いかに就職難とは言え100社にもエントリーするのは異常ではないのか
入社試験に受験料を取る話など聞いたこともありません。でも昨今では実際にこうした会社が出てきているのです。
でもなぜ会社のイメージを損ないかねないようなこういった方法を採るのでしょうか。それには最近の就活事情を反映した深い事情があるのです。
皆さんは最近の大学生が就活に際して、どれぐらいの数の会社にエントリーするかをご存知でしょうか。
実はこのエントリーの数ですが、年を経るごとに増えており、今では100社を超える会社にエントリーを行う学生すら珍しくないのです。
100社のエントリーと聞けば、知らない人はそんなに多くの数が可能なのか、と疑問に思うかもしれませんが、実はエントリーとはそんなに大変なことではないのです。
それはほとんどの会社がウェブサイトを通して簡単にできるようになっているからです。
会社のホームページにはエントリー用のフォームがありますから、それに必要事項を書き込みさえすれば、それでエントリーは終わるのです。
この簡単さがエントリーの数を必要以上に増やしているのです。とは言え、いかに就職難の時代でも100社以上のエントリーは異常と言えば異常です。
考えてもみてください。一人が100社以上エントリーするとすると学生全体ではいったいどれくらいの数になるのでしょうか。
いまはウェブサイトで簡単にエントリーができますから、ほとんどの学生がこのエントリーに加わると考えれれます。
もちろん企業によってエントリー数は違うでしょうが、人気企業ともなるとその数は膨大なものになるのではないでしょうか。
千単位でしょうか、万単位でしょうか。おそらく数万単位に及ぶ企業もあるのではないでしょうか。
何しろ簡単にエントリーできるのですから、数が多くなるのは容易に想像できます。これは受け付ける会社側としては大変なことです。
なぜなら何千であろうと、何万であろうと、エントリーしされたものに対してはすべて目を通さなければならないからです。
でも、いかに大事な就活のエントリーだとは言え、すべてが真面目なものばかりではなく、中には「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」式のひやかし半分に行われるものもあるのではないでしょうか。
これではまともに目を通す側としてはたまったものではありません。
これはもう弊害と言ってもよく、エントリー制度の健全な意味さえ失ってしまいます。いま企業側もこのことに気づいたのです。
したがって最近ではあえてネットでのエントリーシステムから撤退する企業も増えているのです。
今回ニコニコ動画のドワンゴの入社試験に受験料を採りいれたのも、あまりにも多いエントリーの数に対する対策なのではないでしょうか。
つまり本物のエントリーだけに絞るため、あえて受験料徴収の道を選んだのです。
でもこうした目的なら、たった2500円ぐらいの受験料の徴収が悪いとも思えません。
こう考えるのは、多分私だけではないと思います。
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ドワンゴに入社受験料の中止要求 厚労省が口頭で助言
ニコニコ動画を運営するドワンゴは3日、入社試験を希望する学生から受験料をとる制度について、厚生労働省から、2016年春入社向けの来年の試験からは中止するよう口頭で助言を受けたと発表した。職業安定法に基づく措置という。来年も受験料をとるかどうかは、いまの段階では未定だという。
ドワンゴなどによると、厚労省は受験料制度が、働く人を集める際の「報酬」の受け取りを禁じた職業安定法に違反する可能性があるとみている模様だ。ほかの企業にも広がり、お金を払える人だけが採用試験を受けられる状態になることにも懸念を示したという。
ただドワンゴは「就職の機会を奪うほど高額ではない」と反論している。同社は、本気で入社したい就活生だけに、受験してもらいたいとして、東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県に住む人を対象に、2525円の受験料をとっている。2月26日時点で、応募者数は前年同期より64%減った。
ドワンゴは「応募者の評価に時間をかけられる」などと、受験料制度の効果は出ていると評価している。(伊沢友之)
朝日新聞 2014年3月4日
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