書評「ホス狂い」宇都宮直子 小学館
なぜホストクラブは存在するのか、なぜ歌舞伎町に何千人ものホストがあつまるのか なぜそこで女たちは大金を使うのか。
門外漢のものには、この理由はさっぱりわからない。
だがこの本を読むと、都会という場所に宿る邪悪な一面が見えてくる。
(内容説明)
緊急事態宣言中でも県をまたいで週5で歌舞伎町に通い詰める人妻、「好きで好きで仕方なかった」という動機でホストを刺した女、虐待といじめを受け、地元から逃げ出して歌舞伎町の女性が集まるシェアハウスに居場所を作った少女、圧倒的な美貌と財力を武器に人気ホストの“彼女”の座を手にした女王。
自ら“ホス狂い”と名乗り、お金も時間も労力も体も、人生のすべてを賭けてホストクラブに通う女性たちは何を得ようとしたのか。
日本一の歓楽街に入り込み、見つめ続けた歌舞伎町ノンフィクション。
(目次)
第1章 歌舞伎町ホスト刺殺未遂事件(「刺されたホスト」琉月さんの復帰;「あのコにも僕を刺す理由があった」 ほか)
第2章 「人妻ホス狂い」いちごチェリーさん(クラスター発生 コロナ禍の歌舞伎町;歌舞伎町のコロナ対策 ほか)
第3章 「“ホス狂い”ユーチューバー」あおいちゃん(ゴミ屋敷・虐待・いじめ・家出―凄絶な半生;「鈴木葵」が「“ホス狂い”あおいちゃん」になるまで ほか)
第4章 「好きな人がたまたまホストだっただけ」ねねさん(「ホス狂い」ではなく「担当狂い」;絶対的エースになって彼の恩に報いたい ほか)
第5章 「歌舞伎町の女王」エミカさん(「マッチングアプリ」としての歌舞伎町;女王様の「3回ルール」 ほか)
(著者等紹介)
宇都宮直子[ウツノミヤナオコ]
1977年千葉県生まれ。多摩美術大学美術学部卒業後、出版社勤務などを経て、フリーランス記者に。「女性セブン」「週刊ポスト」などで事件や芸能スクープを中心に取材を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
(感想・レビュー)
ゆいまある
110
歌舞伎町のホストに嵌まる女性達のノンフィクション。いつも指名するホストは担当と呼ばれ、その太い客は一緒に暮らすこともあるという。
金が介在する疑似恋愛なのだが、自己肯定感の低い女性は風俗で働いてまでホストに使う金を増やすことで、「頑張り」を認められるシステムに取り込まれる。
惚れた相手ならホスト辞めてもらえばいいじゃないかと思うが、間に金があるから、関係が拗れても、それは自分のせいではなく金が足りないからだと思えて傷つかずに済むのだろう。余りにも…重くて暗くて。こんな世界もあるのか。2022/10/30
kinkin
101
新宿歌舞伎町のホストクラブで大金を使う女性4名の身辺とインタビューで構成されている。
ホストクラブなど男だから当然行ったことが無いが、高価なシャンパンをホストたちが 一気飲みすることは知っていた。
1本数万から数十万のシャンパンっていったいどんな味が するのだろう?と考えながら読んでいた。個人的にはそれほどインパクトのある 本ではなかった。
著者の文章の癖ながあってこのあたりは週刊誌の記者らしいせいか。図書館本2022/12/04
ma-bo
72
歌舞伎町のホストに嵌まる「ホス狂い」の女性達のノンフィクション。刺殺未遂を起こした女性、週5で通いつめる人妻、ホス狂いユーチューバー、美貌や財力で人気ホストの彼女の座に登り詰めた女王。
縁のない自分にとっては共感し難い感覚だけど、知らない世界を覗かせて貰えた本でした。それにしてもNo.1にするためだとか、誰よりも高額なシャンパンタワーだとか結局は金銭が評価軸になるのはつらいな。2023/02/10
GAKU
49
ホストクラブにはまった若い女性達も、ホストになった男性達も多くは育った家庭環境に問題があるように感じた。
ホス狂いの女性とホストとの関係の愛情表現は、唯一”お金”。わかり易いと言えばわかり易い。
そして若い娘が一晩に数百万円以上もホストに貢ごうとしたら、当然風俗に身を沈めるしかないというのも納得。私達一般人には到底理解できない世界が描かれていた。
キャバクラ嬢や、風俗嬢にのめり込んだ男性達より、ホストにのめり込んでしまった女性達の方が地獄か......。2022/11/10
たまきら
38
ホストかあ…昔、かくれオネエな先輩が自分の行きつけに連れて行ってくれましたが、なんでこんな人たちにお金を払わなきゃいけないかちっともわからないままでした。
そしてこの本を読んでもわからないままでした。大体著者が何を言いたいのかがわからない。彼女たちはホストに「投資」しているのか、「貢いで」いるのかそこも自分にはよくわかりません。
ただ、きちんと自分を分析できる女性たちのインタビューは読みごたえがありました。2023/05/08]
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