ないものねだるな 阿川佐和子
先月の「アガワ随筆傑作選」文藝春秋 に続いて読んだ中央公論新社から出た阿川佐和子のエッセイ集である。
中央公論新社といえば女性向け総合雑誌「婦人公論」の出版社だけに女性作家のエッセイ集を多く出版しているが、この作品も同誌に連載されたものである。
作家のエッセイ集は多いが、シリーズものとなると、往々にして作品のクオリティは必ずしも安定せず、中にはこれがi一流作家のエッセイかと、読者を嘆かせる低品質なものも混じっていることがある。
しかしこの作家に限ってはそのようなことはなく、どれを読んでも「ウーン、さすが阿川佐和子」と、こちらをうならせる優れた作品ぞろいなのだ。
これは「読者を退屈させてはいけない」という、阿川佐和子のプロ根性の賜物に違いない。
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ないものねだるな 阿川佐和子 中央公論新社
出版社内容情報
コロナ禍で激変した生活、母亡き後の実家の片づけ、忍び寄る老化現象…なんのこれしき!奮闘の日々。読むと気持ちが楽になる、アガワ流「あるもので乗り越える」人生のコツ。『婦人公論』人気連載エッセイ、待望の第3弾。
出典:紀伊国屋書店
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センス・オブ・シェイム 恥の感覚 酒井順子
前回「男尊女卑」という作品の書評には、「まるで社会学者のような鋭さ」と絶賛のコメントを書いたが今回も同様で、読んでいていたく感心するばかりであった。
おさめられた作品は上のアガワ作品同様に雑誌に連載されたものだが、こちらの方はどちらかといえば男性読者が多い文藝春秋の「オール読物」である。
センス・オブ・シェイムというタイトルがついている通り、この作品はテーマが「恥のかきかた」で一貫している。
人間だれしも恥をかくものだが、その「かきかた」に対する考察が社会学者顔負けの鋭さで、読者をうならせるばかりだ。
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センス・オブ・シェイム 恥の感覚 酒井順子 文藝春秋
内容説明
世間様に、どう見られているか。ネット社会に、何をさらすか。日本人の恥の感覚は、SNS時代到来によって激変した!フェイスブックでの自慢バブルを斬った「中年とSNS」がネットで大反響!!共感の嵐を呼び起こす傑作エッセイ集。
出典:紀伊国屋書店
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