不名誉にも日本女性がトップ
いま日本では少子化が極めて深刻な問題になっており、政府がこれに対して様々な対策を打ち出している。
たとえば高額な出産費用を1回につき50万円支給というような、一昔前では考えられないような太っ腹で大胆な施策も打ち出している。
その他、国が打ち出している子供の育児、養育に対する支援策は、多すぎて数えきれないほどたくさんある。
それなのに、このほどOECDが発表したデータ(上のグラフ)で、日本は「子どもを産まない女性比率」が国際ランキングでトップになっているのだ。
これを見た国民は、「本当なのか?」と、大きな驚きを抱くと同時に強いショックを受けるに違いない。
それに加えて、当事者である女性は、なんとも言えない屈辱感に苛まれるのではないだろうか。
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OECD 子どもを産まなかった女性の比率国際比較データを発表
1970年に生まれ、2020年に50歳を迎えた女性の出産未経験比率をOECD各国について見てみると、最低はメキシコの6.3%、最高は日本の27.0%となっている。
日本は2位のフィンランドの20.7%を大きく上回っており、子どもを産まなかった女性が先進国トップ、事の性格上、ほぼ確実に世界1多い国である。
韓国のデータがないが、現在の合計特殊出生率はOECD諸国の中でも韓国の方が日本より低い(図録1550)。すなわち現在では子どもを産む女性が韓国の方が少ない。とはいえ、2000年以降にそうなったのであるから50歳時の出産未経験率は韓国の方が低いと思われる。
データのある主要先進国(G7諸国)の順位を高い方から掲げると以下である。
1.日本 27.0%
2.英国 20.5%
3.カナダ 19.9%
4.米国 11.9%
ドイツやフランスのデータがないのが残念であるが、この範囲でも差が大きい点が目立っている。米国の場合特に値が低いが、図録8650で見たように黒人やヒスパニック系の出生率が以前はかなり高かった影響もあろう(今では非ヒスパニック白人とそう大きな差はない)。
2005年(一部2000年)段階の出産未経験女性比率からの変化を見ると、比較可能な21か国中、低下したのは6カ国と少数派であり、大方は上昇していることが分かる。世界的に子どもを産まない女性が増えているのである。
特に日本は11.9%から27.0%へと2倍以上に増加している点が目立っている。増加幅も世界1となっている。
こうしたデータをもとに「日本人50歳女性”27%が生涯子供いない”の示す事~未婚、貧困、子育て難、不安、価値観の多様化~」と題されたオンライン記事(2023/01/30)が東洋経済オンラインに掲載されているので参照されたい(ここ)。
このデータと関連して、女性は子どもを産むべきかについての考え方が政界、言論界で大きな波紋を呼ぶ事態が最近も起こった。
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2024年5月18日に静岡県知事選応援演説における地元選出の上川陽子外相のこの発言の「うまずして何が女性」の部分が見出しとして報じられ、衆議院総選挙がいずれ行われるという気運の中、総理候補の1人という声もある上川外相の考え方が女性への配慮に欠ける自民党の古い考え方だのあらわれだと批判された。
翌19日、真意と違う形で受け止められかねない発言だったとして上川外相は発言を撤回。同日、岸田文雄首相も「誤解を招く表現は避けるべきだと私も思う」と語った。一方、発言が撤回された後も「言葉狩り」「切り取り」などとして発言を擁護し、女性への配慮を求める側を批判する言説がSNSで広がった(東京新聞「こちら特報部」2024.5.23)。
なお、上川発言と関連して、同じ静岡県選出で当時厚生労働大臣だった柳澤伯夫衆議院議員が講演の際に例えで使った「産む機械」の発言がやはり切り取られて報道され大きな波紋を呼んだ事件が思い起こされる。静岡の県民性からは、県民が保守的ということではなく、気候が温暖でのんびりした風土ゆえ、自分の発言の影響力について警戒心が足らぬのであろ
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データの対象国は、図の順にメキシコ、ポルトガル、チェコ、エストニア、ノルウェー、スロバキア、ハンガリー、米国、スウェーデン、リトアニア、スロベニア、デンマーク、ギリシャ、ポーランド、オランダ、アイルランド、スペイン、カナダ、英国、オーストラリア、フィンランド、日本である。
出典:社会実情データ図録
(2024年5月23日収録)。
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