年金生活Webライターの告白 ネットで稼ぐのは楽でない(2)
シリーズ(1~4)
原稿料入金明細表
シリーズ(その1)
新人Webライター 原稿料入金明細表を公開します
下の表1〜表4はWebライターとして活動し始めた頃の収入を記録したものです。これら4つは部分的なものですが、シリーズ4で上げる全体の表は2012年4月から始まり、2019年6月で切れています。
この期間がある程度コンスタントに受注があった時期で、これ以降は病気入院などの影響で受注が散発的になったこともあり記録に残していません。今回の記事はこの表を分割し、発注先、業種、発注金額、報酬などを細かく分析してみることにします。
Webライタースタート時の報酬は極めて低かった
WEBライターの報酬はたいていは1文字いくらで決められます。しかしこの幅は極めて広く、最低は0.2円、最高は10円というふうに、その差は実に50倍にも及びます。
代表的なライター募集サイトであるランサーズやクラウドソーシングなどの募集を見てもわかるように、最低は1文字0.2円という信じがたい程の低報酬から高い方では同3円というのもままあります。
これだと例えば2000文字の記事を1日に2本書けば1万2千円の報酬が得られますから在宅ワークとしては悪くはありません。
もっとも厳しい倍率を突破して仕事が得られればの話で。はっきり言ってこういう人たちは少数派で、駆け出しWebライターだと、殆どは1文字0.5円程度の仕事に甘んじているのが現状のようです。
(表1)
最初の原稿料は予定日に振込なく、催促してようやく入金
上の(表1)はWebライターとして、最初に取引を始めた2件の業者からの入金記録です。備考欄に「振込に催促」とあるのは、予定日に入金がなく、電話での催促でやっと振り込んでくれました。
3行目の〇〇経由は最初の業者が業務委託した相手からの振り込みですが、ここも最初に取り決めた金額を数百円値切っての入金でした。最初からこういう歓迎できないことがあったため、以後しばらくは契約や入金に対して不安がつきまといました。でもこれ以後こうしたことはほとんどなく杞憂に終わりました。
(表2)
(注)累計が合わないのは間の他の取引先の金額が入っている
(表2)は初期から中期に渡ってコンスタントに比較的長期間取引のあった業者の記録です。備考にある@250(500字)は一記事の単価が250円で、文字数は500の意味ですから一文字換算では0.5円になり単価は安いのですが、発注がコンスタントにあったことが長く続いた理由です
(表3)
(注)累計が合わないのは間の他の取引先の金額が入っている
表3は東京の業者で発注は毎月コンスタントにありましたが、報酬は1文字0.6円と、それまでの最低線をわずか0.1円上回っただけでした。とはいえ、切れずに発注してくれましたので1年間ほどありがたく仕事ををやらせていただきました。
(表4)
(注)累計が合わないのは間の他の取引先の金額が入っている
京都の司法書士の人が運営する小さな会社である。報酬は1文字0.8円ぐらいでWebライターをスタートしたばかりのこの頃としてはそれほど低くはなく、初めての取引にしては金額も2件で3万1千円で問題ありません。
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Webライター原稿料入金票のリアル
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シリーズ(その2)
Webライターの仕事はどんな業者から発注されるのか
Webライターへ記事を発注する業者はいろいろありますが、企業などの法人だけでなく、意外と個人事業者も多く、私の場合は比率でいえば法人6、個人4の割合です。
個人で多かったのは自分で収益ブログを運営しているいわゆるアフィリエイターと呼ばれる人たちです。こうした人たちは仕事の効率を考え、自分で記事を書かずあえてWebライターへ発注するのです。
法人の場合は業種は多岐に及びますが、発注を受けたのは、ホテル、エネルギー、注文住宅、消費者金融などをはじめとしてトータルでは15業種ぐらいに及びました。
個人の変わり種としては医師からの発注がありました。企業の産業医をしている精神科医の方で、PTSDに関する原稿を苦労して書いたのを今でもよく覚えています。
報酬は業種によって大きく異なる
Webライターとしては駆け出しの新人でしたから、報酬は相対的に水準より低かったようですが、その額は発注者の業種によって異なっていました。
具体的に言いますと、最も高かったのが関東の注文住宅業者からの建売住宅の記事で1文字当たり2円というもので、新人Webライターの私にとって最も高い額でした。
次に高かったのはエネルギーに関する記事を専門に扱う業者で、1文字1.2円の記事を2年ぐらいの長期に渡りコンスタントに発注していただきました。こちらからの発注額はトータルで50万円ぐらいに達したのではないでしょうか。
(表5)
(表5)は個人でアフィリエイターをやっている方からの発注の入金記録です。
この方は個人とはいえ、発注件数が多いだけでなく、期間も1年以上続き新人Webライターの私に大いに貢献していただきました。
記事分野は消費者金融が多かったようですが、このジャンルは当時はサラリーマン金融と呼ばれる分野で、業種として勢いがあり、記事の発注も他業種に比べ活発だったようです。
