旅先のロンドンで家族の土産にキャビアを買ったが
場所はロンドンヒースロー空港、作家・浅田次郎は家族へ土産を買う店を探して歩いていました。
飛行機の出発まであまり時間がないので少し焦っていましたが、しばらく歩いていると「キャビアハウス」という看板のかかった店がありました。
とっさに、おみやげはこれだ!と思い、店に入っていきました。
中にはいろいろな種類のキャビアがありましたが、買い物ではいつも上質のものしか選ばない著者は、インペリアルという最上級のキャビア250グラム入りを家族用に、50グラム入りを秘書用に購入しました。
支払いはクレジットカード払いにしましたが、急いでいたこともあって支払明細の確認を怠ってしまいました。
でもたいした額ではことはないだろうと、値段についてはそれほどを気にしていませんでした。
後日送られてきた請求書の金額に目を疑った
家族は大きな缶に入ったキャビアのおみやげに大喜びでした。
なにしろ250グラムという量ですから、食べがいがあり、毎日食べてもなかなか無くなりません。あまりの余裕に飼い猫にまでおすそ分けしたぐらいです。
しばらくしてキャビアハウスから請求書が送られてきました。
たいして気にもせずに開けてみたのですが、請求書に書かれている金額を見てびっくりすると同時に目を疑いました。
そこには、請求額千九十六ポンド、とあったのです。
これを日本円に直すと二十一万二千六百二十円にもなるではないですか。
これを日本円に直すと二十一万二千六百二十円にもなるではないですか。
一瞬一桁間違っているのではないかと思いました。でも、何度見ても金額欄には千九十六ポンドと書かれているのは確かです。
それでも納得できないので店に手紙を出して確認することにしました。
その後それほど間を置くことなく返事がきましたが、添えられていた価格表にはこうありました。
インペリアル250グラム缶・九百十二ポンド
同50グラム缶・百八十四ポンド
合計・千九十六ポンド
請求金額は一桁の間違いでもなく、正確なものだったのです。
キャビアが高いものであるという認識が乏しく見栄を張って最上級のインペリアルを買ったことが悔やまれました。
でも編集者用に買おうと思った50グラム入り10缶が品切れで買えなかったことが不幸中の幸いだったとせめてもの慰めなりました。
とはいえ、こんなに高価な食べ物をいい気になって猫にまで与えたのにはになんとしても悔いが残りました。
キャビアの値段が高い理由は
世界三大珍味というのをお聞きになったことはあると思いますが、キャビアはトリュフ、フォアグラと並んだその中の一つです。
これら三つは、いずれも値段が高いことで知られています。
キャビアはチョウザメの卵です。天然のチョウザメは、とても稀少でめったに捕獲されない魚です。
でも養殖することが可能です。しかし、養殖には問題がたくさんあります。
その一つはチョウザメが成長した卵をみごもるまで、7年から10年もかかるのです。
そのため餌代がたくさんかかってしまいます。
さらに大人になるまでオスとメスの区別がつかないため、せっかく丹精こめて、餌代をかけて育てても、オスだったら卵を産みませんから無駄になってしまうのです。
値段が高い高級食材ランキング
ここまでご紹介したようにキャビアは食材としては最も値段が高いものの一つですが、キャビアに劣らず値段が高いものは他にもあります。
ここではそれらをランキングの形でご紹介することにします。
第1位・金箔
100グラム=44万円
世界で最も高価な食材は「金箔」です。高級な料理のトッピングなどでは使われることも多い金箔ですが、その薄さは1立方センチメートルの金から10平方メートルの金箔が作られるほどで、100グラム単価で考えれば納得の値段です。
金は王水以外の強酸とは反応しないので、胃酸などの消火液とも反応せず、体内に一切吸収されないまま排泄されます。金箔は味もなく吸収もされないと聞くと、何だかもったいなく思えてしまいます。
第2位・アルマスキャビア
100グラム=30万円
キャビアもトリュフと同様、世界三大珍味に数えられる有名な高級食材です。その中でも金色に輝くアルマスキャビアは非常に高価で取引されています。
遺伝子異常による突然変異で色素をもたないオオチョウザメ(ベルーガ)からしか採取出来ず、キャビア自体が元々高級食材であるためその希少性から価格が跳ね上がっています。
第3位・白トリュフ
100グラム=8万5千円
トリュフは世界三大珍味にも数えられる有名な高級食材なので、ご存じの方も多いかと思います。その中でもイタリアで採取される白トリュフはその希少性から非常に高価で取引されています。
トリュフ狩りには訓練された犬を用いることで知られています。過去に採取された重さ1.5キロの巨大な白トリュフは、オークションで約3600万円の値が付きました。
第4位・サフラン
100グラム=8万円
サフランという名前は聞いたことがある人も多いかと思います。サフランは香辛料や生薬として古くから利用されているアヤメ科の多年草です。
収率が極めて低く、わずか1グラムの香辛料を得るために160の花が必要になるため、非常に貴重で高価となるようです。
第5位・熟成バルサミコ酢
100ml=2万5千円
バルサミコ酢といえばオリーブオイルと並んでイタリア料理には欠かせない調味料として知られており、今では日本でも広く一般家庭に普及しています。しかしそうしたバルサミコ酢は正確にはバルサミコ酢ではなく、風味などを似せた類似商品にあたるそうです。
トラディツィオナーレ(伝統的な)と呼ばれるバルサミコ酢は最低12年以上の熟成など細かな製法が法律で定められており、それらが守られているものだけがDOP(イタリアの原産地名称保護制度)の指定を受けることが出来ます。
第6位・ロバのチーズ
100グラム=1万5千円
チーズの原材料といえば一般的には牛やヒツジ、ヤギなどのミルクですが、セルビアで生産されているロバのチーズはそれらとは比べ物にならないほど高価です。
ロバのミルクは牛乳の約60倍のビタミンCが含まれるなど非常に栄養価が高いのですが、一頭から一日に2デシリットルしか取れないとも言われています。
第7位・コピ・ルアク
100グラム=8千円
ジャコウネコの糞から採取される未消化のコーヒー豆ということで非常に産出量が少ないため高価となっています。
タイには同様に、コーヒー豆を食べさせたゾウの糞から採取される「ブラック・ア