2019年2月16日土曜日

統計データやトレンド情報のウソを見破りたければこの本を読め!・「だから数字にダマされる」小林直樹著 日経BP社



世に蔓延する統計データやトレンド情報のウソをするどく検証


厚労省による間違った統計で、雇用保険や労災保険が少なく支払われたことが今大きな社会問題になっています。
 
この問題を例に挙げるまでもなく、ネット社会の今、世に出回るデータや情報は増える一方です。
 
しかしこうしたものの中にはいわゆる偽物も少なくありません。フェイクとまでは言いませんが、真実には程遠いものも少なくないのです。
 
この本は人々が騙されないようにと、あらゆる統計データのウソをするどく検証しています。
 

 

最近よく言われている「若者の○○離れ」の9割はウソ


若者についてのトレンドを書いた記事で、○○離れというフレーズをよく目にします。代表的なものとしては「車離れ」 「ビール離れ」 「海外旅行離れ」などがあります。
 
要するに車、ビール、海外旅行などの分野で、いずれも若者の需要が減少しているというのです。
 
確かに最近の統計を眺めて見ますと、三つとも大幅に数値が下がっているには事実です。

しかし、車離れ、ビール離れ、海外旅行離れと呼ばれるほど大幅には下がっていないのです。
 
例えば海外旅行を見ても、ピーク時の1996年には463万人に達しました。それが19年後の2015年には253万人に減少しました。
 
この数字だけ見ると200万人以上の差があり大きな減少であることは間違いありません。
 
しかしこれだけ見ても実態はわかりません。なぜなら分母である20代の人口が大きく変化しているからです。実際の人口を見てみますと、1996年は1900万人、2015年は1274万にしかすぎません。
 
この数字を母数にして計算しますと、1996年は24%、2015年は20%になり、その差は4%でしかありせん。
 
これだと微減した程度で、海外旅行離れと騒ぐところまでは言っていないのです。
 
著者は、数字が下がっているのは事実だが、それは分母である若者の数の減少を考慮していないから数字としての意味はないとはっきり言っています。
 

 

「マンションの高層階に住む女性ほど流産が多い」というのは本当か?


著者の偽データ、偽情報についての検証はまだまだ続きます。例えば表題についてですが、タワーマンションなどの高層の建物に住む女性は流産になる確率が高い、という説に関して著者は次のように検証しています。

一般的にタワーマンションと呼ばれるところは、いわゆる高級マンションであり、当然住人には高所得者層が多くなっています。ということは年齢的にも中高年齢層が多いと考えられ、夫婦であれば配偶者の年齢も高くなります。
 
出産する女性の年齢が高くなれば流産の確率が高くなるのは当然のことです。つまり高層マンションが流産の原因ではなく、そこへ住む住人の質が個の数値を高めているのです。
 


(目次)
第1章 巷にはびこる「若者の○○離れ」のウソ
第2章 イメージでレッテルを張るのはやめよう
第3章 過去と比較せずに結論づける愚
第4章 増えた(減った)理由は他にないか?
第5章 因果関係なのか、相関関係なのか?
第6章 その結果が出た算出方法を確認しよう
第7章 ネット上の「声」に耳を傾けてみる
第8章 見出しにつられるなかれ
終章 数字にダマされないために



著者紹介

小林 直樹 (コバヤシ ナオキ)  
「日経デジタルマーケティング」記者。早稲田大学政治経済学部卒業後、1994年日経BP社入社。1996年「日経ネットナビ」、2002年「日経ビジネスアソシエ」の創刊、編集などを経て、2007年「日経デジタルマーケティング」の創刊に参画(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

出版社名日経BP社
出版年月201610


 

 






 
 

   
   
 

   
   




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