消費者金融は個人的にも若い頃比較的よく利用していたおかげ?で、その経験がものをいい記事制作に大いに役立ちました。
(表6)
(表6)は売上金額が高いのが目立ちます。ここは個人的に印象が深い会社です。理由は発注された記事が私の最も得意とするホテル分野であったからです。私にはこの業種での勤務の経験が海外(ニューヨーク)も含めて20年以上あります。それ故に経験に即した内容のある記事を書くことができ、記事のクオリティには少なからず自信がありました。上の記録では2件で12万円以上の売り上げになっていますが、文字単価0.8円とさほど高くはなかったのですが、経験値のおかげでスピーディに執筆が進み、時間効率的に非常にコスパが良かったことを覚えています。余談ですが、この会社の経営者の方は非常に知識豊かで、Webライターの仕事で役立つことをいろいろ教えていただきました。
(表7)
(注)累計が合わないのは間の他の取引先の金額が入っている
(表7)はあえて発注者名を明記していますが、今は無くなった東京の記事製作会社です。クラウドソーシングが今のように発達する前の時期で、原稿料が極端に低かったことをよく覚えています。売上金額ではわかりませんが、これだけの金額を上げるために書いた記事は、他と比べてケタ違いに多かったことを覚えています。つまり1文字当たりの単価が低かった(多分0.2円ぐらい)ため、記事数で稼いだのです。仕事に恵まれない時期でありどんな仕事でも受けざるを得なかったのです。
(表8)
(注)累計が合わないのは間の他の取引先の金額が入っている
(表8)は非常に変わった内容の記事の発注です。これはいわゆる2次下請けと言われるもので、個人のアフィリエイターの方が自分の受けた仕事を回したくれたのです。それ故に原稿料も1文字0.5円と安かったのですが、リライト記事でしたので、女性用ウイッグというまったく知識のない分野でしたがなんとかこかすことが出来ました。
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Webライター原稿料入金票のリアル
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シリーズ(その3)
Webライターにタッチタイピングは必要不可欠
Webライターは記事執筆でいろいろな資料を目にしながらタイピングします。これで必要になるのがタッチタイピングです。タッチタイピングとはキーボードを見ないでタイピングすることです。つまり参考資料を手元に置いて執筆する場合は、キーボードに目をやらずに資料に目を置いたまま行うのです。これだと資料からキーボードへ目を移し替える手間がいりませんからそれが時間短縮につながるのです。
これまでにも述べてきましたが、Webライターの報酬は1文字いくらで計算されます。ということは文字数が多いほど報酬は高くなるのです。決まった時間内に文字数を多く書くためにタイピングスピードの速さが求められます。その要求を可能にするのがタッチタイピングなのです。これでお分かりのようにWebライターが仕事の生産性を上げるためにはタッチタイピングは必要不可欠な条件なのです。
リライト記事が盛んだっだった頃のWebライターは玉石混交
Webライター新人の私でもなんとか仕事にありつけたのですから、時期的に仕事がたくさんあったのじゃないでしょうか。その証拠の一つを上げると、リライト記事の募集がやたら多かったように思います。リライトとは元の記事のテーマとか内容を損なわずに別の記事に書き直すことです。つまり趣旨は同じで表現をを変えるのです。方法は多様で、例えば主語と述語を入れ替えたり、単語を同義語の言葉に書き換えたり、フレーズを別の表現に直したり、などいろいろです。これだと文章を一から書くより難易度が低くなりますから、たとえWebライター初心者でも対応しやすくなります。ライター募集の広告などを見ていますと、時として「初心者でも書けます」という文面のキャッチコピーを見ることがありますが、そうしたものはたいていリライト記事の執筆を指しているようです。
プロ野球のDeNAもネットのアフィリエイト事業に参加していた
今のプロ野球チームとしてのDeNaしか知らない方は、こんなことを聞いても信じがたいかもしれませんが、当時事業の多角化をはかっていたDeNaは広告収入の獲得を目指してインターネットのアフィリエイトにも手を伸ばしていたのです。なにしろ」DeNaという大企業がやることですからスケールも大きく、膨大な量の記事を扱っていたようで、それを調達する手段として大量のリライト記事を募集したのですが集まったものの中にはクオリティが低いものも少からず混じっていたのですが、それらを省くことなく採用したのが問題のもとだったのです。つまり信憑性の低い劣悪記事が多い、と問題になったのです。これについては当時の新聞に深刻な社会問題として大きく報道されました。詳しく書くと長くなりますので、詳細は下の記事を参照ください。
(参考記事)
起こるべきして起きたDeNAのまとめサイト問題(その1) ・ 粗製乱造?インターネット ウェブサイトの素人ライター
DeNAまとめサイト問題は起こるべきして起きた(その2) ・ そもそもの原因はリライト記事にあるのではないか?
