書評 「この味もまたいつか恋しくなる」燃え殻 主婦と生活社
「読むと癖になるエッセイ」という出版社のキャッチフレーズはまんざらウソではないようで、気がついてみるとこれが6冊目になる。
わずか4カ月で同じ作家のエッセイ集6冊というのは過去の記憶にはない。「くせになる」のは本当だったのだ。
おまけにこの作品はとてもおもしろい。6冊の中でいちばん優れていると言っても過言ではない。
テレビ局がドラマ化すると食いつくのも無理はない。
あまり本を読まないという燃え殻だが、なぜこんなに上手な文章が書けるのか
それにしても燃え殻は文章がうまい。どの章もなんということもないテーマなのに、読み始めるとぐんぐん引き込まれていく。
いったい何がいいのだろうと考えてみると、それは間違いなく文章のうまさ である。
何事においても人はうまさに引きつけられるものだ。
でも燃え殻が文章がうまいというのはふしぎだ。なぜなら、自らもよく語っているように、この作家は雑誌を除いてあまり本を読まないからだ。
「この世でいちばん本をよく読むのは小説家である」と言われるように。人に読ませる文章を書くために多くの作家は書くこと以前に並外れた量の読書をこなしている。要はインプットあってのアウトプットなのだ。
だが燃え殻は違っていて、このインプットがあまりないというのだ。
だとしたら、何ゆえアウトプットがあるのだろうか。
もしかして彼の文章力は天賦の才能なのだろうか。そうとしか考えようがない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
作品詳細
【TVドラマ化決定!】
人気作家・燃え殻氏初の長編エッセイ集。
ある料理やお酒を口にするとき、ふと思い出してしまう“あの日、あの人”を描く。
コンテンツ(もくじ)
読まれたい日記/浅煎りコーヒー
〈会おうか?〉/アスター麺
「ミャア」/生姜焼き定食
「美味しい」と彼女は言った/シーフードドリア
でたらめなおまじない/ピザトースト
「どうだ? うまいだろう?」/チャーハン
雨、しばらく止まないみたいですよ/ハイボール
きれいに騙して/風俗嬢のお弁当
ちょっと、上がっていかない?/おにぎりと味噌汁
子どもと大人の家出事情/チョコレート
「信用金庫のカレンダーみたい」/冷たい唐揚げ
有名になってどうするの?/チョコモナカジャンボ
フーテンのドゥ/ガパオライス
COLUMN/恋しくなる味 Q&A
Q 落ち込んだ日はなにを食べますか?
Q 定番の朝食は?
Q 特に思い出に残るレストランや食堂は?
Q “最後の晩餐”になにを選ぶ?
Q そば派? うどん派?
Q もう一度食べたい、忘れられない料理は?
「いや、お前は別だよ」/焼肉
全国まーまーな定食屋友の会/生姜焼き定食
「チョコミントみたい」/グラスホッパー
深夜の同志へ/牛丼
やり過ごすしかない時間/キーマカレー
八十三点と七十九点を彷徨う世界/シェフの気まぐれサラダ
「最後まで自分がついてます」/洋菓子『ハーバー』
ロマーリオにドリブルなら勝てる/冷えた焼きそば
あぶない刑事とジョン/ミートソースパスタ
デトックス、デトックス♪/精進料理
「みんなの分はないから、内緒よ」/いちごみるくキャンディ
「青春とは?」「笹塚」/カレーライス
季節のお便りおじさん/鍋
「イタダキマス!」/一風堂のラーメン
大人の約束は時間がかかる/餃子と高級鮨
今日は何日で、あなたはどなたですか? /サッポロ一番塩らーめん
大雑把な暮らしのススメ/卵かけごはん
「海でも行きたかったね」/高い海鮮丼
「コーコー、ひとつ」/パスタ
人生は何度かはやり直せる/味噌ラーメン
彼女は名物になびかない/『東京ばな奈』
母の涙/ミートソースパスタ
「よし、明日は海に行こう!」/金目鯛の煮付け
褒められて伸びるタイプです/鯵の干物
著者情報
燃え殻[モエガラ]
1973(昭和48)年、神奈川県横浜市生まれ。2017(平成29)年、『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー。同作はNetflixで映画化、エッセイ集『すべて忘れてしまうから』はDisney+とテレビ東京でドラマ化され、映像化、舞台化が相次ぐ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出典:紀伊国屋ウェブ