あの森村誠一がうつ病と認知症に
かつてベストセラー作品を何冊も出した作家の森村誠一氏の話です。
氏は最近「老いの正体」(写真下)というエッセイ集の本を出したのですが、これはそれを読んで知ったことです。
氏は現在90歳の一つ手前の89歳です。この歳になっても書きおろしのエッセイ集を出すのですから見上げた作家魂ではありませんか。
エッセイの中で氏はうつ病にかかり、それがどうにか回復すると、その次には認知症にかかったことを正直に語っています。
この病気のせいで物忘れが激しくなって、一時は言葉という言葉をほとんど忘れてしまい作家としての執筆活動に対して絶望を感じたそうです。
その後奥さんの手助けや、かかりつけ医師の治療のおかげで徐々に回復し、何とか執筆を再開することができるようになったのです。
そして以前から関わりのある出版社の編集者の力も借り、音声の書きおこしなどもまじえてこの本を出版することができたのだ、と語っています。
この本を読む限りではおかしな個所など少しもなく、認知症の人でもこれだけのものが書けるとは驚くばかりです。
とはいえ、決して普通の人にできることではなく、これまで多くの作品を世に出してきた文章の達人である作家ゆえのことであるに違いありません。
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作家 五木寛之が語る先輩 石坂洋二郎のこと
作家の五木寛之氏は今90歳ですが自身が高齢になったので知人の認知症のことが気になるかもしれませんが、これをテーマにした氏のエッセイをよく読みます。なかでも先輩作家石坂洋二郎氏のことを書いたどれも同じような内容のものを度々目にしました。
それは高齢で認知症にかかった石坂氏が五木氏の名前を間違うことが多いという話です。
どのように間違うかというと、歌手の「五木ひろし」とよく混同するのです。
五木氏がエッセイに書いた話では、例えば石坂氏が人と話するときに「先日五木ひろし君に会ったよ」とか「五木ひろし君が言うにはねえ」などというふうに話すのです。
五木氏としては、失礼ながら石坂氏が歌手の五木ひろし氏と交友があるとは思えませんから、親しくしていて会うことが多い自分のことを指して言っていることがすぐわかるのです。
でも五木氏はこうした話を決して皮肉や嫌味で書いているのではなく、自分よりうんと高齢(存命時)で、認知症にかかっている石坂氏の近況を伝えるためにユーモアを交えてほほえましく書こうとしているのではないかと思います。
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