これまでに30人近い作家のエッセイ集を読んできた
下に並べた作家名は私がこれまでに読んだエッセイ集の著者名です。
エッセイ集ですから1冊の本にまとめられたものですが、多い人だと10冊以上も出している作家もいます。
ですから作家の数イコール読んだ冊数ではありません。例えば浅田次郎のように10冊近く読んだ作家もいます。
阿佐田哲也、浅田次郎、五木寛之、池波正太郎、東海林さだお、
山田詠美、角田光代、林真理子、井上荒野、江國香織、椎名誠、
山田風太郎、嵐山光三郎、伊集院静、吉村昭、阿川佐和子、
井上ひさし、瀬戸内寂聴、吉田修一、斎藤茂太、西原理恵子、
佐藤愛子、橋田壽賀子、山本周五郎、渡辺淳一、吉行淳之介 ・・・
良い小説を書いている作家がエッセイも上手とは限らない
私はこれまでブログを通じて、読んできたエッセイ作品についての感想で「つまらない作品が多い」と度々苦言を呈してきました。
おそらく多くの方々は、作家が書いたエッセイを読む前には、良い小説を出している人のエッセイ集だから、きっと良い作品に違いない、と大きな期待を寄せるに違いありません。
でもそうした期待は往々にして裏切られる事が多いのです。なぜなら期待とは裏腹に、拍子抜けするようなつまらない作品が多いことに気づくからです。
そうなのです。たとえ評判の良い小説を夜に出している作家だとはいえ、エッセイも上手だとは限らからです。
締切に追われた書いたものにあまり良い作品はない
作家は書くことが仕事です。仕事である以上コンスタントにやらなければいけません。つまり毎日何かの作品を書かなければならないのです。
でも作家だからといって毎日スムーズに執筆作業が進むとは限らず、日によっては気持ちばかり焦って一向に作業がはかどらないこともあります。
要するに書きたくても何を書いていいかわかわからず筆が前に進まないのです。
そんな日が何日も続くと締め切りがどんどん迫ってきます。そうなると焦りからか、あまりパッとしない気の乗らないテーマでも取り上げざるを得なくなります。
その結果出来上るのは読者の興味と関心を引くことができない中身の薄いつまらない作品なのです。
エッセイの良し悪しはテーマの選び方で決まる
エッセイは文章力もさることながら大事なのはテーマです。
作家ですから文章力はそれなりにあるのは当然です。しかし良いテーマがなければその文章力を活かすことはできません。
はっきり言ってエッセイの良し悪しを決めるのはテーマ7割、文章力3割と言って良いでしょう。
とはいえ、読者の関心を引く魅力的なテーマがいつも見つかるとは限りません。でも良い作品のためにはなんとしても良いテーマを見つけなければなりません。
そのためには安閑としていてはいけません。作家は常日頃から骨身を削ってでも作品のための良いテーマ探しに励まなければいけないのです。
書き過ぎの作家の作品は概して良くない
人気者の売れっ子作家になるとあちこちからエッセイ執筆の依頼も多くなります。
出版社からだけではありません。コラム欄を持っている新聞社、機関誌を出している様々な企業など、依頼先は多岐に及ぶでしょう。
そうなると次第に執筆作品が多くなってきます。
製品でも作品でも数が多く出ると粗悪品が増えてきます。
有名作家なのにエッセイにつまらない作品があるのは、書きすぎだからなのです。
つまらない作品は人気作家の評判に傷が付きます。
これを避けるためには数多い執筆依頼をすべて引き受けるのでなく、仕事量をよく測って調整を図り、時としては執筆依頼を断ることも必要です。
作家は日頃からエッセイのネタを用意しておくべき
人気作家になればあちこちからエッセイの依頼が多い、と上で書きました。
どれくらい多いかといえば、人にもよりますが、作家によってはは1ヶ月に10本以上にも及ぶことがあるようです。
仮に5本としても1年で60本です。60のエッセイを書くには60のテーマが必要になります。
上でも書きましたが、作家といえどもいつも作品のための良いテーマが見つかるわけではありません。
それもあって、締切に追われたりすると、つい吟味してない適当なテーマで作品を書いてしまいます。
でもそれだと読者の興味と関心は惹かず、つまらない作品と評価されてしいます。これでは作家としては寂しいことです。
こんな事にならないためには、作家は日頃からエッセイの執筆に備えて、ある程度の魅力あるテーマをストックしておく必要があります。
読者を失望させない人気作家でありたいなら、こうした努力は欠かせないのではないでしょうか。
一文字10円以上になることをじゅうぶん認識して書くべし
別のブログでも書きましたが、作家のエッセイの原稿料は1篇2万円程度になります。
文字数は平均して2000字程度ですから、1文字10円ということになります。
前にも巻きましたが、プロの書き手なら2000字の文章は2時間程度でかけます。つまり、2時間で2万円の文章作品が作り出せるのです。
ということは時間給にすれば1万円ですから結構な高収入になります。
作家ははたしてこの金額を認識して執筆に及んでいるでしょうか。
1文字10円、これほどの高単価の賃金を受け取る以上、いくら締切に迫られようが、つまらない作品を書いてはいけないのです。
(注)写真の本は良かった作品の一部です。
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