私が住んでいる街は人口50万人の地方の中都市です。地方といっても関西地区の兵庫県ですから、産業も比較的活発なメジャーな県の一つです。
市の名前は世界遺産「姫路城」で有名な姫路市です。
この街にはJRの駅前から北に向かって国道2号線まで550メートルの商店街が延びています。御幸(みゆき)通りという名前の市内で最も大きな商店街です。
いま全国で、シャッター街と呼ばれる商店街がどんどん増えているようですが、この通りに限っては、いまだに人通りも多く、シャッターを下ろしている店はほとんど無いと言えます。
では活況なのかと言えばそうでもなく、かろうじて生き残っている、と言った方が適切かもしれません。
それはともかく、この商店街で非常に残念なことが一つあります。それは、かつてはここに5軒あった本屋が全部なくなってしまったことです。
そうなのです、本屋が見事に一軒もなくなってしまったのです。
15年ぐらい前までは、この550メートルに及ぶ長い商店街には比較的規模の大きい本屋が5店もありました。その5店の中には洋書で有名なあの「丸善」さえ入っていたのです。
それが一つ減り、二つ減り、と言う状態で、ついに5年ぐらい前までに丸善を含めて本屋が全部なくなってしまったのです。
いったいこれはどういうことなのでしょうか。なぜ本屋だけが全部なくなってしまわなければいけないのでしょうか。
もちろん、本屋が減少しているのは、全国的な傾向でわが街だけではありません。ですから半減するぐらいなら、まだ許されるのですが、全滅するとは、どう考えても納得できません。
この商店街は朝夕は高校生の通学路になっています。
商店街を抜けた先は文教地区になっていて、3つの高等学校があるのです。
商店街を抜けた先は文教地区になっていて、3つの高等学校があるのです。
いずれもレベルの高い高校ばかりですから、本離れが進んでりる時代だとは言え、毎日ここを通る数百人にも及ぶ学生の中には本好きな生徒もいるに違いありません。
でもそうした生徒たちが通学の行き来に立ち寄る本屋がないのです。
今もっとも本を読んでもらいたいのは学生です。その学生たちが、通学の途中に本を立ち読みしたり買ったりする所がないのは実に由々しき問題です。
たとえ他の店はなくても本屋だけはあって欲しいのです。でも、この商店街では、本屋が真っ先に消えてしまったのです。
たとえ他の店はなくても本屋だけはあって欲しいのです。でも、この商店街では、本屋が真っ先に消えてしまったのです。
もちろん商店街を外れたところには、今をときめく大型書店があります。Jという全国チェーンの大規模書店で、大きなフロアには50万冊もの本が揃っています。
でも通学路を大きく外れていますから、この書店まで足を延ばす学生はあまりいないようです。
要するに通学路である商店街にこそ書店はあるべきなのです。
この大型書店の出現も、商店街に本屋がなくなって大きな原因のひとつです。
今いろいろな業界で寡占化が進んでいるようですが、商店街の本屋を全滅させるほど極端な例は他の業種では見かけません。
もちろんこうした本屋の衰退は大型書店のせいだけでなく、モバイルの電子書籍や、アマゾンなどの書籍の通信販売にも原因があるのかもしれません。
しかし通学や通勤途上に気軽に立ち寄ることができる商店街の本屋だけはなくなって欲しくないのです。
できることなら、もう一度復活してほしいものです。
参考までに、この15年間に全国で8000軒の本屋がなくなった推移を下に掲げておきます。
参考までに、この15年間に全国で8000軒の本屋がなくなった推移を下に掲げておきます。
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<この15年間に8000店もの本屋がなくなった>
全国書店数の推移(1999年~2013年)
【年度】 【書店数】
1999年 22,296 店
2000年 21,495 店
2001年 20,939 店
2002年 19,946 店
2003年 19,179 店
2004年 18,156 店
2005年 17,839 店
2006年 17,582 店
2007年 17,098 店
2008年 16,342 店
2009年 15,765 店
2010年 15,314 店
2011年 15,061 店
2012年 14,696 店
2013年 14,241 店 ※2013年5月現在
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