつですが、承認欲求が「他者から認められたい」という欲求に対し、自己顕示欲は「自分をアピールしたい」といった自己中心的な意味合いがあると言われています。また、自己顕示欲は能動的な欲求であるのに対し、承認欲求は受動的な欲求であるとも言われています。







2024年8月13日火曜日

詐欺関連のニュースで、アナが言う「自分はだまされないと思うのは危険」はどうなのか?

 


誰だって「詐欺師なんかに騙されたくない」と思っている。でもいつの世でも騙される人は騙される。

ごく最近報道されたマッチングアプリを使った詐欺では主にターゲットにされたのは大学生である。

詐欺に関するメディアのニュースで、キャスターが「自分はだまされないと思うのは危険」と言っているのをよく聴く。

でも過去に詐欺被害に2度遭ったことがある私は必ずしもそうとは思わない。

というのも一、二度騙されることで免疫を得て騙されない体質になり、以後騙されないからだ。

要は何の根拠もなく単なる強がりで「自分はだまされない」というのではなく、「自分は詐欺に対する免疫がついているから騙されることはない」という裏付けのある自信が大事なのだ。


詐欺師は騙しにくい人は狙わず騙しやすい相手だけを狙う

詐欺師も仕事であるいじょう、効率を考えるのは当然だ。それにはまずターゲットを考える際には成功の確率を重視をするに違いない。

つまり効率をよくするには、騙しにくい相手を狙わず、なるべく騙しやすい相手をターゲットにするのだ。

これでこそ、仕事の効率が上がり生産性が高まるのだ。


詐欺に対する免疫がついていない人は騙しやすい

ではどんな人が騙しやすいかというと、詐欺に対して免疫がついていない人である。

人は何事においても経験によって成長する。詐欺も同じで、だまされないためには実際に詐欺にあって経験することが大事なのだ。一度や二度、自ら詐欺に遭って体験することが必要なのだ。

別に詐欺の被害にあうことを奨励しているのではなく、そうした経験をしないと、いつまでたっても騙される危険が避けられないことを言っているのだ。

要は病気と同じで、かからないためには免疫をつけることがなにより大事なのである。

 

1,2度騙されると免疫がつき騙されない体質になる

個人的なことを言うと、20代半ばと40代前半に併せて2度詐欺にあった。

最初は夜の街で知り合った女性に、その日貰ったばかりのボーナスを持ち逃げされたこと、2度目は競馬場での「コーチ屋」(注)による詐欺である。

最初の出来事は、盛り場での遊びが楽しくてたまらなかった20代前半の出来事である。

6月の中旬のある日の夜、街角で出会った女性とデートに成功し、首尾よくホテルへ行き目的を果たしたまでは良かったのだが、翌朝、いい気になって一人で風呂へ入ったのがいけなかった。

出てみると女がいないではないか。女だけでなく、昨日貰った夏のボーナス(40万円)の袋も消えていたのだ。俗にいう「枕探し」に似た手口だが、まんまとこれに引っかかってしまったのだ。

競馬場の方は実に演技のうまいコーチ屋(注)にひっかかり、あっという間に所持金10万のうち、9万円を騙し取られてしまった。


(注)コーチ屋

コーチ屋とは、公営競技の施行場内外や場外投票券発売所で、投票券に関する自分の予想を教えたり買い目を指示するなどの行為を装い、客から金を詐取することを行う者を指す。 場内にいる場立ちの予想屋はその場の主催者が公認しているが、コーチ屋は非公認であり、詐欺罪で検挙された例もあるという。 ウィキペディア



この2件以後、詐欺師にはいっさい騙されていない

上で書いた2件の詐欺被害の金額は、合計50万円ぐらいだ。つまり詐欺の免疫をつけるため、代償としtて私は50万円を支払ったのだ。

金額の多寡はともかく、それ以後、詐欺にはいっさい引っかかっていない。


2024年8月9日金曜日

新「おひとりさま」考 ・ シリーズ1~4 一挙掲載(8,500文字)


(その1)

あなたは「おひとりさま」の意味をどのように捉えていますか?

