2018年6月6日水曜日

このエッセイ集がすごい!これぞ珠玉のエッセイ36編 ・ 書評 「直木賞受賞エッセイ集成」 文芸春秋


直木賞受賞実力派作家36人による名文集


分厚い読み応えのある本でした。

それもそうでしょう。36人の作家が一人20枚もの原稿を書いているのです。

単純に計算しても20×36=720ですから、400字原稿用紙720枚の量になるのです。

これは普通の本の2冊分に当たります。

量だけではありません。質の方も負けてはおらず、下の収録内容が示す通り、まさに滅多にないほどの珠玉の名編揃いなのです。

収録作品はこれ

  • 愛憎のイナズマ / 山本文緒 [著]
  • 「早稲田文学」のこと / 重松清 [著]
  • 母親の顔 / 藤田宜永 [著]
  • 今までも、これからも / 唯川恵 [著]
  • もうひとつの『あかね空』 / 山本一力 [著]
  • 残したい情景、残したくない自分 / 乙川優三郎 [著]
  • 人には〈幸福とは呼べぬ幸せ〉を選ぶ自由がある / 村山由佳 [著]
  • 一九九六年四月、牡羊座の運勢は / 石田衣良 [著]
  • 恋愛は無敵だと書きたい私としては / 江國香織 [著]
  • やっぱり、日本的なものが好きなんです / 京極夏彦 [著]
  • 十年経って言うのもなんだが / 奥田英朗 [著]
  • わがままであまのじゃく / 熊谷達也 [著]
  • 書くこと、旅すること / 角田光代 [著]
  • あのカバンの意味を探して / 朱川湊人 [著]
  • 楽しいゲームでした。みなさんに感謝! / 東野圭吾 [著]
  • 父に捧ぐ / 森絵都 [著]
  • 生きるとは、本を読むこと / 三浦しをん [著]
  • 「受付の人」が引っ込んでから / 松井今朝子 [著]
  • 絶望が花よ / 桜庭一樹 [著]
  • ずっといる / 井上荒野 [著]
  • 思い起こすままに / 天童荒太 [著]
  • 本のある家 / 山本兼一 [著]
  • どこ行くの / 北村薫 [著]
  • 卵の殻のむけるまで / 佐々木譲 [著]
  • 何もかも全部、小説のせい / 白石一文 [著]
  • いつでもどこでも書いていた / 中島京子 [著]
  • いい気になるな / 木内昇 [著]
  • 小さなノートといっしょに失くしたもの / 道尾秀介 [著]
  • 田舎育ちの乱歩好き少年 / 池井戸潤 [著]
  • 青春という闇の匂い / 葉室麟 [著]
  • 十七歳のサイン会 / 辻村深月 [著]
  • ルーレットの目 / 朝井リョウ [著]
  • 道中四景 / 安部龍太郎 [著]
  • 愚かで愛しい時間 / 桜木紫乃 [著]
  • 毛玉たちへ / 朝井まかて [著]
  • 原稿用紙に書く前 / 姫野カオルコ [著]



