2020年2月1日土曜日

小説新人賞の応募者にぜひとも伝えたいこと


予選通過率10%の壁をどう突破するか

数ある小説新人賞の中のメジャーと呼ばれる「オール読物新人賞」「小説現代新人賞」「小説すばる新人賞」などを見てみると、第一次予選の通過率はだいたい10%前後のようです。

つまり通過するのは応募総数の1割程度でしかないということです。

これだと応募作品のうち9割もの作品が落選ということになり、一次予選の時点で葬り去られてしまうのです。小説新人賞はこれほど過酷な競争にさらされるほど厳しい世界なのです。


応募者の9割が1次予選で撃沈という厳しい現実を知れ

大事な点なのでもう一度繰り返しますが、メジャーと呼ばれる出版社の小説新人賞では第一関門の一次予選を通過するのは応募総数のわずか10%程度でしかなく、その大半を占める90%の作品は、この時点でシャットアウトされてしまうのです。

作家を目指し新人賞に応募する方々は、この厳しい現実をよく見据えた上で臨むことが必要です。

要はこの厳しさをじゅうぶん認識した上で覚悟を決めた姿勢が大事なのです。

でなければ、第一次予選落選時点で、早晩モチベーションを失って、応募戦線から脱落してしまうこと請け合いです。


応募作品は誰が審査するのか

ひょっとして、あなたは応募した作品の審査は最初から応募案内に載っている一流作家の審査員によ
ってなされる、と思ってはいないでしょうか。

つまり、自分の応募作品が作家の審査員に読まれる、と思っていることです。

でもそれは大間違いです。審査員である作家の先生方に読まれるのは最終予選の勝ち残った数編の最終候補作品だけです。

したがって、この段階までに落ちてしまった作品については、作家の先生方は全く目にすることはありません。

つまり最終審査までは作家の先生抜きに審査されるのです。

ではそれまではいったい誰が審査するのかというと、それは下読みさんと呼ばれる方々によってなされるのです。


下読みさんとは

下読みさんは主として編集者、文芸評論家、ライターなどで構成されますが、この他にも、まだ売れる作品の書けない無名の新人作家なども含まれていることがあります。

作品が売れず収入の少ないこうした人々がアルバイトとして参加するのです。
 
下読みさんは初めから終わりまで作品のすべてを読むわけではない

ではこうした下読みさんたちは、どのように応募作品を審査するのでしょうか。

これについて述べる前に、まず小説新人賞に応募される作品の数がどれくらいあるかを知っておく必要があります。

一言で小説新人賞と言ってもピンからキリまでいろいろあります。

今回テーマにしているのはあくまでメジャーと呼ばれる新人賞です。

上でも上げましたが、オール読物新人賞、小説現代新人賞、小説すばる新人賞は文藝春秋、講談社、集英社という我国を代表するメジャー出版社が主催するものです。

したがって小説新人賞の中で最も格式と人気が高く、それだけに応募数も多く、1回の応募に対して1000件以上あるのが普通です。

したがって応募数に関しては毎回1000~1500件ぐらいあると考えておくといいでしょう。

ということは下読みさんはこれだけ多くの作品に目を通さなければいけないことになります。

もちろん少なくても10~20名ぐらいはいると思いますが、仮に1000件の作品を15名の下読みさんが審査するとすれば、1人あたりの作品は70件弱程度になります。

1人で70件だけではピンときませんが、対象が小説と聞けば、その大変さがよく分かるはずです。

なぜなら、小説とは長いものが普通で文字数(ページ数)は大変な量に及びます。それを1編づつ、初めから終わりまで丁寧に読んでいくことが果たして可能でしょうか。

ズバリ、それは不可能です。では、どのように読んで審査していくのでしょうか。


下読みさんが読むのは、書き出しの部分、中程を少し、それに結末の部分

一人の下読みさんが70編にも及ぶ作品を審査するとすれば、長いものでは数百ページにも及ぶ作品を初めから終わりまで丁寧に読みこなすことは到底不可能です。

でもそれほど丁寧に読まなくても作品の善し悪しは分かるのです。

良い作品を書く作者はたいてい初めの部分に全力投球で臨んでいます。

つまりなんとしても初めの1~2ページで読者を引きつけようと、あの手この手でおもしろく仕立てようと仕組んでいるのです。

したがって下読みのプロと呼ばれる人たちはこの部分を読むだけで作品の善し悪しは分かるのです。

それに加えて、確認の意味で、中程少しと、結末の部分を読めば内容を判断するにはじゅうぶんなのです。


どんな尺度で作品の良し悪しが決められるのか

・書き出しで引き込まれるか
下読みさんが最も力を入れて読むのは作品の書き出しの部分です。最初の1~2ページ、多くて3~4ページ、この部分に読者を引き込む力があるかどうかを見るのです。

なぜなら多くの読者はこの部分をチェックして購入するかどうかを決めるからです。

つまり最初の1~2ページだけ見て、内容が良いか(おもしろいか)どうかを判断して購入か否かを決めるからです。

・オリジナリティはあるか
たとえおもしろいと思っても模倣ではいけません。大事なのはあくまでオリジナリティです。過去に何か似通った内容の作品はなかったかをよくチェックします。

・面白いかどうか
小説の大事なポイントはなんと言ってもおもしろさです。「おもしろくなくては小説ではない」と言い切る作家もいるくらいです。したがって、この点が最重要ポイントとして厳しくチェックされます。


誤字脱字はそれほど気にしなくても良い
原稿には誤字脱字がつきものです。大事な小説新人賞の応募となると応募者の多くの人は、この誤字脱字に大変気を使うでしょう。

つまり、せっかくの力作が誤字脱字が原因で落選したらたまらない。と思うからです。

もちろん誤字脱字はないに越したことはありません。しかし、これについてはそれほど神経を使わなくても構いません。通常のチェックをこなせばそれで十分です。

仮にいくつかの誤字脱字があったとしても、それが審査に決定的なマイナスを与えることはありません。誤字脱字より大事なことは小説としての内容の魅力です。


予選で落ちてもモチベーションを下げないためには発表前に次の応募作品を用意しておく

小説新人賞応募者にとって、せっかく書いた小説が、あえなく一次予選で落選してしまったらその落胆は小さくはないはずです。

なにしろ長い日数をかけて書きあげた大事な作品が一時審査だけであえなく葬り去られてしまうのは実に忍び難いことです。

落胆のあまり、もう新人賞には応募したくないと、すっかりモチベーションを失ってしまうかも知れません。

でもそれでは作家への道は開けません。一度の失敗ぐらいで諦めてしまっては何事も始まりません。

とはいえ、落選のショックでしばらくは新しい作品執筆の手が止まるかも知れません。

それを避けるためには、予選結果の発表前に次の作品を執筆しておくことです。

幸い、応募締切から発表までは、少なくても半年ぐらいはあるはずです。それだけあれば次の作品はじゅうぶん書けます。

落選しても何度でも挑戦するためにはこうした準備が大切なのです。

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