2022年6月26日日曜日

NHK なんとお粗末な報道なのか

 


フライパンの上にいるような焼けるような暑さだったですね

こんなおかしな表現を修正なしにそのまま流していた



2022 6/25 NHKニュースNHKのインタビューで

埼玉熊谷市男性発言


上にあげたタイトルの文章を読んでほしい

フライパンの上にいるような焼けるような暑さだったですねというものだがこれ本当にインタビューの男性が発言したのだろうか.。

仮にもしそうだったとしてもそのままをインタビュー番組に流してしまっていいのだろうか

いや絶対そんなことはだめだインタビューは突然のことが多いので表現が不適当なものがあるのは珍しくないはずで

そんな場合は担当者が修正し正しい表現で流さなければならないのが当然です

ところがどうでしょう昨日のNHKニュース7ではアナウンサーがインタビューで聞いたまま上のようなおかしな日本語を流しているのである

そもそもいかに暑い日だとはいえ、《フライパンの上にいるような焼けるような暑さなんていうのはない

もしそれがあったのならインタビューの男性は大やけどをおっているはずではないか

なんともバカげた話ではないかこれを天下のNHKがやったのだから驚きの他のなにものでもない


2022 6/25  NHK ニュースより

2022年6月22日水曜日

プーチン氏の藁人形事件が人々の関心を集めたが、作家・車谷長吉は芥川賞を落選させた9人の選考委員を藁人形の呪いにかけた ?

最近ニュースを賑わせたプーチン氏関する事件に見るように藁人形をめぐってはいろいろな興味深くてユニークな話があようだ

なかでもぜひともご紹介しておきたいのは直木賞作家車谷長吉のことである


この作家は赤目四十八瀧心中未遂という作品で直木賞受賞したがそれ以前の作品で芥川賞候補になったことがある


しかしこのときは反対する委員もいて残念ながら落選してしまった


氏はこの選考結果に不満を持ち、それが高じて選考に関わった9人の委員たちに恨みを抱いたのだそしてついには藁人形を使った呪いの行為に移ったのだ


とはいえこれを発表したのが作品上のことで私小説は虚実取りぜてストーリーを展開させることを良しとしている氏のことゆえ書かれたことの信ぴょう性は明らかではなく


ひょっとして審査員全員の名前をを上げることでフォーカスをぼかしてまるで笑い話のように面白おかしく書こうとしたのかもしれない


なにはともあれ以下で短編集に載せられたその作品をご紹介することにしよう

 

       車谷長吉作より

 

夕方また歩いて帰って来ると私は道灌山下の金物屋で五寸釘を九本求めた夜になった私は二階で白紙を鋏で切り抜いて九枚の人形を作ったその人形にそれぞれ日野啓三河野多恵子黒江千治三浦哲郎大江健三郎丸谷才一大庭みな子古井由吉田久保英夫と九人の選考委員の名前を書いた描き了えると嫁はんが寝静まるのを待った

私は金槌と五寸釘と人形を持って深夜の道を歩いていた旧駒込村の鎮守の森・天祖神社へ丑の刻参りに行くのである私は私の執念で九人の選考委員を呪い殺してやる積りだった人を呪わば穴二つと言うが併したとえ自分が呪い殺されることになろうともどうあってもそうしないではいられない呪詛がふつふつと滾っていた水のないプルの底の私の屍体がそれを狂的に渇望した

天祖神社は鬱蒼とした樫や公孫樹いちょうの奥に静まっていたあたりは深い闇である私は公孫樹の巨木に人形を当てるとその心臓に五寸釘を突き立て金槌で打ち込んだ金槌が釘の頭を打つ音が深夜の森に木霊こだました一枚終わるとまた次と、「死ねッ」「天誅ッ。」と心に念じながら打ち込んで行った打ち終わると全身にじっとり冷たい汗をかいていた全身に憎悪の血が逆流した

 

         車谷長吉 「より抜粋 中公文庫漂流物・武蔵丸

2022年6月18日土曜日

どうか刑を軽くしてあげて! 「プーチン氏の藁人形」 この事件の犯人にはシンパシーがわく

 

