2013年12月14日土曜日

「風立ちぬ」の宮崎駿 大いに語る ・ 書評 対談集「腰抜け愛国談義」 宮崎駿&半藤一利著 文春ジブリ文庫


「風立ちぬ」を最後に、惜しくも引退を発表したアニメ界の巨匠、宮崎駿氏は今年72歳、また元文芸春秋編集長で作家の半藤一義氏は今年83歳であるから、二人合わせると155歳にもなる。


だがこんな歳になるまでお2人は面識がなく、今回が初顔合わせだという。


ご高齢とは言え、お2人ともじつに元気ハツラツとしており、会話は留まるところを知らず、対談は絶好調で進展していく。この対談に費やした時間はじつに7時間以上に及んだのだと言う。


まず冒頭では、お2人が共通して大ファンだという文豪「夏目漱石」について、人にあまり知られていないような多くの逸話が紹介されている。


何でも半藤一利氏の奥さんが漱石の家系であるため、珍しい情報をふんだんに知っているのである。


数ある漱石の作品の中で最高傑作は「草枕」であることについては2人の意見は一致した。


漱石の話の次は、今度はわが国の戦争に使われた戦闘機や戦艦の話に移るのだが、こちロらの方でも宮崎駿氏の祖父が飛行機製造会社の創業者であり

また父親がそこの工場長を勤めたということで、飛行機に関する知識はじゅうぶん過ぎるほど持っており、話は次々と進み留まるところを知らない。


その話が終わると、今度は「風立ちぬ」という今回のアニメのテーマについて、堀辰雄との関わりなどを昭和史を通しての話としてがどんどん展開されていくのだが、2人の専門分野を超えた博学ぶりには驚かされてしまう。


漱石論から始まった文学談義、戦前戦中を通した体験談、さらに風立ちぬの創作秘話など博学の老大家お2人による滅多に聞くことのできない貴重な対談である。

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書名 「腰抜け愛国k談義」
著者 半藤一利&宮崎駿
定価 570円
2013年8月発行
文春ジブリ文庫

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半藤一利
1930年、東京・向島生まれ。
東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。松本清張、司馬遼太郎らの担当編集者をつとめる。「週刊文春」「文藝春秋」編集長、取締役などをへて作家。「歴史探偵」を名乗り、おもに近現代史に関する著作を発表。
著書は『日本の一番長い日』、『漱石先生ぞな、もし』(正続、新田次郎文学賞)、『ノモンハンの夏』(山本七平賞)、『幕末史』など多数。『昭和史 1926-1945』『昭和史 戦後篇 1945-1989』で毎日出版文化賞特別賞を受賞。

宮崎駿はやお
生年月日 : 1941/01/05 出身地 : 東京都文京区
学習院大学卒業後の1963年、東映動画に入社。その後いくつかのプロダクションを経て、「未来少年コナン」で初の演出を手掛ける。「ルパン三世 カリオストロの城」(79)で劇場映画監督デビュー。84年には個人事務所、二馬力を設立した。また同年「風の谷のナウシカ」のヒットにより、アニメ作家として広く認知されることに。そして85年、その制作母体からスタジオジブリを設立。その後は「天空の城ラピュタ」をはじめ、「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「もののけ姫」など、子どもから大人まで幅広い支持を集める名作を次々と発表、日本アニメ界の第一人者として確固たる地位を築くとともに、海外でも高い評価を獲得、日本アニメの世界的な地位向上に大きく貢献する。01年の「千と千尋の神隠し」では、アカデミー賞長編アニメ賞やベルリン国際映画祭金熊賞、日本アカデミー賞作品賞など国内外の映画賞レースを総なめにした。



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