超高齢化社会に突入した今の日本では人々の暮らしのパターンが多様になっています。


そうした中でこのところ急速に数を増しているのが「おひとりさま」という生活パターンですが、見逃せないのは、数が増えるにしたがって大きな社会問題になりつつある点です。


さて、あなたは「おひとりさまとは?」と問われたら、いったいどのように答えるでしょうか。


これに対して、たいていの人は「独り暮らしをしている人たちのこと」と回答するのではないでしょうか。


まさに読んで字のごとしで、もちろんこれも間違いではありません。でも多くの正解のうちの一つでしかありません。


そうなのです。いまや「おひとりさま」の意味はどんどん広がって、その概念が多様になっているからです。


AIの「おひとりさま」定義が面白い

googleで「おひとりさま」を検索してみると、回答は「AI Overview」として、AIによる次のような回答がありました。(注)Overviewとは概要の意味。


 

AIによる「おひとりさま」の定義


「おひとりさま」とは、一般的に配偶者がいない単身者を指す言葉としてよく用いられていますが、純粋な単身者以外にもさまざまな意味で用いられています。

飲食店などで一人客をさしていうことから始まり、近年では次のような意味でも用いられています。


•  遊園地などグループ利用の多い施設を、一人で利用して楽しむ人


•  精神的に自立しており、一人で行動できる人


•  未婚または配偶者との別離により、一人で生活している人


•  婚期を逃した女性を指す言い方


•  離婚をした後に配偶者のいない人生を歩まれている方

•  ご主人や奥様に先立たれ、一人で人生を過ごされている女性や男性


「おひとりさま」の類義語には、次のようなものがあります。


一人きり、孤独、単独、単独行動、ただ一人、 唯一人。


              出典:AI Overview (google)

 

どうですか「お一人さま」にこれほど広い意味があることに驚きませんか。

AIがこれだけ答えられることに、いたく感心してしまいますが、果たして人間だと同様の答えが返ってくるかどうか、いささか疑問がわきます。

そこでAIに対抗する意味で、この回答のテーマごとに解説を加えてみました。

 

AIがあげる「おひとりさま」の定義をテーマ別に考えてみた

AIはおひとりさまの定義を拡大して、対象を多くの単身者に向けていますが、ここではそのテーマについて、一つ一つ解説していきます。


•  精神的に自立しており、一人で行動できる人

おひとりさまとして生活を維持するためには経済的な自立はもちろんですが、それ以上に精神的に自立していなけらばなりません。そうでなければ、誰に相談することなく、ひとりできちんと行動できて健全な生活を続けることは困難です。 

•  未婚または配偶者との別離により、一人で生活している人

未婚や離婚が増えている昨今ですが、当面はおひとりさまでも、将来的にはこの状態から脱却する可能性がある場合を指します。

•  婚期を逃した女性を指す言い方

いわゆる未婚女性のことですが、この場合は若年の未婚者ではなく、生涯未婚の可能性が大きい女性を指します。

国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、2020年時点での日本の女性の生涯未婚率は約18%で、過去最高を記録しています。また、2020年国勢調査では、50歳時の女性の生涯未婚率は17.8%で、男性の28.3%と約10%低い結果となっています.  google

•  離婚をした後に配偶者のいない人生を歩まれている方

文字通り離婚した後、再婚せず一人の生活を選択している人たちのことですが、この場合、離婚時の年齢が高齢であればあるほど「おひとりさま」になる確率は高くなります。 

•  ご主人や奥様に先立たれ、一人で人生を過ごされている女性や男性

若年で配偶者を失い一人になった人たちは別にして、比較的高年齢で配偶者が死亡したため再婚の機会に恵まれず独身生活を続け、そのまま「おひとりさま」になる人たちが多くなっています。 

