中国からの観光客(A)と(B) 2人の日本語、どちらが好ましい?
(A)日本は自然の景色が美しいし、レストランが豊富で食べ
物がおいしいところが大好きです。
(B)日本、景色きれいと、おいしいいっぱい、だから好きあ
るよ。
上の(A)と(B)は外国人(中国人)がしゃべった日本語で
すが、ご覧のように2例のうち、(A)は文法的にもまとまっ
たきれいで問題のない日本語です。
でも(B)の方はいかにもたどたどしく、いわゆる「てにを
は」などが抜けた文法を無視した表現です。
でも聞く側として、どちらに親しみや愛着がわくかといえ
ば、それは間違いなくBの方です。
言葉に親しみがわくということは、それをしゃべった人に対
しても好感がわき、親しみを感じるのは言うまでもありませ
ん。
でもなぜなのでしょうか?
理由はよくわかりませんが、あえて言うとしたら、たどたど
しい言葉の方が,より「人間臭さ」を感じるからなのかもしれ
ません。
NYで外国人の職場仲間に嫌われなかったのは
私の英語がたどたどしかったからだろうか
かつて若いころ私は米国ニューヨーク市で現地の外国人ばか
りの職場で働いていたことがあります。2000室もの多く
の客室がある大きなホテルのフロントで、20人ぐらいスタ
ッフがいましたが日本人は私ひとりだけです。
その職場においては、自分から言うのもなんですが、私はス
タッフの皆から人気があり好かれていた方ではないかと思い
ます。
でも何故好かれていたのでしょうか。その原因を考えてみま
すと、
・日本人が珍しかったから
・仕事ぶりがまじめだから
・おとなしくて素直で従順だから
などと、いろいろ思い浮かびましたが、どれも最適な答えと
は思えません。
もちろんこれらも理由の一端にはなったかもしれませんが決
定的な要素とは言えないのです。
では正解はいったい何だったのかといえば、それは私のしゃ
べる英語だったのではないでしょうか。
私の英語は、自分ではある程度勉強していて、聞く人も耳に
はそれなりのレベルの言葉として届いているのではと自負し
ていました。
でもそれは自分勝手な独りよがりで、実際のところは上に上
げた中国人(B)のようなたどたどしいレベルの言葉であった
のではないでしょうか。
そのおぼつかない言葉で、ひとり現地人に交じって懸命に仕
事をしている姿に仲間たちは好感を持ってくれたのではない
でしょうか。
つまり私がしゃべる言葉としての英語が仲間たちに親しみを
抱かせ、魅力を感じさせたのではないか、と思うのです。
きっとそうだったに違いありません。私が中国人観光客のぎ
こちなくてたどたどしい日本語に、たまらなく親しみを感じ
たように。
もちろん英語については渡米前にはそれなりに勉強して、現
地で相手になんとか通じるレベルまでには達していたと思っ
ていました。
でも、自分の思いとは裏腹に、わたしの英語のレベルは自分
の思いよりんと低かったのかもしれません。
要するに上の例で挙げた(B)外国人がしゃべるようなたどた
どしいものであったのかもしれないのです。
タメ口で話しかけてくる若い女性が親しみやすく感じるのは
同じような理由なのか?
次に書くことはは外国や外国人のことではありませんが、職
場でときどき経験することです。それは若い女性の話ことば
についてです。
一般的に職場での言葉は、適当な敬語を交えたうえで、丁寧
な「です、ます」話法で話すのがマナーです。
これ家庭や遊び仲間同士のくだけた言葉による会話と大きく
異なる点です。
ことに年齢のかけ離れた上司に対する言葉遣いには相当気を
使います。失礼にならないような言葉の選択だけでなく、敬
いの気持ちを表さなければいけない、と思うからです。
家庭や仲間内のくだけた言葉遣いとはまるで違います。
でも時として、こうしたマナーをまるっきり無視して話しか
てかけてくる人たちがいるのです。
それは往々にして若い女性の多いのですが、いわゆる「タメ
口」という、あの話法です。
たとえばこんな調子です。
「ねえ、昨日の帰りに~さんと飲みにいったの?」
「いいなあ男の人たちって、帰りに飲みにいけるの」
「男同士ばかりでなく、わたしも一度つれていってよ」
と、こんな調子でタメ口もいいところです。
これをうんと年長の係長なり課長なりの男性上司に対して発
するのです。非常識極まりない、と思えることなのですが、
職場によってはこんなこともと時にはあるのです。
一般的に「タメ口ことば」は男性同士だと厳しい判断をされるのですが、反対に男女間では大目に見られることが多い傾向があるようです。