2023年1月15日日曜日

これは珍しい!作品が〆切に間に合わず読者へのお詫びに書いた作家・野坂昭如の手書きの原稿

 

この原稿には親しみがわく 上手くはないがユニークで男性的な文字

下の写真の原稿のタイトルが読者へとなっているのが何故かというと、〆切直前に失踪してしまい原稿提出をすっぽかした作家・野坂昭如氏が

作品が間に合わなかったお詫びにと、読者に対して書いたものであり、これは小説新潮に載せられたそんな珍しい原稿なのだ

パソコンとワープロの普及ですっかり姿を消ししてしまった手書き原稿だが普通の人ならまだしもそれが有名作家のものとなるとその価値は絶大だ

ましてや400字詰め原稿用紙に書かれたものとなればまさに垂涎もの

 







野坂昭如とはこんな人


火垂るの墓アメリカひじきなどの小説、「四畳半襖の下張裁判やヒット曲黒の舟唄などで知られる作家野坂昭如小説家批評家そして歌手政治家などな顔を持つがその人生を貫く軸となったのは少年時代に体験した戦争だった。「焼け跡闇市派を名乗り常に戦争反対の立場から活動を続けた


野坂昭如は昭和5年生まれ。14歳の時神戸の空襲で父を亡くし幼い妹を連れて子どもだけで福井県に避難したしかし妹は栄養失調のために間もなく亡くなってしまうこの時の体験をもとに生まれたのがアニメ映画にもなった直木賞受賞作火垂るの墓である

自分が食べる分をもっと減らし妹に分けることが出来なかったのか消すことのできない罪の意識を背負った野坂は戦争体験から目を背けることなく正面から向き合い作品を生み続けた。「戦争童話集」「一九四五・夏・神戸」「『終戦日記を読むなど。「自分は戦争体験を伝える最後の世代と位置づけ平和に向けた情念は衰えることはなかった激動の戦後史を反戦平和を原点として生き抜いた人生だった

出典:NHK人物録 NHK

手書き原稿出典:〆切本2(左右社

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