世の中では日いろいろな事件が起こるがその事件の張本人である犯人に対してなぜか憎しみがわかない場合がある

罪を憎んで人を憎まずという言葉もあるがそれどころか、「よくやったと拍手喝采したいような気持ちさえわいてくるのだ

それはまるであの「藤田まこと」演じる時代劇ドラマ必殺仕置き人を観たあとのようなスカッとした気分と同じなのだ

今回のプーチン氏の藁人形をご神木に打ちつけ事件まさにそれで犯人に対しては憎しみどころか親しみがわき、シンパシーを感じて仕方がないのだ

これは私だけではなくおそらくこの報道に接した多くの読者が、「どうか刑をを軽くしてあげてと願っているに違いない

 

プーチン氏の藁人形をご神木に打ちつけ 男逮捕 千葉・松戸市

テレ朝ニュース 6/15() 19:35配信


 千葉県松戸市にある神社でご神木に釘を打ち付けて穴を開けたなどとして72歳の男が逮捕されました


男はわら人形にロシアのプーチン大統領の顔写真を付けていました。  


松戸市の無職・日野充信容疑者は先月19松戸市三ケ月の神社に侵入しご神木にわら人形を釘で打ち付けて穴を開けた疑いが持たれています。  


警察によりますと神社の関係者がプーチンの顔写真が貼られたわら人形が付けられていると交番に通報があり周辺の防犯カメラの捜査から日野容疑者が浮上したということです。 


警察の取り調べに対して日野容疑者は黙秘しているということです。  


また周辺の神社では同様の相談が10件以上相次いでいることなどから警察は動機とともに余罪があるとみて捜査しています

2022年6月15日水曜日

いま姫路市でベトナムフードの店が活況を呈している

以前にもこのブログに書いたことがあるが、わが町姫路市はベトナム人在住者が多く住んでいる。その歴史は長く、1970年代のベトナム戦争でうまれたボートピープルに端を発する。その時期に日本にたどり着いたベトナム人は1万数千人だが、そのうち3000人近くもが姫路市に居を構えたのだ。 


姫路のベトナム人には甲子園で活躍した元高校球児も 

姫路市の東洋大姫路高校といえばプロ野球選手も多く排出している高校野球の名門だ。この高校にかつてアンという名の投手がいたが、彼こそ姫路に住むベトナム人の一人なのである。高校野球のシーズンになると、よくこの人のことが話題に上がるが、今春はセンバツ高校野球に東洋大姫路高校が出場したのでテレビなどで彼のことが度々取り上げられていた。 


最近だけでも4店もベトナムフードの店がオープン

姫路市のベトナム人定住の歴史は古いが、これまでは経済活動においてはそれほど目立つことはなかった。たが最初のボートピープルから50年近くたった今になって何故かその存在が目立つようになった。その顕著な例が、最近次々にオープンしているベトナム料理や食品を扱う店舗だ。この1~2年だけを見ても 

i-NGON Himeji アイゴン姫路

HANOI RESTAURANT 姫路駅前店 

ベトナムサンドウィッチ専門店 Amily

ベトナム物産店 「アミリ

 

上のように、なんと4軒もの新しい店がオープンしているのだ。

ここでその4店舗をご紹介することにしよう。 

 

i-NGON Himeji  アイゴン姫路

本格的なベトナム料理が味わえます 食べやすいフォーや生春巻きな

 


本格的なベトナム料理が味わえます
食べやすいフォーや生春巻きなどから マムトム(海老醤)をつけて食べるロンゾイ(腸詰め)や豚モツ 孵化しかけの卵、発酵した豚肉のティットチュアなど、癖の強いものもあります 姫路でここまで本格的なベトナム料理が食べれる お店はここだけだと思います お客さんもほとんどがベトナムの方で外国にいるような雰囲気が味わえます 

 

HANOI RESTAURANT 姫路駅前店 

5月13日OPEN】本格的なベトナム料理を堪能



5月13日にオープンした【HANOI RESTAURANT 姫路駅前店】。本格的なベトナム料理が堪能いただけます。料理だけでなく、衣食住、文化、風習、首都の雰囲気など、まるで現地のベトナムにいるような時間を提供させていただきます。

 

 

姫路グランフェスタ3番街にベトナムサンドウィッチ専門店

グランフェスタ3番街に、ベトナムサンドウィッチ専門店「Amily」が 2022の4月にオープンしました 

 