・遊園地などグループ利用の多い施設を、一人で利用して楽しむ人

本来、家族やグル―プで訪れるのが多い場所に、あえて一人で来ているシーンを指すのですが、こうした人たちを「おひとりさま」と呼ぶこともあります。侘しさや寂しさを強調するために、この言葉を使うのではないでしょうか。


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(その2)

いま、おひとりさまについて真剣に考えてみよう

おひとりさまの数や比率について最新のAIツールで検索してみると

2024年2月25日時点での「おひとりさま」の人口は、単独世帯の873万人のうち男性が17.2%、女性が25.3%で、65歳以上の人口の約21.7%を占めています。

という答えが返ってきました。

数に関して言うと、なんと驚くべき数字ではありませんか。特に女性の場合は4人に1人がおひとりさまになっているのです。

高齢化は今もどんどん進んでいますから、果たしてピーク時にはどれくらいまでになっているでしょうか。

いずれにしても「おひとりさま」はいまや他人事ではなく、誰にとっても避けがたい課題になる可能性があるのです。

それだけに、いま一人一人がこの問題に真剣に対峙するときなのです。


 高齢者(65歳以上)に対するおひとりさまに関するアンケート

下はおひとりさまに関しての、高齢者に対しての5つの質問です。該当年齢にある方は、一緒に答えてみてください。


 

高齢者(65歳以上)に対する五つの質問


・あなたはお一人様ですか

    YES    NO

 

・あなたの家族にお一人様は何人いますか

一人  二人  三人以上

 

あなたはおひとりさま生活が寂しいと思いますか

YES    NO

 

 

あなたはおひとりさま生活が楽しいと想いますか

YES    NO

 

この先、家族との生活に戻りたいと思いますか

YES    NO

 

 

上の質問に筆者が答えてみた

あなたはお一人様ですか

    ✔YES    NO

・あなたの家族にお一人様は何人いますか

一人  ✔二人  三人以上

あなたはおひとりさま生活が寂しいですか

YES    ✔NO

あなたはおひとりさま生活が楽しいですか

✔YES    NO

この先、家族との生活に戻りたいと思いますか

YES    ✔NO

 

私は40歳前半に離婚しましたが、それまでの生活から自分を結婚生活不適合者と判断して、以降再婚していません。

したがって一人暮らし歴40年の、男性版おひとりさまのベテランです。私だけでなく2人の妹も配偶者と死別し、以来おひとりさまを続けています。

アンケ-ト質問の答えに見るように、わたし自身はおひとりさまを、すこぶる肯定的に捉えていて、高年齢のおひとりさまはむしろ推奨しています。

とはいえおひとりさま志願の未婚女性が増えることには賛成できません。なぜなら人口減少に拍車をかけることになるからです。

したがって一度結婚してから一人になるパタ‐ンを勧めてしています。

   

お一人さまは、いまやマイナーではなくメジャーな存在である

一昔前は「おひとりさま」はなんとなく暗いイメージで、どちらかというとマイナーな存在と捉えられていました。

家族構成の一パターンとはいえ、今のように数が多くなかったので、それで済まされていたのではないでしょうか。

しかし今はそうはいきません。何しろ数が爆発的に増えたうえ、今後も高い比率の増加が予想されているのです。

何事も少なければマイナーで、多ければメジャーと位置づけられるのが世の中ですが。おひとりさまはいまや紛れもなくメジャーな家族形態なのです。


お一人さま世帯の家族形態の主流になりつつある

一昔前はマイナーな存在であった「おひとりさま」が、その後どんどん数を増してくるにつれて、いつの間にかマイナーイメージは取り除かれ、いまでは家族の形態として、しっかりとメジャーな位置を獲得したようです。

それをよく示すのが、おひとりさま向けのマーケティングが活発になっていることです。

あなたもよく耳にするのではありませんか、「ひとり居酒屋」「ひとり焼肉」「ひとり観劇」「ひとり温泉」などというおひとりさまの消費活動を煽るマーケティングフレーズを。


