(Part4)
情報があふれかえっているネット時代の今は、たとえ本好きな人と言えコンスタントに読書を続けることはそれほど簡単なことではない。
その証拠に〈趣味読書〉という人でも、何らかの理由でしばらく本から遠ざかることがある。
その期間も決して短くはなく、一か月、二か月と続くことさえある。
そんなとき再び本に近づくためにはきっかけが欲しい。その一つがおもしろい本に出合うことである。
せっかくリスタートする読書がスムーズに進むには、おもしろい本が必要なのだ。そうでなく、どうでもいいような本に当たったら、再び中断に陥るかもしれないからだ。
そうならないために読む本は本は慎重に選ばなければならない。
以下は人気のアプリ「新書マップ」から項目別に厳選した面白そうな本、5冊である。
新書マップ・項目28「心理」より
(その1)空気を読む人読まない人
(内容)
空気を読むタイプは、空気を読みすぎて苦しみます。 空気を読まないタイプは、周囲と衝突して苦しみます。 どちらのタイプも結局は自分を押し殺して生きづらさを強くします。 そのうえ、どちらのタイプも、おたがいが嫌いです。 人と人の不仲、いさかい、憎み合いの裏には、かならず二つのタイプの激突が潜んでいます。 二つのタイプは、どうして、わざわざ相手を嫌うのか? 人は必要以上に憎んだり、必要ないはずなのに嫌われたり、必要以上に自分自身まで苦しめてしまいます。 そうなってしまう理由を解き明かして、人間関係と心のつらさを同時に改善する本です。
(目次)
第1部 心と性格のしくみ
【第1章】すべての人は人格系と発達系に分けられる
人の性格は二つの傾向に分けられる
空気は読まない発達系
空気ばかり読む人格系
世間にあふれる人格系
必ずぶつかる人格系と発達系
みんな人格系と発達系のブレンドでできている
生きづらさの正体に迫るために
【第2章】天真爛漫な発達系
自由で正直、世界の中心で今を生きる
空気が読めず誤解され怒らせる
非定型発達という考え方
大人になって発見される発達障害
非定型発達者の生きづらさ
【第3章】周囲が気になる人格系
ルールと気配りの人格系
常識と人の評価に縛られる
「神経症(ノイローゼ)」という言葉の曖昧さ
自己愛性人格障害とは何か
人格系の「もうひとつ」の顔
生きづらくても普通ならマシ
第2部 生きづらさから解放される
【第4章】私のなかの「もうひとりの私」
あなたは人格系?それとも発達系?
心は混成物である
相手によって性格は変わる
心には「無意識」の世界がある
私のなかの「もうひとりの私」
「投影」という心のメカニズム
「もうひとりの私」は反対のタイプ
見破られるだけで「投影」は消えてなくなる
人格系と発達系がぶつかりあう本当の理由
人は心の内でも外でも「もうひとりの私」と対峙している
なぜ人を憎むのか、なぜ生きづらくなるのか
【第5章】自分と仲直りする方法
人間関係を改善するために
ひとりでできる「もうひとりの私」との対話
他人との関係は自分のなかでの仲直りと連動している
真っ先に仲直りしなければならないのは自分自身
心の葛藤がおのずと解消するプロセス
「もうひとりの私」との対話がはじまる
「人格系―発達系」分類の使い道
無意識と対話する深層心理学の技法
無意識の影響がわかる言語連想テスト
アクティヴ・イマジネーションの手順
敬意を払うとはどういうことか
苦悩は悪いものではない
おわりに
(その2)トラウマ 心の傷をどう癒すかか 講談社現代新書
(内容)
自然に治癒することはなく、一生強い「毒性」を放ち、心身を蝕み続ける―。 発達障害と複雑性PTSDの第一人者が、「心の複雑骨折」をトラウマを癒やす、安全かつ高い治療効果を持つ画期的な治療法を解説。イラストによる完全図解と動画を用いて、治療の一部始終を再現する。 あなたは本当にトラウマのことを知っていますか? 質問です。次の問いはYes or No? (1) トラウマは日常的によく起きるものなので、だれでも1つや2つトラウマを持っている 。 (2)日本で一番遭遇する可能性が高いトラウマは、地震などの大災害である。 (3) トラウマは「こころの傷」なので、不安神経症と同様に脳波の異常とか脳の形の変化までは起きない。 (4) トラウマは分かりやすいイベントなので、精神科の他の病気に誤診されることは希だ。 (5) 深刻なトラウマでも、時間が経てば徐々に治ってゆく。 (6) 深刻なトラウマがあっても、それにいっさい触れず、本人も忘れるように努力すればやがて元気に生活ができる。 (7) したがって、トラウマがあっても一般的に体の健康には大きな影響はない。 (8) トラウマの治療には、共感し、傾聴するカウンセリングが何より有効だ。 (9) 深刻なトラウマを負った子どもたちであっても、しっかりと愛情を注ぐことでトラウマの傷を癒やすことができる。 (10) トラウマ治療は時間が大変にかかるので一般的な保険診療では実施できない。 答えはすべて No です。詳しい理由は本書にて 「まえがき」より トラウマとは、抱えきれないほどの辛い体験によって受けたこころの傷をあらわします。重症なトラウマは、自然治癒が極めて困難で、心身に大きなマイナスの影響が生じてきます。この治療のためには、「トラウマ処理」と呼ばれる特殊な心理療法が必要になってきます。しかしこのようなことは十分に知られていないため、トラウマを抱えながら苦闘されている人々が多数存在します。 本書は、深刻な問題を生み出しているトラウマのあまり知られていない知識と、その治療法について書かれています。
(目次)
第1章 トラウマとフラッシュバック
第2章 非科学的だったカテゴリー診断
第3章 発達性トラウマ症と複雑性PTSD
第4章 トラウマ処理がなぜ必要か
第5章 TSプロトコールとはなにか
第6章 効果的な薬物療法を考える
第7章 トラウマ簡易処理 TSプロトコールの実際
第8章 ケーススタディから学ぶトラウマ処理の実際:K氏への治療
第9章 TS自我状態療法 多重人格の病理との対話
第10章 トラウマ治療の実用知識
(その3)
(内容)バカと無知 新潮新書
正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶……人間というのは、ものすごくやっかいな存在だが、希望がないわけではない。一人でも多くの人が「人間の本性=バカと無知の壁」に気づき、自らの言動に多少の注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるのではないだろうか。科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。
(目次)
まえがき
PARTI 正義は最大の娯楽である
1 なんでみんなこんなに怒っているのか
2 自分より優れた者は「損失」、劣った者は「報酬」
3 なぜ世界は公正でなければならないのか
4 キャンセルカルチャーという快感
PARTII バカと無知
5 バカは自分がバカであることに気づいていない
6 「知らないことを知らない」という二重の呪い
7 民主的な社会がうまくいかない不穏な理由
8 バカに引きずられるのを避けるのは?
9 バカと利口が熟議するという悲劇
10 過剰敬語「よろしかったでしょうか」の秘密
11 日本人の3人に1人は日本語が読めない?
12 投票率は低ければ低いほどいい
13 バカでも賢くなれるエンハンスメント2・0の到来
PARTIII やっかいな自尊心
14 皇族は「上級国民」
15 「子どもは純真」はほんとうか?
16 いつも相手より有利でいたい
17 非モテ男と高学歴女が対立する理由
18 ほめて伸ばそうとすると落第する
19 美男・美女は幸福じゃない?
20 自尊心が打ち砕かれたとき
21 日本人の潜在的自尊心は高かった
22 自尊心は「勘違い力」
23 善意の名を借りたマウンティング
24 進化論的なフェミニズムへ
PARTIV 「差別と偏見」の迷宮
25 無意識の差別を計測する
26 誰もが偏見をもっている
27 差別はなぜあるのか
28 「偏見」のなかには正しいものもある?
29 「ピグマリオン効果」は存在しない?
30 強く願うと夢はかなわなくなる
31 ベンツに乗ると一時停止しなくなるのはなぜ?
32 「信頼」の裏に刻印された「服従」の文字
33 道徳の「貯金」ができると差別的になる
34 「偏見をもつな」という教育が偏見を強める
35 共同体のあたたかさは排除から生まれる
36 愛は世界を救わない
PARTV すべての記憶は「偽物」である
37 トラウマ治療が生み出した冤罪の山
38 アメリカが妄想にとりつかれる理由
39 トラウマとPTSDのやっかいな関係
40 人類がトラウマから解放される日
付論1 PTSDをめぐる短い歴史
付論2 トラウマは原因なのか、それとも結果なのか?
あとがき
参考文献
(その4)性格が悪いということはどういうことか ちくま新書
(内容)
あなたにもある「ダークな心」、マキャベリアニズム、サイコパシー、ナルシシズム、サディズム。特性、仕事との相性、人間関係などを心理学が分析。何が問題か?