ベトナム物産店アミリ
(Amily)がキャスパ1Fにオープン


ベトナム物産店 アミリ
(Amily)がキャスパ1FのHOUSE DO 姫路駅前店跡にオープンしています.店舗のシャッターや窓に、

★ベトナム物産店

★ベトナム食材・食品・雑貨・飲料と掲示されていました。
片側のシャッターが閉まったままだったのでお店の方にうかがったところ、準備を進めながら並行して営業もおこなっている、ということです
アジア料理が好きな方には、なかなか手に入りにくい調味料などが見つかるかもしれません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年6月11日土曜日

小説にも書いた これが我が身に迫ったクライシスだ(シリーズ1~6)その3

 


(その3)
小説・ナイトボーイの愉楽               

                

2人でベットにいた深夜 ドンドンとドアを叩く激しい音とともに「おい、いるんだろう、開けろよ」という男のだみ声が暗闇に響いた    

             

 ・・・・・・・・・・・・・ 


道夫とマッサージ師11番さん (とある夜の話)


「もう起きてたの。ねえ今何時ごろ?」

 「ええっと、九時二十五分です」 「あら、もう九時過ぎてるの。よく寝たわ。ああ気持ちよかった。あなたいつ起きたの?」 「ほんのすこし前です。ちょうど今、寝覚めの煙草をすおうとしたところです」 「九時半か、そろそろ起きなくちゃ。ねえ朝ごはん食べるでしょう」

「はいできたら、少しおなかへったみたいだし」 道夫はやや遠慮がちに答えた。

 「よしと、じゃあ起きて支度するわ」 彼女はそう言いながら、ゆっくりと体を回転させ、うつ伏せになり枕の上にあごを乗せた。 

 「でもそんなに急がなくてもいいですよ。僕、今日は学校休みました、夜の仕事までたっぷり時間ありますから」 「あらそうなの。じゃあ私もっと寝ようかしら」 

 「えっ、まだ寝るんですか?」 「じょうだんよ。睡眠はもうじゅうぶん足りたわ。でも何かまだベッドを抜け出したくない気持ち」 そう言った彼女は道夫の方をふり向き、なんとなく意味ありげな流し目をおくっていた。すっかり化粧を落としたすべすべしたほっぺたが微かに光っており、目尻のしわもいつもより鮮明に見えて、この顔もまたいいもんだ。と、うっとりして眺めていた。 それよりさっき彼女が言った「まだベッド抜け出したくない気持ち」というセリフが妙に気になって、また下半身にただならぬけはいを感じていた。 これをどう処理しようかと考えながら、また横向きになって彼女の顔をじっと見た。 それにつられて十一番さんも視線を合わせてきた。

 道夫はそっと肩に手をかけると彼女をぐっと手元に引き寄せ、顔を重ねてキスしようとしたちょうどその時だった。 辺りの静寂を一気に破るように、入り口のドアがドン、ドンと激しくノックされたのは。 その音に驚いて、道夫は引き寄せた彼女の体から手を離した。 「誰か来たようですよ」 それには答えず、十一番さんは人差指を縦にして口にあて、て、「シー」と、息で言った。

 またさっきより激しくドアがノックされた。

 十一番さんはそれでも立とうとせず、前より少し表情を曇らせると、掛け布団を大きく持ち上げ、道夫をその中にもぐらせると自分も体を縮めて中に入ってきた。

 「ねえ返事をしちゃだめよ。ぜったいに」 急にそう言われて、何がなんだかよくわからなかったが、少し怖いような気もしてきて、言われるまま黙って息を殺していた。

 それから激しいノックは数回続いて、なん回めかのその後には、男のだみ声が響いた。

  「おい、いるんだろう。開けろよ。開けないとドアを破って入るぞ」 

 その声を聞いて、道夫はさっきよりもっと恐ろしくなってきた。 十一番さんはそれでも黙って声を殺しており、ただ一言も発しなかった。

 

 十分くらいたったであろうか。 やっと激しいノックの音も、男のだみ声も聞こえなくなった。 でも十一番さんは 「まだよ」と囁くようと言いながら、掛け布団はまだはがそうとしなかった。