(表9)
(表9)前の章でも書きましたが、新人Webライター時代に原稿料が一番高かった業種は1文字2円の注文住宅です。この表で注目したいのは3件の入金金額はすべて万単位でまとまっていることです。これについて説明しますと、最初の10,000円は2千文字5記事分、2番目は同じく10記事分、そして3番目が同20記事分で、すべて1文字2円の計算で入金されています。
(表10)
シリーズ1で、「発注者には医師も含まれていた」と書いていますが、
これがその時の入金内容です。USBに保存している記事内容を調べてみたところ
記事内容は精神病(双極性障害、PTSD)などで、いろいろな資料を調べながら苦労して書いたことを今でもよく覚えています。
(表11)
(表11)職務経験豊富な得意分野のホテルに関する記事です。文字単価は1文字1円でしたが、ワードプレスへ直接入力による納品というのが初めての経験で少し厄介でした。とはいえ、Webライター新人の私にすると高単価の注文で、そのうえ毎月発注があり、量的にもまとまっていて不足はなく、しばらくの間当方の懐を大いに潤してくれました。ちなみにこの表の2016/1〜2016/4の4か月間だけでも入金額は15万円弱に及んでいます。
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Webライター原稿料入金票のリアル
年金生活Webライターの告白 ネットで稼ぐのは楽でない(2)
シリーズ(1~4)
シリーズ(その4)
Webライター
在宅ワークだが誰にでもできる仕事ではない
インターネットの普及で自宅にいながら仕事ができるいわゆる在宅ワークが盛んになりました。もちろんネットの普及前にも在宅ワークはありましたが、その多くは内職と呼ばれるもので、家でできて楽なのはいいとしても、賃金が極端に低いため、あまり普及しませんでした。それに代わって出てきたのがパソコンやスマホによるインターネットを使った在宅ワークです。これがコロナ禍の影響で一気に広まってきたのです。パソコンやスマホがあれば手軽にできるということもあって人気を呼び、一時は「猫も杓子も」という状態でまたたく間に人々の間に広まったのです。こうした風潮もあってか、在宅ワークの一つであるWebライターの募集広告には随分気楽で無責任なものも含まれていました。なんとキャッチコピーが「誰でも簡単にできるできる」となっているのです。
無責任な募集広告がネット記事の粗製乱造を生んだ
この結果生まれたのが一時社会問題にもなったなって騒がれたDeNAによる低品質リライト記事の氾濫でした。なおこれについてはシリーズ3に詳しい記事を載せています。ここではっきり言っておきます。Webライターは決して誰でも簡単にできる仕事ではありません。感嘆できるという勘違いが、上で書いたように大きな社会問題にもなったDeNAによる粗製乱造の記事の氾濫を生んだのです。
SEOを知らなければお金になる良い記事は書けないし長続きもしない
Webライターは記事を書けばいいというものではありません。日記を書くのと違って人に読んでもらわないと何にもならないからです。そのためには読者の役に立つとともに、興味を引くものでなければなりません。つまり読者に「役に立った」「おもしろかった」と思わせるのです。それでこそWebライターとしての役目が果たせるのです。読者に役立ち、面白いと思ってもらう記事を書くために必要なのがSEOです。Webライターは常にSEOを意識して執筆に当たらないと読者に喜ばれる記事を書くことはできません。Webライターを目指す人は、まずSEO技術の習得から始めなければなりません。
(表12)
この表の発注者のことはよく覚えています。報酬が1文字1.2円と比較的よかったこともありますが、理由はそれだけではありません。いろいろとWebライティングの知識を教わったからです。教わったと言っても直接「ああしなさい」「こうしなさい」というのではなく、記事を納品した後でダメ出しがよくあったのです。つまり納品したものをすんなり受け付けてくれずに、あれこれ注文が付くことが多かったのです。でも注文が付いたのは決して苦情めいたものではなく、記事をよりよくするためのもので、書き直しや訂正のプロセスで当方に非常に勉強になったのです。
エネルギーという当方に専門知識が乏しい分野だけに、修正過程でいろいろな知識が付き、それが有難かったのです。先方の書き直し指示に素直に従ったことに好感を持ってくれたのか、次々と記事を発注してくれ、当方の乏しい財政に大いに貢献してくれ、今でも感謝の気持ちが残っています。
(表13)
上と同じ会社からの発注分です。1回の金額も比較的高く
当時もっとも安定した発注先でした。
(表14)
強壮剤というそれまでやったことのないテーマでした。この発注者とはどこよりも頻繁にチャットワークで直接打ち合わせを行ったことを覚えています。ユニークなテーマの割には1文字0.6円と報酬が低かったのですが、未経験の分野であり文句は言えません。
この頃の全体入金明細表
このシリーズも今回の(その4)で終了ですが、最後に、ここまでこま切れで出してきた入金明細表体の載せておこうと思います。
入金表原簿(相手先会社名消去)