2020年10月1日木曜日

韓国ソウルの低所得高齢者 地下鉄との密接な関係


ソウルの地下鉄は高齢者でいっぱい

韓国の地下鉄の特徴の一つは他の国に比べて高齢者の乗客が目立って多い点です。これは高齢化が進んで高齢者人口が大幅に増えたことにも原因がありますが理由はそれだけではありません。

最も大きな理由は高齢者の地下鉄利用に魅力的なメリットがついているからです。

そのメリットとは65歳以上は乗車賃が無料になっていることです。つまり年齢が65歳に達すると、いくら乗っても運賃は一切かからないのです。

時間に余裕がある高礼者のことですから、どれだけ乗っても無料となれば「乗らなければ損」という気になって、乗客がどんどん増えていくのは当然のことです。

かくして今ソウルの地下鉄は高齢者で溢れかえっているのです。

 

65歳以上は地下鉄やバスの乗車賃無料だから 

たいていの国で高齢者のメリットとして大きいのが公共交通機関の利用です。

つまり地下鉄やバスの料金が無料になったり大幅割引になるのです。

韓国の場合、このメリットが日本に比べて格段に大きいのです。

日本だと例えば東京の場合、70歳以上の高齢者対しては公共交通機関のシルバーバスが発行されます。

シルバーパスには若干の料金がかかって、市民税非課税世帯なら1000円です。(課税世帯は20,510円)。また大阪市の場合 70歳以上は1回乗車50円となっています。

これに対して韓国ソウルの場合は、65歳以上の高齢者は無条件に公共交通機関の利用が無料なのです。

これは日本に比べてなんと有利なことでしょうか。

こんなに魅力的ななメリットがあれば高齢者が地下鉄に殺到するのは当たり前のことですね。

 

月3万円の年金では生活できないので

韓国では高齢者の貧困が大きな社会問題になっていますが。その最大の原因は少ない年金支給額にあります。

いま韓国の高齢者が受け取る年金の平均受給額は月5万3千円程度ですが、受給者全体の50%は月額がわずか3万円以下です。

おまけに物価が日本とあまり変わらないだけに、これだけの年金では生活が困窮するのは当然のことです。

これでは生活していくのは困難ですから収入を増やすために仕事をせざるを得ません。

でも65歳を超えた高齢者に仕事はあるのでしょうか。あるとすればどんな仕事でしょうか。

 

ソウルの高齢者 無料の地下鉄を使って配達アルバイト

韓国ソウルには「老人宅配」と呼ばれる軽量の荷物や書類を届ける配達員に従事する人がたくさんいます。

ソウルに中心部には「鐘路(チョンノ)シニアクラブ地下鉄宅配事業団」という組織があり、ここの待機室では大勢の高齢者が朝早くからクライアントから宅配依頼が入るのを待ち構えています。

65歳以上は無料で地下鉄が利用できるおかげで宅配料を低く抑えることができるため人気が高く依頼主が多いのです。

それゆえに高齢者のアルバイトとしてじゅうぶん成り立っており、多くの高齢者が宅配員として就労しているのです。

 

暑い夏でも 家に冷房のない高齢者

終日涼しい地下鉄に乗って過ごす

暑い夏を過ごすには冷房設備は欠かせません。でもそれには設備設置費用と毎月の電気代が必要になります。

しかし月3万円以下で生活する貧困高齢者にはそうした費用を捻出する余裕がありません。

したがって暑い夏も冷房のない家で過ごさなければならないのです。

とはいえ、日中の暑いさなか家で過ごすのは過酷なことです。なんとか暑さを凌ぐ方法はないかと考えた結果が無料の地下鉄を利用することです。

これなら少しもお金を使わず、とりあえず暑さからは逃れられるのです。

かくして夏場のソウルの地下鉄は高齢者で溢れているのです。

 

まとめ・ソウルの地下鉄が高齢者で溢れる3つの理由

(理由・その1)

65歳以上の高齢は地下鉄やバスなどの公共機関の乗車賃無料

日本の大抵の都市は70歳~75歳以上が対象で、韓国の方が5歳以上も対象年齢が低くなっているので、無料乗客の絶対数が多い

 

(理由・その2)

高齢者の受給年金額が少なく仕事をしなければ生活が成り立たない人が多く、そうした高齢者が無料で乗車できる地下鉄を使って配達アルバイトをしている。

 

(理由・その3)

貧困高齢者の多くは家に冷房設備がない。そのため暑い夏がくると、無料で利用できる涼しい地下鉄に殺到する。


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