2023年2月1日水曜日

作家とカンヅメのおはなし

 年中締め切りに追われている作家 書けない時はカンヅメにされる

作家はものを書くのが仕事ですということは他になにもせ

ず朝から晩まで机に座って何かを書いているのです

でもいくら仕事とはいえいつも絶え間なくものを書き続ける

ということは大変なことです

とはいえ休んだり怠けたるすることはできず書き続けなけ

ればなりませんなぜならすべて締め切りがありそれまでに書

き終えないといけないからです


カンヅメ 正しくは館詰と書くらしい

初めて知ったのですがカンヅメの正しい文字はなんと

だということです

下にあるようにミステリー作家有栖川有栖氏の説ですが

れを読んで少し意外に思いました

なぜならこれまでカンヅメは缶詰のように缶の中に入れられ

て出れなくなる状態だと思っていたからです

 

作家が執筆のためにホテルや旅館に押し込められる

ことを缶詰と書いたら校閲さんから正しく

は館詰というチェックが入ったことがあります

語源が確定していないようでもあるのである時期

からカンヅメと表記するようにしました


作家のカンヅメで有名な山の上ホテル


山の上ホテルは客室数の少ないどちらかといえば小さなホテ

ルですにもかかわらず名前がよく知られているのはなぜなの

でしょうか

それは言わずと知れたことで有名作家が客としてよく出入

りして何かと話題が多いからです

その有名作家ですが単なる客として訪れる人ばかりでな

出版社から予約が入るいわゆるカンヅメとして送り込ま

れる作家も少なくないのです

こうした作家は過去の状況から見て自宅では作品を切日ま

でに間に合わすのが困難と予想されるためホテルで軟禁状

態にして無理やりにでも切までに書いてもらうのです

このホテルが場所柄神田神保町に近い出版社の多い地域

に建っていることもあって作家のカンヅメに都合がいいた

よく利用されるようになったのです

 

カンヅメになっても一行も書けない作家もいる


時代小説で有名な五味幸祐氏もこのホテルにカンヅメになっ

たことがありますが

たいていの作家がカンヅメになると観念して執筆に精を出

すのですが五味氏は例外でこの状態になってもも普段の怠

け癖が抜けずなんと1か月の間に行もかけなかったという

ことです

出版社もあきれはててカンヅメを解いたのですがさすがは

豪傑作家と言われるだけあって恐れ入るばかりです


野坂昭如のようにカンヅメになっても逃走する作家もいる


五味幸祐氏だけではありません何かと問題の多い作家野坂

昭如氏もまた出版社泣かせのひとです

氏は出版社から締め切り破りの常習犯とマークされていてカ

ンヅメになることが多かったのですがある時新潮社の作

品執筆で旅館にカンヅメされたのです

とはいえこの野坂氏も五味氏同様にカンヅメ状態でも執筆

がまったくできなかったのです

とうとう締め切り日がやってきてあろうことにカンヅメ

の旅館から逃走してしまったのです

出版社の人たちがあちこちと探し回ってやっと見つけたのは

いいのですが原稿はまったく書かれていません

切が過ぎており出版社は困り果てたのですが苦肉の策と

して野坂氏が読者へのお詫びという形で書いた手書きの原

稿用紙を記事の代わりの載せて一件落着としたのです