今インターネットではまとめサイトと呼ばれる情報サイトが人気を集めています。
まとめサイトとは特定のテーマについての記事をジャンル別に集めたものですが、知りたい情報を多くの選択肢から効率よく選べるという点が人気を集める理由のようです。
ジャンルとしては、ニュース系まとめサイト、芸能情報まとめサイト、海外の話題まとめサイトなど、挙げればきりがないほど多彩なラインナップになっています。
さて、既にご存知の方は多いかもしれませんが、プロ野球でもおなじみのIT企業、DeNAが運営するインターネットのまとめサイトWELQ(ウエルク)が突然休止になったことがいま巷で話題になっています。
このサイトに載った医療系の記事について、その信憑性に問題があったことが原因です。つまり真実と異なることが記事に書かれていたのです。
ネットの記事は玉石混交で信頼できない、と言われているが
よく「ネット情報は豊富なのは良いが、中身は玉石混交だから、簡単に信用してはダメ」という忠告めいた言葉を耳にすることがありますが、今回のようなことに遭遇すると、「やはりそうだったのか」と、忠告の正しさを認めざるをを得ません。
でもなぜネット情報はそういう風に言われるのでしょうか。
よく、「分からないことがあっても、ネットを検索すると答えが出ていないことはない」などとも言われ、百科事典を凌ぐほど膨大な情報を網羅しているインターネットですが、いったいどこに信憑性が疑われるような穴が潜んでいるのでしょうか。
ネット情報を簡単に信用できない理由はいくつかあるでしょうが、まず第一に挙げられるのは情報を書いているライターの質です。
つまりライターの中にはレベルの低いライターが少なくない、という点です。
でも一たび記事としてサイトに掲載されれば世界中の人の目に届くネットの記事を書く大事な仕事なのに、なぜレベルの低い人がいるのでしょうか。
その答えは、ズバリ、インターネットの商業利用が多過ぎるため競争が激しいことにあります。
まとめサイトが多すぎて質が伴わいものが多い
前述のように、今ネット上にはまとめサイトと名のつくものが数え切れないほどたくさんあります。今回問題になったDeNAのまとめサイトも、その数多くの中の一つです。
そのサイトの記事の内容が事実でないことが問題になったのですが、原因はまとめサイトの競争激化の中で、アクセス数を上げようとするあまり、一度に大量に記事を載せようとするため、質の伴わないクオリティの低い記事まで採用してしまうからです。
でもなぜそんな記事まで載せてしまうのでしょうか。それ以前に、なぜそうした記事が存在するのでしょうか。
その理由は、アクセスを求めるために記事の量を稼ごうとするがために大量のライターを採用するからです。
これについてはぜひ知っておいていただきたいことがあります。
記事作成代行会社の驚くほど多くの登録ライター
今ネットにはライター募集するための多くのサイトがありますが、そうしたサイトによく募集広告を出しているSという大手の記事作成代行会社があります。
その会社の募集広告の中にある会社の紹介文を読んでみますと、なんと、同社には登録しているライターが30万人以上いるというのです。
30万人という数には思わず目を疑いましたが、何度見ても同じです。
言うまでもなく、ライターとはものを書くのが仕事の職業です。プロとしてものを書くのは決して誰にでもできるような易しいことではありません。
それなのに一つの会社に30万人ものライターの登録があるのは、どう考えても理解できません。
一社にこれほどの登録があるのなら、業界全体では想像できないほどの数になると思われるからです。仮に同程度の会社が20社あるとすれば600万人になります。
これだと、成人の10人に1人がライターということになります。そんな馬鹿げた話がある訳がありません。
まあこんな予測はさておいて、こうした記事作成代行会社に見るように、いま素人ライターが乱造されている感があります。粗製乱造という言葉がありますが、まさにその状態です。
それにしでも難しい仕事であるはずのライターなのに、なぜ組成乱造なのでしょうか。
理由はいくつかありますが、まず挙げられるのは、募集する側が、ライターという仕事は難しい仕事ではなく誰にでも簡単にできるというふうに宣伝するからです。
そうするのは、なるべくたくさんの人に応募してもらいたいからです。
大量の記事には大量のライターが必要で、いま募集側が求めているのは、質より量なのです。
にわか仕込みのライターにはクオリティの高い記事は書けない
かくしてライターの数だけは整いました。次は記事執筆の依頼になるのですが、にわか仕込みの素人ライターには高いクオリティのものは要求できません。
ではどんな記事を依頼するかといえば、素人でも比較的簡単に執筆が可能なリライト記事を依頼するのです。
リライト記事はもとになる記事があって、それをテーマは崩さないで、一部文体を変えたり、入れ替えたりして別の文章に作りかえることです。
これだと新しい文章を生み出す苦労がありませんから日本語が理解できる人なら誰にでもできます。
とはいえ、素人ライターの誰もが文才に恵まれているとは思えませんから、いかにリライトとはいえ、ぎこちない仕上がりのものも少なくないはずです。
それだけでなく、言葉の理解不足のため辻褄の合わない文章になることもあるでしょう。
問題が起こるのは、そうした記事をチェック不足のままネットに載せてしまうからです。
なにしろ毎日大量の記事の更新が必要なため、チェックが間に合わないのです。
今回のDeNAの問題も、こうしたことが原因で起きたのです。
問題が大きくなったのは人の生死に関わる医療関係の記事だったからです。
もちろん記事を執筆したライターにも責任はありますが、そんな大事な記事なのに、チェック不足のままネットに載せてしまったサイトの管理者の責任の方が大きいのはいうまでもありません。
ライター募集に際してリライトで釣ってはいけない
今回のDeNAの問題は、力量の乏しいライターを雇って記事を執筆させ、その記事をチェック不足のままサイトに載せたことにあります。
それもニュース系などの普通のまとめサイトならまだしも、高度なテクニカルライティングが必要とする間違いの許されない医療系記事であったのが、さらに問題を大きくしたのです。
医療系記事などのテクニカルライティングには高度な専門知識が必要になりますから、にわか仕込みの素人ライターの手に負えるものではありません。
それを知ってか知らずが、安い報酬で雇った素人ライターに任せたのがそもそもの間違いのもとなのです。
それだけではありません。いかにリライトとはいえ、立派に仕上がったものなら、読者からクレームはつかないと思います。クレームがついたのは記事のクオリティが低かったからです。
なぜ低かったかといえば、募集側がリライトは難しくない、などと煽ってライターを募集したからです。
はっきり言って、リライトは易しいというのは間違いです。良いリライト記事を書くにはもとになる記事を正確に理解しなければいけません。それには深い読解力が必要です。
読解力だけではありません。文章を書き換えるには語彙力が必要になります。つまりボキャブラリーが豊富なことです。それに文章のセンスも必要です。
リライトには最低でも、こうした要素が必要なのであり、易しい仕事であるわけがありません。
募集側がリライトをことさら易しい仕事であるように言うのは、報酬を下げるための口実なのです
。それにまんまとそれに乗った応募者が、安易な気持ちで記事を執筆するので、結果としてクオリティの低い記事ができ、最終的に問題が起きるのです。
こうした安易なライター募集を改めない限り、今後も似たようなことは起こります。
(次回に続く)
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