 未婚子供なしのおひとりさまは歓迎できない

一昔前はおひとりさまと聞けば、人々はいくぶん暗いイメージ抱いたものですが、いまはそうしたことはなく、暗いどころか人々には「おひとりさまをエンジョイしよう」という意識さえ広がっており、明るさがみなぎっているのです。

とは言え、おひとりさま全体がそうであるとは言えません。おひとりさまにはいろいろなパターンがあることは上でも述べましたが、一部には喜べないパターンがあるのです。

それは生涯未婚で子供を生んだことのないおひとりさまです。理由は言うまでもなく、いま問題になっている少子化に加担しているからです(病弱が原因で結婚、出産ができない場合は例外)。

最新の統計では未婚のまま子供なしの状態で生涯を送る女性の割合は18%にもなっています。

こうした方々が今の社会を見て「おひとりさまの捨てたものじゃない」と思って、このまま生涯独身を貫こうとすることだけは、なんとか避けていただきたい、と切望します。


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(その3)

おひとりさまのふところは豊かで生活に余裕がある

おひとりさまといえば、その多くは高齢者で、それだけに若年層に比べて経済的には余裕がある人が多いようです。

特殊詐欺などの詐欺師が高齢者をターゲットにするのも金を持ってると見ているからに違いありません。

統計によると人は死ぬときがいちばんお金をたくさん持っている時、となっています。これはあまりお金を使わない「おひとりさま」の期間が長くなってきているためではないでしょうか。

でも死に金を増やすのは無駄なことです。どうか「老後に必要なお金は2000万円」とかいう生命保険会社や投資会社の宣伝文句に惑わされないで、生きているうちに生活をエンジョイするためにどんどんお金を使っていきましょう。


