2021年3月3日水曜日

今どきの文章の値段について

 

1文字10銭から1文字10円まで、その差なんと100倍

1文字10銭と言っても、今どき「銭」というお金の単位など使うことは滅多にありませんので、あえて説明しておくと1円は100銭のことで、10銭は1円の10分の1のことです。

今回のブログは、インターネットの様々なサイトの出現で、素人が書いた文章にもお金を払ってくれるようになったのは良いことなのですが、書く人や内容の違いによって値段には実に100倍もの差がある、というお話です。

 

この下手くそなエッセイに2万円も払うのはおかしい

そもそもこの記事をブログに書こう思ったのは、ある作家のエッセイ集を読んだからです。ベテランの女性作家の作品でメジャー出版社から出たものです。

なにしろ売れっ子作家の作品だけに、どんなに面白いことが書いてあるかと、期待して読み始めたのですが、最初の作品3編ほど読んだところで、なにこの下手くそなエッセイは、とテーマと内容ののつまらなさに辟易してきたのです。

そして、この作家はなぜこんなつまらないエッセイを書くのだろうかと、色々と理由を考えていたのですが、結論として言えるのは、作家活動が長すぎて多くの作品を書いてきたため、ネタ切れで、良いテーマが思いつかないのに違いない、ということです。

でも読者があくびをかくような、こんなにつまらないエッセイに、出版社はいったいいくら原稿料を支払うのでしょうか。

それについていろいろ調べてみたところ、この出版社ぐらい一流になると、作家が書いたエッセイには1文字につき10円ぐらい払っているようです。

とすると2,000文字程度のこのエッセイは2万円ということになります。2,000文字だと2時間もあれば優に書けますから、時給にする1万円です。

上に書いた文章の値段、1文字10銭から1文字10円まで、の最高ランクになるではないですか。

 

クラウドソーシング記事募集サイトの文章の値段は文字単価0.1円~6.0円と多彩

今はインターネットのおかげで素人が書いた文章でも値段がつく時代になったのですが、上に書いたとおり、その金額は1文字10銭から1文字10円というように、記事によって大きな差があります。

それを知るためにはネットの記事募集サイトであるクラウドソーシングを見てください。

主なものはランサー、クラウドワークス、サグーワークスなどですが、のような報酬金額の巾で多くの募集記事が出ているはずです。

それにしてもインターネットの記事の報酬にはなぜこのような大きな差があるのでしょうか。

その理由は、ネットサイトにはリライトといって、すでにある記事を書き換えるだけでいい安易に作成できる記事分野が台頭しているからです。

このことが大きな社会問題になったのが5年前のDeNAの医療健康サイトの安物記事の問題です。 

 

文章の値段は書く人や内容の違いで1文字につき100倍の差

インターネットが素人の文章に値をつけた

一昔前までは文章を書いてお金になる人はいわゆる文筆業に身を置く、新聞記者とか物書きとも呼ばれるプロの作家などに限られていて、間違っても素人が書いた文章が(懸賞などを除いて)お金になることはありませんでした。

ところが1995年頃インターネットが出現してからは事情が一変して、素人が書くブログのような文章でも値段がつき文章が売れるようになったのです。

4年前に大きな社会問題になり世間を騒がせたディエヌエーの粗悪記事乱造問題を覚えているでしょうか。

DeNAは、同社が運営する医療健康情報サイトの「ウェルク(WELQ)」に記事募集サイトで応募してきた素人のライターが書いた学術的根拠の乏しい大量のリライト記事を載せ、それによって多額の利益を上げたことが大きな社会問題になったのです。

 

DeNA問題原稿料が極端に安い素人ライタークローズアップ

クラウドソーシングなどの記事募集サイトには、1文字0,1円という驚くほど安い報酬によるライター募集が載っていますが、問題になったDeNAの記事を執筆に当たったのがこうしたライターなのです。

前述のようにリライト記事は日本語ができる人なら元記事さえあれば誰でも記事制作ができるので、安価な報酬でライターを集めることができるのです。

その報酬巾は概ね1文字0.1円から0.5円程度です。

これは前述のエッセイを書いた作家の1文字10円に比べて、何という大きな差でしょうか。

ちなみに1文字0.1円という超安物記事を書いたライターの報酬は同じ2,000文字でも、たった200円にしかならないのです。

これがこのブログで問題にしたい大きなテーマなのです。

 

安い原稿料でも件数をこなせば何百万円もの報酬を得ることが可能

上でも書いたように日本語のできる人なら誰でも書くことができるリライト記事ですが、インターネットの普及でそうした記事の募集は大量にあります。

したがってタイピングスキルがある人は数をこなすことができます。

例えば1文字0.5円の記事を1日に6,000文字書けば報酬は3,000円になります。ということは10日で3万円、20日で6万円になります。

かくしてこれを数年続ければ、ズブの素人ライターでも数百万円の報酬を得ることができるのです。一昔前は考えられなかったことで、これこそがインターネット出現のすごいところなのです。

 

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