ベストエッセイ2024で紹介された「おっぱい足りてる?」は強烈だった
六本木の路上で「おっぱい、足りてる?」とキャッチに声をかけられ
「足りてないけど、余裕がないんです」とテンパっていた夜。
図書館で借りた「ベストエッセイ2024」に収録されたこのエッセイのタイトルを見たとき、真っ先に思ったのはタイトルの「おっぱい足りてる?」ってなんのこと?だった。
子供を産んだばかりの母親に対する看護師さんの質問なのか?とも思った。
でもまったくの的外れで、これは街角に立つ「おっぱい系風俗店」のキャッチが発したセリフなのだ。
しかしこれってなんとよくできたコピーだろう、夜の街を徘徊するさびしい男が「おっぱい足りてる」はずはないだろう。すぐさま「足りてません」と大声で答えたいに違いないのだ。
そうした男たちの心理を実にうまくとらえているではないか。
正直言ってこのセリフに出会ったときは、「なんと見事なコピーだろう」と感心して、これをエッセイのテーマに取り上げた作者の豊かな作家センスに衝撃を受けたぐらいだ。
図書館に燃え殻の作品は1冊もなかった
そして次に思ったのがこの作者の作品をぜひ読んでみたい、であり、翌日に図書館へ向かって、エッセイコーナーの「も」の欄で作品を探した。
でも燃え殻という作者の作品は1冊も棚に並んでいなかった。
「おかしいな、なぜだろう。これまでベストエッセイで紹介された加藤シゲアキとか田中卓志などの作品はすべて見つけることができたのに」と思ってあきらめて帰ったのだ。
本屋へ行ってみるという選択肢もあったが、その時はそこまでの行動に移すところまではいかなかった。
別の図書館の棚に4冊も燃え殻の作品があった
それから2カ月ほどたった5月の末、いつも行く図書館から所変えて分館の方へ行ってみた。
規模は小さいが新刊書はむしろ本館より多いということを知っていたからだ。
さっそくエッセイコーナーに向かい、棚の「も」の欄に目を移すと、なんと「燃え殻」の作者名の真新しい本が4冊も並んでいるではないか。
すぐ手に取ったのはいうまでもなく、4冊は多すぎるのでとりあえずその中から2冊を借りることにした。
それが上の写真にある文庫の「夢に迷ってタクシーを呼んだ」とペーパーバック「これはいつかのあなたとわたし」である。
2冊とも「おっぱい足りてる?」のような衝撃的な作品はなかった
期待が大きすぎたのか、2冊を読んだ後の感想はいずれも「うまくまとまってはいるものの、もうひとつ物足りない」というのが正直なところである。
これまでベストエッセイで紹介された作品を読んだ作家のものは、田中卓志、加藤シゲアキ、穂村弘 西村賢太など、すべて「すばらしい」と感銘して読んできた。
でも今回は違う。最も新しい田中卓志の作品と比べてみても、エッセイに限って言えば田中氏の方に軍配を上げたいぐらいだ。
本の厚みや余白の広さが気になるのだが
それに作品の内容以外で気になったことが一つある。それは本の厚みと余白についてである。
まず厚みだが、文庫の方はページ数が少なく厚みはない。これはひとえに作品数が少ないからに他ならず、才能豊かな新人としては寂しいことだ。
一方ペーパーバックの方は厚みは普通だが、分厚い用紙を使用してページ数の少なさをカバーしている節がある。多分これは価格対策なのだろう。
ペーパーバックの方でもう一つ気になるのは余白の広さである。
これは文字数の少ない作品で一定のページ数を保つためにとられる方法で、これによりボリューム感をあげるのを意図しているに違いない。
こうした手法がとられたことは、将来性のある作者の作品に対するものと考えると、一抹の寂しさを感じるのである。
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「夢に迷ってタクシーを呼んだ」
出版社内容情報
いつか僕たちは必ずこの世界からいなくなる。ネットニュースで、三週間前に会った知人の死を知った日。「もうダメだ」と言い続けていた最悪な時代の仲間との再会。「で、お前いつ帰るんだ?」が口癖だった祖父との思い出。恵比寿の焼き鳥屋で見かけたヨーダ似のお爺さんと美少女。日常を生きていく寂しさと、心もとなさにそっと寄り添ったエッセイ集。文庫特典「巣ごもり読書日記」収録。
内容説明
いつか僕たちは必ずこの世界からいなくなる―。ネットニュースで、三週間前に会った知人の死を知った日。「もうダメだ」と言い続けていた最悪な時代の仲間との再会。「で、お前いつ帰るんだ?」が口癖だった祖父との思い出。恵比寿の焼き鳥屋で見かけたヨーダ似のお爺さんと美少女。日常を生きていく寂しさと心もとなさに、そっと寄り添ったエッセイ集。文庫特典「巣ごもり読書日記」収録。
目次
この世界ってさ、ロマンチックなことが少な過ぎるんだよ
夢を五分で挫折したことがある
きっと、僕たちは今度もまた大丈夫だ
こっち見てんじゃねーよ、ゾンビ
青春は未だ完結していない
で、お前いつ帰るんだ?
仲良くなるという目標は達成できそうにない
まったくの他人より、ちょっと知っている人のほうが気まずい
月の綺麗な夜だった
前野くんと来年、フジロックに行きたい
ゴリポンと呼ばれたくなかった
「下心よ去れ」と心の中で唱えていた
うまいでしょう、一杯三千円です
早い!安い!うまい!重い!
『働きアリに花束を』
「生粋の社会人」なんているのだろうか
不潔とケチはモテない
ラジオなんですけど
あなたは女の人に救われた経験はある?
高尾山以上、富士山以下の過酷さ〔ほか〕
著者等紹介
燃え殻[モエガラ]
1973(昭和48)年神奈川県横浜市生れ。2017(平成29)年、『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
出典:紀伊国屋ウェブ
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「これはいつかのあなたとわたし」
出版社内容情報
笑って、怒れなかった、あの日のあなたがここにいる。大人気エッセイ集。「原稿、泣きながら拝んで読みました」と持ち上げながら必ず直しを命じる編集者。BE:FIRSTのLEOさんが涙ながらに語った決意、初ラブホでの醜態、母の口癖、J-WAVEに届くブラックなお悩み相談。日常と非日常の忘れられない/忘れかけたことを綴り、あるあると哀愁に満ち満ちた随想、これぞ日本のオアシス。
【目次】
内容説明
人も街も夢も変わっていく。笑えなかった怒れなかったあの日のあなたがここにいる。名画のラストシーンが珠玉の短篇集みたいなエッセイ集。
目次
バディ
人生は、ぬか喜びの連続な気がする
「燃え殻、推薦!」
人も、街も、夢も変わっていく
ズバリ!幕の内弁当一食分
精一杯のお手
美しい鼻歌と、セブンスターの香り
思っていたまんまの印象
住んでいる世界が違う
人はとかく大〓みだ
テイクばかりの人
「絶対に出るな、かけるな」
自意識感知レーダー
プロの「すみません使い」に出会った
咄嗟に取りつくろってしまう
底辺は存在しない
あの日のことをまた書いてしまった
大橋裕之 マンガ「連載200回を超えて」
第二回錦糸町プチ同窓会
ピンクパンティー事件〔ほか〕
著者等紹介
燃え殻[モエガラ]
1973年生まれ。2017年『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
出典:紀伊国屋ウェブ