 二人がはいた熱い息が中にこもり、暑苦しくなって息がつまりそうな気がした。  

 「もういいわ」 彼女がやっとそう言って、掛け布団をはがしたのはそれからさらに十五分ほどもたってからだった。

 ようやく息苦しさから開放された道夫に十一番さんが「まだ声は出さないように」と、そっと耳打ちした。 それからもう五分ぐらいたって、やっと彼女はベッドを抜け出し、忍び足でドアの方へ歩いていった。 ドアスコープを覗いて、辺りを入念に観察した後、やっと声を出して言った。

 「もうだいじょうぶ。どうやら行ったみたいだわ」 

でも、この出来事に対して彼女が言ったことはたったそれだけで、昼前に道夫と別れるまで、何故だか、その後一言も触れなかった。

 道夫としては、突然のその異様な出来事に対して、たずねてみたい気持ちはじゅうぶんあったが、でもあえて質問はしなかった。

 ふとんにもぐらされた時、道夫は考えていた。  

 ひょっとして外の人、彼女の情夫かも。もしそうだとすれば、この場面を目撃されるとただではすまないだろう。殺されるか、いや殺されはしまい。たぶんうんと殴られるだろう。

 それともお金をゆすられるだろうか? そんなふうに考えていて、二度目のだみ声が響いたときには体が小刻みに震えるのがわかった。

 

 小説「ナイトボーイの愉楽」より、危機の部分抜粋

 

2022年6月6日月曜日

bloggerブログ スマホで入稿してみた


 パソコンが壊れたときの危機管理に

最近パソコン2台の内1台が壊れて使えなくなりました。もう10年以上使ってきたものなので、仕方ないと諦めました。残りのもう1台がありますが、これもWindows10搭載の年代物なのでいつ]壊れても不思議ではありません。

新しいものを購入することも考えていますが、スマホもあることだし、今のところは現状維持でがまんしています。

ということで、万一パソコンが使えなくなったときのことを考えて、パソコンでのブログの入稿をスマホで行うための訓練をしてみることにしました。

それには実際にやってみることが一番とこのブログ作成に取りかかったわけです。

ブログ作成で最も手間がかかるのは記事のタイピングです。

パソコンだと慣れていることもあってキーボードでのタイピングはそれほで手間はかかりません。

でもスマホの文字入力は大変です。

おそらく所要時間はパソコンの3倍ぐらいかかるのではないでしょうか。

それゆえに大きな時間ロスが出ます。

それを解消するにはスマホもパソコンと同じようにキーボードのタイピングで入力することです。

そう考えてスマホ用のブルーツースのキーボードを購入しました。

はじめての使用なので慣れるのに少し時間がかかりましたが、なんとか使えるようになり、早速このブログ作成に取りかかったわけです。

実際にやってみると、思っていたほど難しくなく、比較的スムーズに進み一安心です。

これだと今後はパソコンだけに頼らず、スマホでもブログ入稿ができそうです。


2022年6月4日土曜日

国税局職員も落ちたものだ  コロナ給付金詐欺の男とホスト狂いで風俗に転落した女

昔から公務員はお硬いというイメージがある。お硬いとは真面目で生活ぶりが堅実で間違ってもお金の絡む犯罪とは無縁の存在というものだ。

ところがどうだろう。最近そんなお堅いイメージの国税職員が、国のコロナ給付金でまさかの大規模詐欺事件の主犯として逮捕されたのだ。

それだけではない、男性職員に負けじと今度は女性職員がホストにはまってしまい、貢ぐお金を調達するため、事もあろうにトルコ従業員に落ちてしまった、という信じられないような事実が判明したのだ。

以下はそれら2件について報道する記事である。 

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まさかの国税局職員 事件相次ぐ 

国税職員、税理士が若者に示した「抜け穴」   

朝日新聞オンライン 大山稜2022年6月2日 分

 

 持続化給付金を詐取したとして、警視庁が2日、東京国税局職員を詐欺容疑で逮捕したと発表した。制度開始当初からの懸念が的中するように給付金の不正受給の発覚が相次いでいる。

 警察庁によると、全国の警察が4月までに摘発した持続化給付金の詐欺事件は3214件で、その総額は約31億8400万円だった。また、中小企業庁によると約1万5千件、約166億円が自主返還されている。こうした不正受給の中には、国税職員や税理士らが関わったものも少なくない。

