「引き出しが多い」を誉め言葉に使う人が多いが
最近のテレビやネットの報道番組で、アナやキャスターなど、出演者が良く使う言葉に「引き出しが多い」や「引出しをたくさん持っている」などがあります。
「引き出しが多い」の引出しとは本来は物を収納するためのタンスの引き出しや、机の引き出しのことを指します。
ところが最近ではそれだけではないのです。前述のようにテレビやネットでは下の例文のようにまったく異なった使い方がされているのです。
意味が分からないわけではありませんが、聞くたびに違和感に似た感じに捕らわれる人は少なくないと思います。
いったいこんな使い方、どういった根拠で誰がいつごろから使い始めたのでしょうか。
「引出し」の本来の意味は
引出し(読み)ヒキダシ
デジタル大辞泉 「引出し」の意味・読み・例文・類語
ひき‐だし【引(き)出し/▽抽き出し】
1 引き出すこと。「預金の―」
2 (「抽斗」とも書く)机・たんすなどに取り付けて、抜き差しができるようにした箱。
3 臨機応変に活用できる、隠れ持った多様な知識や豊かな経験のたとえ。「―が多く、どんな役でもこなせる俳優」
精選版 日本国語大辞典 「引出し」の意味・読み・例文・類語
ひき‐だし【引出・抽出・抽斗】
〘 名詞 〙
① 引いて出すこと。
[初出の実例]「重ね箪笥の引出しの一重足らぬ如くにて」(出典:浄瑠璃・卯月の潤色(1707頃)下)
③ 預金、貯金などを預け先から出すこと。
[初出の実例]「上海引出しの為替手形を〈略〉販売したる時は」(出典:銀行小言(1885)〈富田鉄之助〉下)
今どきの「引出し」の使われ方
(1)
・引出しの多いタンスが好きだ。
・私の机は引き出しが多く、便利で使い勝手がいい所
が気に入っている。
(2)
・彼は知識の引き出しが多いから話がおもしろい
・仕事ができる人は引き出しが多い