(目次)
序 章
名前をつけられることで注目される/面接でその人の将来を想像する/面接での直観は信用できるのか/ダークな性格は外在化問題に結びつきやすい/そもそも「性格」とは何なのか/良い性格と悪い性格は合わせ鏡/心理学の中の良し悪しの研究/ダークな性格の測定/ダーク・トライアド研究の広がり
第1章 ダークな性格とはどういうものか
1 四つの典型的なダークな性格
ダークな性格を表現する言葉
2 マキャベリズムとサイコパシー
マキャベリアニズムの発見/サイコパシーという心理特性/典型的なサイコパスとは/サイコパシーの測定ツール
3 ナルシシズムとサディズム
ナルシシズムという言葉の由来/病理としてのナルシシズム/過敏なナルシシズムの側面/ナルシシズムの測定方法/サディズムという言葉の由来/測定されたサディズムの特徴
4 五つ目の性格スパイトと、ダークさの中心
五つ目のダークな性格、スパイトとは何か/ダークな性格の中心
第2章 ダークな性格とリーダーシップ・仕事・社会的成功
1 ダークな性格とリーダーシップ
ダークな性格の代表的な悪徳経営者/カリスマ的リーダーに多いダークな性格/カリスマ的リーダーの代表、ジョブズとマスク
2 職場の中のダークな性格
企業の中でよく見られるサイコパシーな人々/組織での心理的安全性の重要さ/職場の逸脱行動とはどういうものか/ダークな性格と非生産的職務行動/サイコパシー要素がもつ意味
3 ダークな性格が得意なこと
学部専攻に見られるダークな性格の特徴/ギャンブルとダークな性格/他者操作が役立つ仕事
4 ダークな性格は、社会的成功につながるのか
ダークな性格のどんなところが成功につながるのか/ダーク・トライアドと職場の雰囲気
第3章 身近な人間関係の中のダークな性格
1 恋愛関係とダークな性格
恋愛スタイルの六タイプ/見知らぬ人に「今晩、一緒に過ごしませんか?」と言われたら/ナンパとダークな性格の関連
2 ダークな性格の生活スタイル
夜型で街を好む性格/情緒的な結びつきのない性的関係を好む/マッチングアプリとの親和性/マッチングアプリで荒らし行為をする人々/略奪愛とダークな性格の高さ/カップルの満足度とダークな性格
第4章 ダークな人物の内面はどうなっているのか
1 ダークな性格の心理特性
性格の構造/ビッグ・ファイブ・パーソナリティ
2 HEXACOモデルの登場
六番目のH因子とは何か? /心理学の歴史の中の「気質」
3 ダークな性格と自尊感情
「自己肯定感」でなく、自尊感情/ダークな性格と自尊感情の不安定さ/潜在的自尊感情
4 ダークな性格の持ち主は、自己概念が明確でないのか
自己概念の明確さ/オンラインでの自分の出し方/自分の姿をモニタリングする
5 共感性とダークな性格
「認知的共感性」と「情緒的共感性」/ダークな性格と抑うつ・不安/過敏なダーク・トライアド/孤立すると何が起きるのか
第5章 ダークな性格は遺伝するのか
1 性格は、遺伝か環境か
優生学の広がり/心理学における、環境への注目/再び遺伝への注目
2 性格特性は連続的なものである
性格特性の遺伝とは/親から子にどれくらい伝わるのか/集団と個別ケース
3 性格に与える環境の影響
環境と言ったとき、何をイメージするか/双子の研究でわかること/ダークな性格の遺伝率/育てられ方で差が出るのか/予測不可能性はダークな性格を助長する/ダークな性格と生活史戦略
4 自分の中にダークな性格を見つけたら
自分の中にダークさを見つけた脳科学者/性格の安定性とは何か/ダークな性格の安定性
第6章 ダークさとは何か
1「望ましい性格、望ましくない性格」とは何なのか
望ましい心理特性/注目を集めるグリット(やりぬく力)/自尊感情万能論への批判/自尊感情だけ伸ばすのは難しい
2 長所と短所は切り離せない
ギフテッド教育の難しさ/心理特性のネットワーク/行動の動機/七つの大罪
3 社会の中でのダークな性格
ステータス・ゲームからは逃れられない/社会の中での攻撃/長期的な社会の変化/平和はいつまで続くのか/ダークな性格が残る理由/最後に
あとがき
(その5)「自分には価値がない」の心理学 朝日新書
(内容)
あなたは、あなたが思うより価値がある。がんばっているのにつらいことが多い。誠実であるがゆえに生きるのが苦しい。そんなふうに感じている人の心の底には、「どうせ自分なんか」という無価値感が横たわっている。自分が嫌いな人、自信がない人でも大丈夫。本書の方法を積み重ねれば、無価値感は自ずと乗り越えられる。
(目次)
第1章 なぜ、生きるのがつらいのか
第2章 無価値感に翻弄される人
第3章 あなたに無価値感をもたらすもの
第4章 無価値感を乗り越える視点
第5章 自分のなかの「子ども」に別れを告げる
第6章 人生設計という魔法の杖
第7章 仕事で本当の自信をつけるには
第8章 人を大切にすると幸せになる
第9章 楽しむことに罪悪感を抱く人へ
第10章 自分をもっと信頼してあげる
このシリーズ 終り