プレイバック記事シリーズ・その4
2020年3月27日金曜日
文章はひねり出して書くもの
作家が締切りに苦しめられるのはなぜか
〆切本という本があります。左右社という出版社から出ている〆切にまつわる作家たちのエピソード
を集めたエッセイ集です。
これには多くの作家たちが〆切にまつわる話を書いていますが、そのほとんどは苦しめられた話です。
そうなのです。〆切とは作家にとって苦しめられるだけのもので、年から年中これと闘い続けているのです。
でもなぜ作家は〆切に追われ、苦しめられているのでしょうか。
その答えは簡単です。引き受けた原稿がなかなか書けないからです。
書くことのプロである作家でさえ、簡単に文章が書けることはないのです。
大抵はいやいやながら、なんとかして作品になるような文章をひねり出そうと、いつも〆切に急かされ悪戦苦闘しながら書いているのです。
作家といえども文章がスラスラ出てくることはない
書くことのプロであるはずの作家がいつも締切りと闘い続けているのは執筆に気が乗らなかったり、アイデアが浮かばなかったりして原稿がなかなか書けないからです。
作家だからといっていつも文章がスラスラ出てくるわけでもないのです。それどころかいつも頭を絞って文章をひねり出していることのほうが多いのです。
出版社から仕事を引き受けたのはいいのですが、なかなか手がつけられずに気がつくといつも締切が迫っている、というのがお決まりのパターンと言っても過言ではないのです。
文章とは苦しみながら書くもの
ある朝、一人の物書きが出版社から頼まれたエッセイを書こうと机の前に座りました。でもすぐ執筆には入りません。タバコを吸ったり、お茶を飲んだりしながら、まずウォーミングアップのあれこれから始めます。
でもタバコは2本、3本と増え、お茶も2杯、3杯とお変わりしていきますが、肝心のペンの方はいつまでたっても握りません。
そうするうちに昼がやってきたのでランチにし、その後眠気が襲ってきたので昼寝をし、気がつくと2時近くになっているではないですか。
いかん、いかんと気を引き締めてやっとの思いでペンを取りました。そしてなんとか最初の1行を書きました。続いて2行目、3行目と進みたいものの、どうしても次の文章が出てきません。
気が向かなくても無理してでも書かなければいけない
作家は書くことの才能があるはずです。でもいつも書いているとネタ切れで書くことが無くなってしまいます。その結果、いつも何を書こうかと、題材探しばかりに時間を費やすようになります。
ああでもない、こうでもない、とあれこれ考えているうちに時間はドンドン経過します。そして何も書けないまま昼が過ぎ、やがて夕方になり、そして気がつけば外が暗くなりかけており、それでも何も書けないことに気がついて愕然とするのです。
ものを書くことが仕事の作家なのに、こんなことが珍しくないのです。
ものを書くことには常に困難さが伴うからです。でも無理をしても書かなければなりません。なぜなら〆切があるからです。
締切りがなければ物書きの仕事は成り立たない
物書きにとって〆切はイヤなものです。いつも苦しめられるばかりで、嬉しいことはなにもないからです。
では〆切がなければどうなのでしょうか。はたして仕事はかどるでしょうか。
答えはノーです。はかどるどころか、いつまでたっても手がつけられず、原稿は一向に進展することはありません。
それを食い止めるのが〆切なのです。締切があるからこそ、物書きはいやいや執筆を始め、苦しみながら無理をして文章をひねり出しているのです。
気がつけばそれなりにまとまった文章が書けている
〆切に迫られて苦しみながら無理をしてひねり出した文章でも、気がつけばなんとか終わりに達しているものです。
でも無理してひねり出したものなので出来が悪いのでは、と心配になります。
恐る恐る読み返してみると、心配には及ばず、なんとかまとまった形になっているではないですか。
そうなのです。文章は無理してひねり出しても、書く人が書けば、それなりの形におさまるものなのです。
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