 持続化給付金は、新型コロナの影響で減収した中小法人や個人事業者を支援する目的で2020年5月に申請の受け付けが始まった。給付までの手続きを簡素化するため、申請に必要な書類として選ばれたのが「確定申告書の控え」だ。

 ただ、実態のない申告内容でも控えを手に入れることができたのが、この制度の「抜け穴」だった。

 

税務署の女性職員、ソープランドなど3店舗で兼業…収入125万円「ホストクラブ代に」

2022/02/01 08:44  読売新聞

 東京国税局は、ソープランドなどで働き、国家公務員法の兼業禁止規定に違反したとして、東京都内の税務署に勤務する女性職員(27)を停職9か月の懲戒処分としたと発表した。女性職員は依願退職した。いずれも1月28日付 東京国税局

 発表によると、女性職員は2020年10月~今年1月、平日の夜間や病気休暇を利用して都内のソープランドなど3店舗で計150日間働き、計約125万円の収入を得ていた。昨年10月、同僚職員からの情報提供で兼業が発覚。その後に行われた聞き取り調査後も兼業を続けていたという。調査に対し、女性職員は「ホストクラブでの飲食代を捻出するためだった」などと話しているという。

 また、同国税局は、派遣会社でアルバイトをした神奈川県内の税務署に勤務する男性職員(24)についても、1月28日付で停職1か月の懲戒処分とした。男性職員は同日付で依願退職した。

 

 

 

2022年6月3日金曜日

車谷長吉、この作家の私小説は面白い

もうずっと前から私小説対象の最高の文学賞は芥川賞と決まっている。でも例外があった。それが今回のテーマである私小説作家・車谷長吉の作品である。

小説の名前は「赤目四十八瀧心中未遂」という。主人公が「私」の一人称小説だから、大方の人は私小説だと思うだろう。でもこの作品、たいていの私小説作家が受賞する芥川賞ではなく、主としてエンターテインメント作品が対象の直木賞を受賞しているのだ。

常識を破ることだから「なぜだろう?」と、首をひねる人は多いはずだ。

 


「赤目四十八瀧心中未遂」は私小説のようで私小説ではない?

一般的に私小説は作者が経験したことを事実を本に書かれていることが多い。でもこの「赤目四十八瀧心中未遂」について、作者・車谷の妻である詩人高橋順子(注1)は著書「夫車・谷長吉」(注2)につぎのように書いている。

 

長吉が夏休みが取れたというので、私は「どこかへ連れて行ってください」と頼んだ。「どこへ」と聞かれたので「恐山」と答えた。

後に長吉の代表作となった『赤目四十八瀧心中未遂』にこんな場面がある

「生島さん。うちを連れて逃げて。」

「えッ」

アヤちゃんは下唇を噛んで、私をみていた。

「どこへ。」

「この世の外へ。」

二人はそれから赤目四十八瀧へ心中未遂行に出発するのだが、私が「恐山」恐山と言ったことがこの場面を呼んで来たようにも思える。アヤちゃんはと私に当然ながら共通項七区、アヤちゃんは想像の女で、女優の松坂慶子をイメージしたと長吉は言っていたが、関西で料理場の下働きをいていた八年の間に、あるいは逢ったことのある女性がモデルかもしれない。長吉の小説のヒロインの中でいちばんいい女がアヤちゃんであろう。この小説は私小説ではなく、九十パーセント作り物だと言っていたが書き終えるまでにはあと四年かかることになる。

         出典:「夫・車谷長吉」 文春文庫 65~66ページ

 

(注1)高橋順子

千葉県飯岡町(現旭市)生まれ[1]千葉県立匝瑳高等学校卒業[1]東京大学文学部フランス文学科卒業[1]青土社などの出版社に勤務[2]1998~2004年、法政大学日本文学科非常勤講師[2]

1993年10月、作家車谷長吉と結婚[3]2005年、車谷、新藤凉子と世界一周の船旅をする。2008年2~5月、車谷と四国八十八ヶ所を巡礼する。ウィキペディア

 

(注2)夫・車谷長吉

【講談社エッセイ賞(第34回)】この世のみちづれとなって−。11通の絵手紙をもらったのが最初だった。直木賞受賞、強迫神経症、お遍路、不意の死別。異色の私小説作家・車谷長吉...

