街へ出たときは必ずといっていいほど公衆トイレを利用する。そこではいろんな人に出会うが、気になるのは出るときである。
コロナ禍にある今、特に気になるのが衛生問題である。衛生と言えばまず上げるべきは手洗いである。
たいていの人はトイレを出る前に洗面所で手を洗うのだが、たまにそこをす通りしてそのまま出てしまう人がいるのだ。
要するにトイレに入ったのに手を洗わずに出てしまうのである。
世に不潔なことは多々あれど、およそトイレのあとで手を洗わないのはその最たるものではないだろうか。
たまに目にするだけとはいえ、いったいそんな不潔極まりない人はどれくらいいるのだろうか。
長時間公衆トイレの中にとどまって、ある作家が調査したのは
文芸作家に遠野遥さんという人がいるが、この方がトイレでおもしろい調査をしてその結果をエッセイに書いている。
タイトルは「手」というもので、光村図書が出版している「ベストエッセイ2021」という本に掲載されている。
遠野さんは日頃から公衆トイレを使った後で手を洗わない人がいるかどうかが気になっていて、その実態を知るために、ある時意を決して実地調査を行ったのだ。
つまり実際に手を洗わないで出る人の数を調べたのだ。
公衆トイレに長い時間とどまって利用者の動向を詳しく調査し、それをエッセイに書いているのだ。
以下はそのエッセイから数の調査について綴った部分の抜粋である。
エッセイ「手」抜粋
調べた記録は携帯電話で取った。それ以外に方法はなかっただろう。なんでもいいが、便宜上、ハンドソープを使って手を洗った者を「あ」、水だけで済ませた者を「か」、全く洗わなかった者を「さ」とした。当初、私は「さ」の存在を想定していなかったから、「さ」は調査を始めてから設けた区分、ということになる。しかし思えば、事前に想定していて然るべきだった。結果は「あ」が16,「か」が28、「さ」が6だった。
出典 :「 手」 ベストエッセイ2021 光村図書
いかがですか。これを読んで数の内訳に関してはっきりわかったでしょう。
・洗剤で洗った⇒16人
・水だけで洗った⇒28人
・洗わずに出た⇒6人
上の結果が示すように、16+28+6だから、利用者の合計は50名になるので、洗わなかった人の数を調べるにはこの数字を6人で割ればいい。
つまり 6÷50=0,12 となる。
これでわかるように、公衆トイレを利用した100人のうち、12人が手を洗わないで出てしまうのである。
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