久々に落合が中日に帰ってきて、まず手をつけたのが選手の年俸カット。
その額たるや総額で10億円にも達するという。
特にすごいのが井端選手で、2億5000万円から88%もカットされ、3000万円を提示されたという。
さすがに井端もこれは飲めず自由契約の道を選んだ。
しかしこんな大胆なことが落合を除いて他の誰ができるだろうか。
この大ショック療法ともいえる大治療を施した中日ドラゴンズの来年が実に楽しみである。
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やはり落合はやることがすごい ・ 週刊現代が伝える中日ドラゴンズの減俸旋風
かつて球界最高年俸を獲得した落合がいま、選手に大減俸を宣告している。評価は賛否両論あるが、一つだけ明らかになったことがある。それは落合がいたほうが、プロ野球は盛り上がるということだ。
プロなんだから当たり前
前中日監督の髙木守道が言う。
「結果を残せなかったんだから、私が監督を退くのは当たり前のことです。プロ野球は勝ってなんぼの世界ですからね。そして、弱くなったチームを立て直すために強烈なリーダーシップを持った人間を招き入れる、これも当然です。
自分で言うのもなんですが、いまの中日には勝てないチーム特有の緩みがある。それを立て直すには、落合博満を起用するしかないと、球団が判断したということでしょう」
その口調はサバサバしており、そこからは逆に「相手は落合だから、張り合っても仕方がない」という諦めのような感情も伝わってきた。
中日の新GMとなった落合博満(59歳)が、血も涙もない年俸カットを断行している。
吉見一起・1億1600万円減、和田一浩・8000万円減、荒木雅博・6800万円減、浅尾拓也・5500万円減……
主力選手に対しても全く容赦はない。11月4日から始まった契約更改の減俸総額はすでに6億円超。最終的には10億円近くのコストカットをすると見られている(年俸・減俸額は推定。以下同)。
この大リストラの口火を切ったのは、2億5000万円から88%ダウンの3000万円を提示され、自由契約を選んだ井端弘和だ。評論家の江本孟紀が言う。
「落合GMは井端に対し、『戦力外の選手に金額は提示しない』とコメントしましたが、いくら何でもその言い方はないだろうと思いましたね。
『提示した金額に納得しなかったから、退団した』ということを強調したかったわけでしょ。88%ダウンなんて、実質的にはクビの宣告と一緒です。そう簡単に判は押せないに決まっているじゃないですか。功労者に対する仕打ちとしては、あんまりですよ」
監督時代、落合と井端は師弟関係だった。落合自らバッティング技術を伝授し、セカンドのレギュラーに固定。井端もその期待に応えて、黄金時代を支えた。
しかしそんな蜜月関係にあった井端だからこそ、落合は切って、他の選手への見せしめにしたのだ。
「関係悪化を決定的なものにしたのは、今年のWBCでの井端の大活躍です。'09年のWBCに、落合は中日から一人も選手を出さなかった。
大事なキャンプのときに主力に抜けられては、優勝できなくなるからです。しかし井端は、自分が嫌ったWBCに喜んで出場し、国民の英雄になった。そんな井端は落合の『子飼い』の資格を失ったんです」(スポーツ紙中日担当記者)
無情にも追いやられた井端を見てなお、落合に歯向かおうという選手はいない。チーム内ではすでに、「恐怖政治」が始まっている。
前出の髙木は言う。
「私は、プロなら他人にとやかく言われなくても責任感を持って野球に取り組むはずだ、という意識で監督を務めていた。しかし落合君は、選手が必死になって野球に向き合わざるを得ない環境を意図的に作る人です。
多くの選手へ年俸の大幅ダウンを提示した今回の契約更改にしても、たるんだ選手の気持ちを引き締め直すのが目的でしょう。選手はすでに、『結果を出さないといつクビを切られるかわからない』と緊張感を持っているはずです」
一方、今季頑張った4年目の岡田俊哉の年俸を5倍以上に上げるなど、「アメ」も忘れていない。
「彼らは年俸が安く、コスト削減にあまり影響しないですからね。『やった者は報われる、やらなかった者は落ちていく』という発言はたしかに正しいのでしょうが、正直、外資系の経営者のようで共感はしませんね……」(前出の記者)
週刊現代 11月30日号より