2024年8月3日土曜日

香り高い良質な純文学のようなテイスト ・読み応えあり! 開高健・エッセイ集成

 


開高健ベストエッセイ 筑摩書房

 

この推薦文が抜群にいい



谷原店長のおススメ鮮やかなへの


執着と虚実の探求開高健ベスト・エッ


セイ


作家・開高健かいこう・たけしをご存知ですか。1930年に大阪で生まれ洋酒会社の宣伝部で数の名コピーを世に放った後小説裸の王様」(57で芥川賞受賞。89年に亡くなるまで小説をはじめベトナムの戦場や中国・東欧などのルポ食や釣りのエッセイなどを精力的に書き遺した作家です

  先輩に薦められ僕はかなり前から開高さんに興味を抱いていましたでも一体どこから読み始めようか釣り食べ物お酒シガー煙草)。エッセイだけでも大人のたしなみの世界を描いた膨大な作品の数途方に暮れていたのです

そんな折今年月に刊行した開高健ベスト・エッセイ」(ちくま書房が僕の長年の思いを叶えてくれました最初に読むのに最良の編集にあたったのは彼の元職場の後輩小玉武さんです

  生まれ育った大阪・天王寺の戦後の焼け野原の追憶から始まりますそして小説家としての矜持戦争平和への思い自ら現場を見に行きたいという渇望そして釣りじつは僕らの年代だと開高さんって川の傍で快活に笑って釣竿を持つ印象が強いんですね

この本を読んで痛感したのは彼の原点はあくまで小説でそこから多彩な執筆の世界へと根を拡げたのだということそして何よりも驚くのは活力的にみえて実際には」「の両面を彼が持っておられたということです

 だからでしょうか徹頭徹尾、「生きるということに執着こだわりを感じます主題として散りばめられた事象のその根底に脈と流れる

への貪欲な探究心が読み進めるうちにひしひし伝わってくるのです


出典好書好日谷原書店


 

読書メのレビュ


AttilaTaro

短編集は読んだことがあったのだがエッセ

イは初しかし小説と変わらぬ鮮烈な文体に

衝撃を受けた抜け出すことのできない気怠

さを感じながらも力強く地を踏みしめてい

く感覚物事の描写に一切の妥協がなく

に名詞の置き換え方が凄い一度出した名詞

同じ言葉を使わずに表現するのは多くの

文筆家がやっていることだが開高はレベル

が違う(例えばマムシを豊臣秀吉の祖先

と表現したりする)。かなりの遅筆だったらし

いがこれほどのクオリティを保つのであれ

ば時間がかかるのも頷ける欲を言えば其

の文章の原文を読みたい

ナイス★4

  

佐島楓

角田光代さんが開高健の特に食にまつわる

エッセイが好きだと書いていらっしゃったの

読んでみることにしたまず何とも言え

ない文章に驚いたすごく変わった方だとい

うことが殴られたように伝わってきたとに

かくエネルギッシュでありときにぐるぐる円

を描くようでありあまり近年の作家には見

られないタイプ読み進めていくうちにいろ

いろと腑に落ちたのだが興味の対象が猥雑

なものから人間の本質に迫るものまで多岐に

わたっており本当に一言では説明できない

字数が足りないが衝撃を受けた

ナイス★70

 

ぼっせぃー

消えた"私の大阪"」「才覚の人 西鶴」「故郷

喪失者の故郷」「飲みたくなる映画」「私の青

春前期」「トレーニング時代」「私の小説作

記録・事実・真実」「夫婦の対話 トルコ風

」「小説を書く病い」「笑えない時代」「心は

さびしき狩人」「告白的文学論」「貴重な道化

 貴重な阿呆」「こんな女」「見ること」「私にと

ってのユダヤ人問題」「脱獄囚の遊び」「荒れ

地を求める旅心」「毒蛇はいそがない」「河は

眠らない」「越前ガニ」「救われたあの国

の町 」「最後の晩餐」。ちょっと散漫もっと

コアなチョイスがあってもよかった

ナイス★3

 

akiu

テーマ別にまとめられたエッセイ集大阪天

王寺青春書くことベトナム釣り飯な

釣りや食の内容が面白いのはもちろんだ

とりわけ小説・書くことに関するエッセ

イが良かった書けないことを言い訳してい

るだけでなぜこんなに面白いのか何やら酔

ってばかりいるような気がする酩酊系の文

章である内容そのものよりも文章が実に

良いこの天才的な文体は天性なのか相当

狙っているのか躁鬱だからなのか斜に構

えてスカしてるわけでもないのに妙に醒め

ていて急にマジメに熱くなったり不思議と

惹き込まれる文章である


出典・読書メ

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開高 健


カイコウ タケシ


1930年大阪に生まれる大阪市立大を卒業


洋酒会社宣伝部で時代の動向を的確にと


らえた数のコピをつくるかたわら創作


を始め、「パニックで注目を浴び、「裸の王


で芥川賞受賞ほかに日本三文オペラ

ロビンソンの末裔などベトナムの戦場


中国東欧を精力的にルポ行動する作


家として知られた。1989年逝去



     出典・筑摩書房