あのレイモンド チャンドラーがノーベル賞について語っていること
いまさら云うまでもありませんが、レイモンド・チャンドラーは、米国を代表する人気作家ですが、その彼がノーベル文学賞に関して名言とも言うべき興味深い発言をしています。
村上春樹が紹介するチャンドラーのノーベル賞に関する名言
「私は大作家になりたいだろうか?私はノーベル文学賞を取りたいだろうか? ノーベル文学賞がなんだっていうんだ。あまりにも多くの二流作家にこの賞が贈られている。読む気もかき立てられないような作家たちに。だいたいあんなものを取ったら、ストックホルムまで行って、正装して、スピーチをしなくちゃならない。ノーベル文学賞がそれだけの手間に値するか? 断じてノーだ」
(注)翻訳家としての村上春樹は、チャンドラーの数多くの作品を翻訳している。
村上春樹はノーベル賞だけでなく、芥川賞、直木賞の受賞もなし
村上春樹については、毎年秋のノーベル賞受賞者発表時季になると、決まったように話題に上ってきます。
それは、これまで何度も受賞候補に上りながら、ことごとく受賞を逸しているからです。
それ故に今年こそという期待から、春樹ファンをはじめとした多くの人達が「今度こそ」と、受賞の期待を込めて騒ぎ始めるのです。
それにしても、いったいなぜ予想に反して何度も受賞を逸するのでしょうか。
どうも理屈では答えが出せません。強いて理由をあげるとすれば、運の悪さも手伝って受賞に縁遠いせいなのか、という点ぐらいです。
あえて受賞に縁遠いというのは、村上春樹は作家としての抜群の名声に反して、メジャーな文学賞の受賞が少ないからです。
その証拠に日本の代表的な文学賞である芥川賞ですら、処女作「風の歌を聴け」などで候補にこそ上がったものの、受賞には及んでいないのです。
文学賞に縁遠い村上春樹のエキスキューズなのだろうか?
それにしても、なぜ村上春樹はチャンドラーのこんな発言を紹介したのでしょうか。
誰もが知っているように、村上春樹はこのところ毎年のようにノーベル賞候補に上っています。でもいまだに受賞を果たしていません。
近年では日本人にもそれほど馴染みのないイギリス在住作家のカズオ・イシグロ氏にも先を越されてしまいました。
これに関して村上春樹本人は、直後のインタビューなどでは悔しさなどは口にしていませんが、内心は穏やかざるものがあるかもしれません。
日本の代表的な文学賞「芥川賞」さえ、受賞していない彼としては、ひょっとして文学賞全般に対して、一種の諦観のような気持ちを抱いているのかもしれません。
そうした内なる感情がノーベル賞を否定する気持ちが働くのではないでしょうか。
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