2026年7月25日土曜日

小説のようなエッセイ・シリーズ No.5


「”サイズ感”がいまいち合わなかったみたい」

翌朝、彼女が発した意味深なセリフを聞いて愕然!




彼女を初めて見たのは私が勤めていたホテルのフロントだった


大阪とニューヨークで通算20年間ホテルマンとして働いた私が、その間強く印象に残っていることの一つに、外国人相手のコールガールとしてホテルへ出入りしていたひとりの女性との出会いがあります。


確かイニシャルにH.Eがつく人でした。彼女を最初に見たのは当時商都大阪で高級ホテルとして名を馳せていた大阪グランドホテル(2009年廃業)で、そのフロントオフィスに勤務していた22歳の頃でした。


彼女が強く印象に残ったのは、その垢抜けした都会的な容姿です。後で知ったのですが、スリーサイズが上から90,60、90ということで、滅多に見ることのないような日本人離れした見事なプロポーションの持ち主でした。



彼女は高級ホテルを根城にするハイクラスなコールガール


これも後で知ったのですが、その美しい女性はこのホテルに宿泊する外国人相手のコールガールだったのです


私のブログ「高級ホテルにたむろする怪しい人たち」にも書きましたが、コールガールにもランクがあり、高級ホテルに宿泊する外国人の相手をするのは、いうまでもなく料金の高いハイクラスな最上級に属する女性たちです。


客になるのはスイートルームなど室料の高い高級な部屋に宿泊するお金持ちの外国人たちが主で、よほどのことがない限り日本人は相手にしません。


それだけに彼女たちは語学が堪能で、特に英語となるとほとんどが流ちょうにこなせるようでした。


そんな彼女たちの中には一流大学を卒業した高学歴の女性も少なくなかったようです。今のように高学歴の女性にふさわしい職場が少なく、それ故にコールガールは語学を生かしてお金を稼げる有望な職業とみなされたのかもしれません


彼女と親密な関係に慣れたきっかけとは


ホテルの一介のフロントスタッフとして働いていた私には、彼女たちは正直言って高嶺の花でした。要するに対等に付き合えるような相手ではなかったのです。


でも偶然に起こったあることをきっかけにその高嶺の花の存在である女性と親しくなることが出来たのです。


それは彼女を初めて見た頃から5年程過ぎてのことでした。


なんと、彼女とは住んでいた町が同じだった


そのころ私は、それまで務めていた大阪グランドホテルから、同じ系列のリーガロイヤルホテルに転属になっていました。


このホテルは同じ住友系列だとは言え、規模も格式も大阪グランドホテルを遥かに凌いでおり、文字通り当時の大阪ナンバーワンの高級ホテルでした。


彼女のほうも根城をこの新しいホテルのほうへ移していたようで、フロントで勤務する私は以前より頻繁にその姿を目にするようになっていました。


親しくなったきっかけはよく会うようになったからだけではありません。ある日のこと、帰宅する電車で偶然に彼女と会ったのです。


なんと同じ電車にあの彼女が乗っていたのです。私と彼女の自宅はJRの片町線の同じ沿線にあったのです。


これを機に彼女とのステキな交友が始まった


電車での突然のふれあいがあったとはいえ、彼女もそれまでホテルカウンターでの私との出会いをよく覚えてくれていたせいか、その後二人の仲は急速に親密度を増し、気がつけば週に一度はデートを重ねるようになっていました。


確か親しくなってから2か月ほど過ぎた5~6度目の夕方のデートだったと思います。


この日は大阪北新地で人気だったサパークラブ「キングスランド」という店に向かいました。


このクラブは上手なフィリピンのバンド演奏が評判の、当時としては夜のデートにピッタリのナイトスポットでした。


二人は素晴らしいバンド演奏に乗り、夜が更けるのも忘れるように、ゴーゴーダンスに酔いしれました。


そして翌朝気がついたとき、二人はホテルのベッドの中でした。


彼女は ”サイズ感”  もインターナショナルだった


楽しかった前夜が過ぎ、翌朝二人でホテルにいたのは良かったのですが、「好事魔多し」とはまさにこのことです。


朝になって、私は思いがけない衝撃を受けたのです。


それは彼女が何気なしに発した

「”サイズ感”がいまいち合わなかったみたい」というセリフを聴いたからです


「サイズ感が合わなかった」とは実に意味深な言葉ではありませんか。耳にしたときは衝撃だけでなく同時に屈辱感も感じました。


でもあっけらかんと言い放った彼女のこの言葉にはなんとなく真実味がこもっていました。


それもそうかもしれません。なにしろ彼女は長年外国人相手のコールガールとして過ごしてきているのです。


そんな彼女が久しぶりに普通の日本人を相手にして、「サイズ感が合わない」と感じるのは当然のことだと思ったからです。


私自身は人並みのサイズと自認していたのですが、でもそれは日本男性として考えた場合です。


しかし彼女のサイズの基準は日本人ではなく外国人男性だったのです。要は基準対象が違っていただけで、別に彼女が間違っているとか悪いとかではないのです。


いうなれば、彼女はサイズ感もインターナショナルだったのです。


おわり