 

車谷長吉が芥川賞ではなく直木賞になった3つの理由とは

赤目四十八滝心中未遂は最初文藝春秋の文学界に連載されました。おおかたの人が知っているように文学界に掲載されるは純文学分野の小説が主体です。純文学には私小説が多いので、この小説も一般的には私小説と考えられてきました。純文学系の私小説が対象になる賞は芥川賞です。でもこの作品はその芥川賞ではなく、大衆小説部門の直木賞を受賞しています。これについては大抵の人が「なぜだろう?」と思います。そうなったのには理由があるはずですが、それはどんなものなのでしょうか。考えられるのは次の3点です。

 

・芥川賞には枚数が多すぎる(文學界編集者談)

・小説としてのストーリーが比較的はっきりしていて、エンターテイメント性も強く大衆小説の要素が豊富

・講談社エッセイ賞を受賞した作品「夫・車谷長吉」で、著者高橋順子氏が語るように、この小説に書かれていることで、作者が実際に体験したことは少なく、全体の90%が創作である。 

 

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「赤目四十八瀧心中未遂」とは

 

内容説明

「私」はアパートの一室でモツを串に刺し続けた。向いの部屋に住む女の背中一面には、迦陵頻伽の刺青があった。ある日、女は私の部屋の戸を開けた。「うちを連れて逃げてッ」―。圧倒的な小説作りの巧みさと見事な文章で、底辺に住む人々の情念を描き切る。直木賞受賞で文壇を騒然とさせた話題作。

著者等紹介

車谷長吉[クルマタニチョウキツ]
昭和20(1945)年7月、兵庫県飾磨市(現・姫路市)に生れる。昭和43年春、慶応義塾大学独文科卒。広告代理店などに勤務しながら小説を書く。その後、東京を離れ、関西で下足番、料理人となって働く。平成4年に出版された初めての作品集「鹽壺の匙」(新潮社)で芸術選奨文部大臣新人賞、三島由紀夫賞を受賞。平成10年、「赤目四十八滝心中未遂」で第119回直木賞を受賞。その他、小説集に「漂流物」「白痴群」(ともに新潮社)、「金輪際」(文芸春秋)、随筆集に「業柱抱き」(新潮社)がある
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

 

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

 

鉄之助

325

車谷ワールド初体験! 大満足だった。長吉を「ちょうきつ」と読む名前からして、独特の世界。働き奴(はたらきど)、迦陵頻伽(かりょうびんが)、蛇(くちなわ)、併し(しかし)、大物(だいもつ)、これまであまり目にしたことのない文字の読み方に、浸りながら読んだ。匂いと湿度感が癖になりそう。2022/01/29

 

おしゃべりメガネ

187

直木賞受賞作品で本作が初読みの車谷さん作品です。特に大きな盛り上がりはないと思いますが、さすがは直木賞作品とも言うべき'深み'を感じる描写でした。まともな仕事もない脱サラの「生島」は住んでるアパートで、ひたすらモツ肉の串を刺し続けてます。そんなアパートには色々とワケありな住人達がそれぞれ住んでおり、中でも不思議な雰囲気の美女「アヤ」に、どんどん惹かれていきます。そんな「生島」と「アヤ」の危ういやりとりが、とても芸術的に綴られ、魅了されます。決して明るい話とは言い難い作品ですが、さすが直木賞と納得できます。2019/02/02

 

hiro

155

車谷さんが亡くなったという新聞記事を読んで、2年以上積読本となっていた直木賞受賞作のこの本を読んでみた。昭和53年の尼ヶ崎(尼)を舞台にした私小説。性的な描写を含め、最近は使われない古風言葉、漢字、言い回しと関西弁、そしてアパートでモツを串に刺している、中流の生活を嫌う主人公や‘この町の底に棲息する’登場人物たちのすべてに今の時代とのギャップを感じ、昭和53年よりもさらに古い昭和の時代を感じた。そして私小説のためだろうか、今まで読んだ直木賞受賞作にはなかった読書感だったが、決して嫌な読書感ではなかった。2015/05/27

 

出典:紀伊國屋書店