おひとりさま向けのマーケティング

お金を持っていて裕福だと目されている高齢者は、いま様々な経済分野で消費のターゲットになっているようです。

要するに裕福な高齢者にもっとお金を使わそうというマーケティング活動が展開されているのです。

でもいくらお金を持っているかと言って、高齢者はモノに対してはあまり欲望がありません。

なぜなら死にゆく身にとってモノは邪魔になるからです。それ故に高齢者終活の一環として断捨離が積極的に行われているのです。

断捨離でモノを手放しているのに物欲があるわけがありません。したがってお金を使う分野はサービス産業に限ります。

それ故に例えば、観劇、旅行、習いごとなどがマーケティングが盛んな分野になっているのではないでしょうか。


おひとりさまの外食事情

いろいろあるおひとりさまの外食(屋外活動)パターン

外食とか屋外活動のパターンはいろいろありますが、どちらかといえば人々が複数で行うものというイメージを抱いている行動パターンについて、

あえて「ひとりなんとか」と命名して、おひとりさまが参入しやすくする対策であって、いわばおひとりさま層に向けたマーケティングの手法ではないだろうか。

下にあげるものはネットなどで話題になり、メディアにも良く取り上げられているのが次にあげるパターンの一部です。


・ひとり焼肉

焼肉屋へは家族や仲間など、なるべくグループで行って、皆でにぎやかに楽しむのが望ましいと考える人が多いのでなないだろうか。

多分これは焼肉を食べると精がつき元気になるので、そうした事から、にぎやかさを歓迎するからなのだろう。

そうしたイメージゆえにおひとりさまには若干敷居が高くて入るのに気後れを感じさせるのだ。

だが「ひとり焼肉」というフレーズが人々の目によく触れるようになると、そうした入りづらさは解消されるのではなかろうか。


・ひとり居酒屋

飲み屋はいろいろあるが、騒がしい雰囲気が歓迎されるのは居酒屋が第一ではないだろうか。「酒はひとりで静かに飲むもの」という人もいるが、居酒屋にはこれはなじまない。

でも女性にも飲んべえが増えている昨今、ひとりで静かに飲みたい女性のために、カウンター席を増設する居酒屋も少なくない。

つまり増えつつある女性のおひとりさま対策として、「ひとり居酒屋」というフレーズが使われ始めたのだ。


・ひとりファミレス

ファミレスとはその名前のとおり、「家族そろってお越しください」というのが店側の願望に違いない。

それ故におひとりさまは「ひとりで入るのは店に気の毒」と思って、つい入るのを躊躇する。

だが最近はここでテレワークをする人も見られるようになった。おひとりさまがファミレスに行くときは、モバイルパソコンを持参するに限る。


・ひとりカラオケ

最近では完全施錠のカラオケルームを設置する店が増えてきている。

これがおひとりさま客獲得対策とは限らないだろうが、こうして店が増えることはおひとりさまには大歓迎である。


・ひとり(ソロ)キャンプ

これぞおひとりさまにはうってつけの野外行動に違いない。なぜなら今やネットやテレビなどで、メディアが盛んに「ソロキャンプ」というワードを使用しているからだ。

ソロキャンプのソロは言わすとしれたひとりのこと。ソロキャンプとはそのものズバリ、おひとりさまのキャンプのことなのだ。

キャンプは体力が必要で高齢者には不向きと考える向きもあるかもしれないが、気軽に行ける市街地に近い家族向けのキャンプ場だと、そうした心配は必要ない。


・ひとり旅行

一人旅行という旅行パターンは若い人ほど多いようですが、高齢者はどうなのだろうか。

はっきり言って若年層に比べると多いとは言えない。でもお金に余裕がある高齢者には、お金を上手に消費する方法として旅行は、手段として適しているのではないだろうか。

高齢者がひとり旅行をしないとしたら、それは健康面での不安があるから、という理由が多いのではなかろうか。

要するに何かあったとき助けてくれる人がいない、という不安なのだ。そこで考えられるのは。


高齢者のひとり旅行を促進するための新サービスを立ち上げる

ではどうだろうか。高齢者のひとり旅行をサポートする事業を立ち上げるというアイデアは。もちろんサポーターは行動を共にするのだが、その料金は、例えば旅館の客室、食事などは日常と同様にしてできるだけリーズナブルな費用に抑えるのだ。旅館などの宿泊施設も、この企画は将来的に市場を大きく伸ばすものと予測し、きっと協力してくれるところは少なくないと思われる。手前みそかも知らないが、この企画はヒットする可能性大だと大いに期待できる。


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(その4)

おひとりさまのメリットとデメリット

おひとりさまのメリットとは

・誰にも気を遣わずのんきに暮らせる

人はどんな時に疲れやストレスを感じるかと言うと、いろいろある中で人と接触するときがいちばん大きいのではないでしょうか。

人との接触はとにかく気を使います。それは相手を喜ばしたい、相手に嫌われたくない、という気持ちが働くからです。

接触している間中、どんなことを言えば喜ばれるか、どんなことをしたら楽しんでもらえるか、などなど、相手と一緒の時はずっと気を使いっぱなしです。

これで疲れないはずがありません。それが証拠に、相手と別れた瞬間のホッとした気持ちは何と心地よいことでしょう。

そうなのです。疲れやストレスと無縁の生活を送りたいがゆえに、人は「おひとりさま」を選択するのです。


・生活費がかからず貯金ができる

おひとりさまは概して物欲があまりありません。それゆえのモノの購買が少なくそのぶん出費も減ります。

もちろん食費をはじめ生活費はかかりますが、大勢の家族と暮らす時と比べると、その額は微々たるものです。

したがって年金がそれほど多くなくても、しぜんにお金が貯まります。貯まったお金も若い時のようにレジャーに費やすことも少ないため大きく減ることもありません。

お金があると精神的なゆとりができ、それがおひとりさまの大きな安心感につながるのです。


・何をするにも自分だけで決められる

何かするとき面倒なのは人に相談することです。自分ひとりで決めたら家人が気を悪くするのではと思って、自分だけでは決められないのです。

ひとりで決められないことへの葛藤と、相談することへのプレッシャーからストレスを感じます。

でもおひとりさまなら相談する相手がいないので、そんな心配は無用です。何をするにも、どこへ行くにも、自分ひとりで決められますから、面倒さがなく、プレッシャーもストレスも感じません。

