2018年3月7日水曜日

趣味は人間観察、という人がいる



若い女性が「趣味は人間観察」と言っていた


何かのテレビ番組で見たことがありますが、駆け出しの女性芸能人が「私の趣味は人間観察です」と言っていました。

それを聴いて、何となく違和感を感じたことを覚えています。

でもなぜなのでしょう?


いま話題の小説「おらおらでひとりいぐも」には人間観察シーンが多い


人間観察と言えばいまベストセラーになっている芥川賞受賞の小説「おらおらでひとりいぐも」が頭に浮かびます。

この小説の主人公である桃子さんという老女は自分でも認めているように友達がいない人です。

何故友達がいないのか、その理由のひとつは彼女の人間観察癖にあります。

小説の中でもしばしば人間観察のシーンが出てきます。

まず病院の待合室では、まわりにいる老人たちを誰それなく観察しまくります。

そして「あの人のあのそぶりがのおかしい」、「その人のあんな行動がへんだ」などと、人の批評は留まることを知りません。

桃子さんは人間観察を始めると時間がたつのも忘れてしまうのです。

これだけでは終わりません。若いころ上京したときに乗った列車の中の回想シーンでは、斜め前に座った中年男性の窓に映った姿を

顔の角度から手の動かし方に至るまで執拗に観察し、その様子を詳しく描写しています。

こうしたしつこいほどの人間観察は、読み手の興味をそそるどころか、反対に違和感を覚えさせます。

この点がこの小説が好きになれない理由のひとつです。


人間観察が好きな人はなぜ友達ができないのか


桃子さんのように人間観察が好きだと友達がいなくなります。でも、なぜ人間観察が好きだと友達がいないのでしょうか。

それを理解するために、自分に人間観察が好きな友人がいる、と思ってみてください。

その友達はあなたを前にしているときは、四六時中あなたを観察します。

そして「君のその癖がどうだ」とか「そんな性格がどうだ」などと批評ばかりするでしょう。

そんな友人に対してあなたはどう思うでしょうか。決して好ましくは思わないでしょう。

それどころかそんなふうに観察されて批評ばかりされれば、そのうち相手のことがうっとうしく感じて会うのも嫌になるに違いありません。

つまり相手のことが嫌いになってしまうのです。

これで分かるように、人間観察が好きな人は、相手から嫌われます。それ故に友人ができないのです。


人間観察は人の心をのぞき見すること


人には誰にでも心の内側にそっとしまっておきたい事があります。

秘密というわけでもありませんが、できることなら人に知られたくないことです。

ところが人間観察が好きな人は、この心の内側にまで入り込んでそれを知ろうとするのです。

人間観察をする人が嫌われるのは、人が知られたくないと思っている心の中をのぞき見するからです。


履歴書に「趣味・人間観察」と書けば間違いなく落とされる


就職に必要な履歴書には趣味を書く欄があります。この欄を記入するときは誰でも気を使います。

ありきたりなものを書いても相手の気を引かないと思うからです。

それゆえに、相手が注目してくれるような、できるだけユニークなものを上げようとします。

考えに考えた結果、好きなことの一つである人間観察と書くことにしました。

しかしこれを見た面接官はどう反応するでしょうか。恐らく良い印象は持たないと思います。

なぜなら面接した相手に自分が観察されることが嬉しくないからです。

自分が相手を観察するのは仕事だから仕方ないとしても、逆に自分が面接相手から観察されるのは真っ平ゴメンなのです。

ということは、趣味に人間観察と書けば、就職試験で落とされるのは100%確実です。







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