何故人々は年末にベートーベンの交響曲「第九」を聴くのだろうか。
これまでこのことに関してははなんとなく疑問がつきまとっていたが、積極的にその理由を質してみようとはしていなかった。
それがついこの前の日曜日、いつものように図書館へ行ったときのことである。
例年だと10月末頃から入り口壁際の掲示板に貼ってある年末恒例のアマチュア合唱団による「第九演奏会」の「団員の募集広告」がないことに気づいたのである。
もっとも演奏会については一つだけプロの楽団による「第九コンサート」の宣伝ポスターが張ってあったのだが、私の言っているのはそれとは違う「素人による第九演奏会」のことである。
「あれーどうしたんだろう。中止になったのだろうか、でもどうしてだろう」
その時はそんなふうに思っただけで終わったのだが、家に帰っても「なぜだろう」という疑問は消えず、それについて考えを巡らせているうちに「でも何故年末に第九を聴くのだろうか」という、これまでに何度か思ったことのある別の疑問が持ち上がってきたのである。
その疑問を解くためにさっそくインターネット「google検索」を使って調べてみた。
そして沢山ある回答項目のうち一つを見て驚いた。
まずそれをここに紹介してみる。
「年末になるとあちこちでベートーベンの「交響曲第九番」の演奏会がひらかれるのは、実は日本だけの習慣なのです。
第二次世界大戦後、まだ日本人の生活が苦しかったときに、日本交響楽団が(いまのNHK交響楽団)が、昭和27年の暮れに東京で楽団員のお正月のおもち代を稼ぐために「第九」のコンサートをひらいた。
つまり、チケットを買ってくれる親戚や友人の数も多くなり多くの収入が得られるというわけである。
これがきっかけとなり、日本に「年末といえば『第九』」という習慣がついたという説が有力である」
イ ンターネット「ヤフー知恵袋」より
この回答には正直言って驚いた。
まさかこんな答えが出てくるとは夢にも思わなかった。
私としてはこれを「由緒ある伝統行事」のひとつだと少なからず思っていただけに、そうしたことに対する回答を期待していたのである。
それがこんな「単純な理由」でずっと続けられていたとは・・・。
「日本だけの習慣」でとか「楽団員が『お正月のもち代』を稼ぐ目的で始めたのがきっかけ」だとは、聞くだけでもまるで馬鹿らしくなるような理由ではないか。
なにか騙されていた気持さえしてくる。
対象が大作曲家ベートーベンの名曲であるだけに、もっと「もっともらしい理由」があると思っていただけにひとしおである。
私はコンサートには行かなかったが毎年「年が押し詰まってきた頃」には必ずCDでこの曲を熱心に聴いていたのである。
もちろんこの曲自体はいつ聴いてもすばらしくてよかったのだが、「年末に聴くものだ」という理由付けがいっそうこの曲に付加価値を加えていたのだ。
でも、もうそうした付加価値は期待できなくなった。
あーあ、こんな私が馬鹿だった。
そういうわけで、今年この曲を聴くか聴かないかは目下検討中!である。
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