日本語が難しいのは、紛らわしい熟語が多いから
よく日本語は難しいと言われますが、その理由の一つとして、紛らわしい熟語が多いことがあります。
紛らわしくなるのは同じ文字を用いている熟語が多いからです。例えば語尾に大の字がつく、絶大、甚大、膨大、多大、のような熟語もそうした例の一つです。
これらの熟語、見た瞬間に思うのは、大きいことを意味する言葉である、ということです。言うまでもなく語尾に大という字がついているからです。
今回テーマになるのは語尾に「迫」の文字がつく逼迫、切迫、緊迫の3熟語です。
これらについても、共通する文字「迫」から瞬間的に思い浮かぶのは、この文字にに関連する紛らわしい意味です。
逼迫、切迫、緊迫の共通の文字「迫」にはどんな意味があるのだろうか
はく【迫】
1 ひたひたと対象に近づく。事態が差しせまる。「迫撃・迫真・迫力/急迫・緊迫・切迫・逼迫(ひっぱく)」
2 圧力を及ぼして苦しめる。押しつめる。「迫害/圧迫・脅迫」
[名のり]せり・とお
[難読]迫(せ)り出す・迫持(せりもち)・筥迫(はこせこ)・迫間(はざま)
出典:Weblio 辞書
「逼迫」「切迫」「緊迫」意味の違い
「逼迫」
〘名〙
※太平記(14C後)二三「五体逼迫(ヒッハク)しければ」 〔謝霊運‐述祖徳詩〕
② さしせまること。また、困窮すること。経済的な面で余裕のない状態になること。
※文華秀麗集(818)下・神泉苑九日落葉篇〈嵯峨天皇〉「歳月差馳徒逼迫」
※浮世草子・好色盛衰記(1688)一「逼迫(ヒッハク)の小ばらひを顕す」 〔李密‐陳情表〕
③ 攻めて相手に迫ること。
「切迫」
〘名〙
① さしせまること。おしつまること。
(イ) 時間や期限などがさしせまってくること。〔布令必用新撰字引(1869)〕
※東京日日新聞‐明治一四年(1881)一一月一四日「右は会日も接迫の事故不得止其儘」
(ロ) 物事や関係が重大な緊張した状態、追いつめられた状態になって来ること。
※応永本論語抄(1420)衛霊公第一五「君子はかやうに迷惑なるめにはあふまじかと思いしが、君子もかやうに困窮して切迫なるめにあう者かと云」
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉四「事頗る切迫(セッパク)す、瞬間も失ふべからずと」
② 極端に一事にせまっていくこと。急進的に突き進むこと。
「緊迫」
〘名〙 情勢がさしせまっていて、油断のならないこと。情勢が緊張し、切迫すること。
※一年有半(1901)〈中江兆民〉二「頸頭の塊物漸く大を成し、喉頭極めて緊迫を覚へ」
※原爆と作家の自殺(1951)〈佐々木基一〉「周囲の情勢は一年まえとは比較にならぬほど緊迫の度を加え」
出典:コトバンク
0 件のコメント:
コメントを投稿