2024年11月1日金曜日

かけうどん(かけそば)考・食堂で かけうどん(そば)だけ注文するのは恥ずかしいことか

 


東海林さだおの「かけうどん感」

東海林さだおは自著「びんぼー大好き」の中でわざわざ「かけうどん」という章を設け、5ページまるまるかけうどんのことに費やしています。

その内容は以下の通りで、食堂でかけうどんを注文することの肩身の狭さを綴ったものです。


・その食堂のメニューで一番値段が安いので遠慮しがちに注文しないといけない

・客なのに店からぞんざいにあつかわれているような気がする

・OLなど周囲の客にバカにされているような目で見られる

・なるべく早く食べ終え、早く店を出るように心がける


などというように、まるで何か悪いことでもしたかのような、気後れ感100%で注文の品が来るのを待っているのです。

  


問題は注文する場所(店)にある

東海林さだおが食堂でかけうどんを注文して肩身の狭い思いをするのは、それがメニューの豊富な大衆食堂だったからではないでしょうか。

それ故にメニューの中で一番値段が安いかけうどんをたのむことに引け目を感じるのです。

でも店によっては、こうした肩身の狭さをまったく感じないこともあります。一例をあげれば、それは立ち食いうどん(そば)の店です。

言うまでもなく、立ち食いうどんの店は、スピード感をモットーにした回転率で存在感を保っています。

立ち食いうどん店は注文の品物を出すスピードが速く、客の方も食べ終わったら即座に退出するので回転率がすこぶるよく、その分客数が伸びます。

客数が多ければたとえ1人当たりの単価が低くても十分に利益が上がるのです。


かけうどんは「立ち食いそば(うどん)店では大手を振って

それ故にたとえ値段が280円のかけうどん(そば)の注文が多くてもじゅうぶん採算がとれるのです。

したがって店側はかけうどんの注文を嫌がりません。と言うより、他のうどん(そば)類より回転の速いので注文を喜んでいるぐらいです。

かけうどん一杯の原価はせいぜい100円前後でしかありません。と言うことは粗利も200円近くあるのです。粗利がこれだけあって回転率の抜群に速いとあれば、この品物の注文が嫌なわけがありません。

 

メニューが豊富なテーブル席の食堂ではちょっと肩身が狭いか

大衆食堂など一般的な食堂でかけうどん(そば)の注文がそれほど歓迎されない理由はテーブル席にあります。

テーブル席の食堂では、客が何を注文しようが椅子1脚とそのスペースだけテーブルが占拠されます。したがって安い品物の注文で長居されると回転率が下がるので困るのです。

いうまでもなく低価格の店は回転率で勝負しているのです。それゆえに値段の高い(例えば刺身定食など)の注文客だと長居されてもいいのですが、単価の低いかけうどん(そば)の客に長くテーブルを占拠されると困るのです。

したがって忙しい時間帯には、東海林さだおの言うように、この時間帯のかけうどんの客には対応が悪くなるのです。

 

かけうどん(そば)利益率の点からは優等生

上述したようにかけうどん(そば)の利益率は決して低くはありません。材料費が安くすみ、その上スピーディにできるので、出すのも食べ終わるのも速く回転率が良いからです。

とは言えこうしたメリットも立ち食いうどん(そば)でこそ生きるのでであって、メニューの多い食堂などではそうとも言えません。

こうした店でこの注文が喜ばれないのは、メニューにある値段の高い品物の注文が奪われ機会損失が発生するうえに、他の品物の客と同様にイスとテーブルを占拠されるため回転率を下げる恐れがあるからです。


かけうどんが好きなのは立ち食いうどんの店はつゆがうまいから

個人的にはかけうどんが大好きです。それはなんといってもつゆの味が抜群に良いからです。つゆの旨さを生かすのは立ち食いうどんに限ります。

仮に天ぷらうどんやきつねうどんだと、その旨いつゆがてんぷらやあぶらけに吸い取られてしまい、つゆの旨さをじっくり味会うことができないのです。

それゆえに何にも吸い取れれずにつゆを100%味わえるかけうどん(そば)が好きなのです。