これもおひとりさまの大きなメリットです。


おひとりさまのデメリットとは

・孤独死に対する恐れがある

高齢化社会では死者が多くなるのですが、一般の人の老齢での死亡は有名人でない限り話題になりません。

でも例外があります。それは孤独死という死に方をした場合です。

この死に方に限っては新聞などメディアで報道されることがよくあります。例えば「団地で85歳の女性死亡、1か月間誰も気づかず」というふうなセンセーショナル見出しで報道されることが多いのです。

こうした死亡はおひとりさま(ひとり暮らし)に多いのですが、独り暮らしの負の面を捉えて悲惨さをクローズアップするための報道に違いありません。

それ故に読者に関心を持たれるのでメディアは報道するのです。


・身元保証が受けにくい

いま問題になっていることのひとつにおひとりさま、つまり一人暮らしの高齢者が賃貸住宅を借りにくいことがあります。理由は身元保証人がいないことです。

おひとりさまが一人の生活に踏み切るのは、わずらわしさを避けるため、ということがあります。それ故に家族と疎遠になり、何かの時にものを頼みにくくなるのです。

身元保証人がいなくなるのもそれが大きな理由です。でもこの問題はそれほど大きくないのでは。

というのも最近のおひとりさまは経済的に豊かな人が多く、自己所有の住宅を所有している人が多いからです。


いろいろある「おひとりさま」に関する本



おひとりさまの老後 上野千鶴子 (文春文庫)

担当編集者より

結婚していてもしていなくても、長生きすれば、最後はみんなひとりになる。社会学者で、自らもおひとりさまである著者が、数多くのケーススタディをふまえ、ひとりで安心して老い、心おきなく死ぬためのノウハウを、住まいやお金などの現実的な問題から心構えや覚悟にいたるまで考察。75万部のベストセラー。解説・角田光代    出典:文藝春秋




おひとりさま日和  (双葉文庫 )
 

「ひとりの生活」をテーマにした6名の女性作家によるオール書き下ろし競作集。物騒なので番犬のレンタルサービスを始めた女性。

一方で見守りペンダントを身につけ、頼りにする女性。遠距離恋愛をしながら山暮らしを愛おしむ草木染め作家。週末に一人で映画館に行く趣味にお仲間ができた教師。

郊外に戸建てを買ってすぐに夫に先立たれた妻。マンションの大家さんとの交流が人生の転機となる住人――笑わせられたり、ほっこりしたりしみじみしたり。

味わい違ってどれもが面白い。時々引っ張り出して読み返したくなること請け合いの本棚本

出典:Amazon


おひとりさまで逝こう  日本尊厳死協会 (弓立社)


「パラサイト・シングル」「負け犬」「おひとりさま」――。ここ数年、あるいは十数年における社会現象やベストセラー書のキーワードから、「贅沢を楽しみ、家庭に束縛されない自由な生活」をめざす独身女性が増えてきたことがうかがえます。そもそも「家」というのは個人を束縛するものです。戦後日本が「家」制度を解体して核家族化を進めてきた背景には、それまでの封建的な家父長制から、いかに個人を解放するか、という課題があった。そういう世の中にあって、私たち一家は、ある時期より三世帯・三世代同居というライフスタイルをあえて選択しました。その模様を私は、平成15年に出版した『三家族11人で暮らしてみたら』(扶桑社)の中で描きました。「おひとりさま」のライフスタイルが様々に論じられ、また家族とは何かがあらためて問われる今日、何かの参考になればと思い、改題のうえ復刊いたしました。(金美齢・「新版へのまえがき」より抜粋


その他の本


・男おひとりさま道 上野千鶴子 (文春文庫)

・ひとりで老いる  (SB新書)

・おひとりさまで幸せになる人、ならない人  (幻冬舎)

・おひとしまなの後始末  (小学館)

・おひとりさまのはじめまして (幻冬舎)






















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