36人の作家・渾身のエッセイ


作家は小説だけでなくエッセイもよく書きます。でも上手な小説が書ける人がエッセイも上手かと言えば、それは少し違うようです。

こちらが期待して読んだ作品がつまらなくて失望することも時にはあります。

作家と言えどもいつでも読者を満足させる作品を書くことはできないのです。

その原因はテーマの選択ミスであったり、書くタイミングの問題などいろいろあるでしょう。

とは言え、稀ではありますが、アンソロジーとして1冊にまとめられたエッセイ集のすべての作品が素晴らしい本も中にはあります。この本がまさにそれに当たります。

ここには上に挙げたリストのとおり36人の作家のエッセイが1篇づつ収められていますが、そのすべてが優れた作品なのです。

これほどの作品が一堂に会すると、中には、不出来な作品が混じっていても不思議はないのですが、それがないのです。

すべての作品が作者が精魂を込めて書いた名エッセイなのです。

まさに稀に見る珠玉のエッセイ集と言っても過言ではありません。


なぜこれだけすばらしい作品が書けたのか


このエッセイ集を読んでいて強く思うことは、よくもこれだけすばらしいエッセイばかり36篇もそろったものだ、ということです。

それにしてもなぜこれほど素晴らしい作品ばかりが書けたのでしょうか。それはこの本のタイトルを見ればわかります。

あらためて眺めてみますと、この本のタイトルは「直木賞受賞エッセイ集成」となっています。

これで分かるように、ここに収録された作品はすべてが直木賞受賞者が執筆したものです。

しかも受賞記念エッセイとして文芸春秋発行の「オール読物」誌上に掲載されたものばかりなのです。

直木賞を受賞するような作家ですから、言うまでもなく実力派ぞろいです。

その実力派作家が直木賞受賞を記念して書いたエッセイですから良い作品でないはずがありません。

どの作家も受賞の感激もあって、執筆意欲は最高潮に達していたはずですから、おのずと良い作品が生まれるのです。

つまり、モノを書くタイミングが良く、それに旺盛な意欲が重なり、それが相乗効果となって、その結果良い作品が生まれたのです。

作家と言えども、いつも良い作品が書けるわけではない


上でも書きましたが小説の上手な著者が書いたエッセイが必ずしも良い作品とは言えません。

時には、こんなつまらない作品があの作者が書いたものだろうか?と、読んで落胆することもあります。

でも文章のプロである作家がなぜつまらないエッセイを書くのでしょうか。

思うに、その原因は二つあります。一つは作品を多く書き過ぎてネタ切れになっているのです。

エッセイのネタは何でもいいわけではありません。読者を惹きつける面白いエッセイを書くためには、材料であるネタが良くなくてはいけません。

もう一つの理由は原稿に締め切りにあります。人気作家はいつもたくさんの仕事を抱えています。

週刊誌や月刊誌の小説やエッセイの連載物、書下ろし小説、などいつも大量の仕事を抱え締め切りの追われています。

そのため締め切り間際になった時など、時間に追われ、つい不本意な内容の作品を書いてしまうのです。


エッセイで20枚を書くのは難しい


エッセイはよく読む方ですが、これまで読んだものに原稿用紙20枚にも及ぶ長いものはいそれほどありませんでした。

たいていは4~5枚、長いものでも8~10枚が良いとこです。

でも今回は36人の作品すべてが400字詰め20枚の長い作品ばかりなのです。


この作品を後に読んだ「ベストエッセイ2015」と比較してみた



直木賞受賞エッセイ集成がいかに優れた本であるかを証明するために、同じようなアンソロジー型の他のエッセイ集と比較してみることにしました。

比較の対象に挙げたのは最近読んだ「ベストエッセイ2015」です。

この本の概要は以下になります。

・収録作品 76
・1篇 2000~8000文字
・日本文藝家協会編
・編集委員 門田光代、林真理子、藤沢周、町田康、三浦しをん
・光村図書

この本は作家に限らず、2014年度にあらゆる新聞、雑誌に取り上げられたエッセイから上記選考委員によって選ばれた作品が掲載されています。

読む前は「直木賞受賞エッセイ集成」同様に面白い作品ばかり載っているのだろうと、期待していました。しかしその期待は外れました。

全76編のうち、良かったと思われるものはわずか10作品程度で、まあまあ、が30作品ぐらい、残りはどうでもいいような、いわば駄作とも言える作品でした。

要するに「直木賞受賞エッセイ集成」に比べて、大きく見劣りがしたのです。

この比較の結果からも、「直木賞受賞エッセイ集成」がいかに優れているかがよく分かります。


2018年6月3日日曜日

美しいものや、きれいなものを見たときは何という               



日本語では目の正月、英語では Eye Candy


作家・山田詠美のエッセイ集を読んでいたら

アメリカ人はきれいなものや美しいものを見たとき Eye Candy(アイキャンディ)という言葉をよく使う、と書いていました。

前夫がアメリカ人で、英語通の彼女が言うことですから間違いないでしょう。

Eye Candy、なかなかしゃれた言葉ではないですか。一度つかってみたいものです。

ちなみにEye Candyにあたる日本語は「目の正月」とか「目の保養」になります。


美人に会ったら言ってみよう


美しい女性に対する誉め言葉はいろいろあります。でも「きれいですね」とか「美しいですね」と言うだけでは芸がなさすぎます。

美人にあった後、別れ際にこう言ってみてください。「今日はステキな目の正月ができました」と。

こう言われた相手はおそらくしばらくの間とても気持ちよく過ごせるに違いありません。

目の正月とはきれいなものや美しいものを見たときの晴れやかな気持ちを表現する言葉です。

正月は晴れやかで華やかなものです。それに例えられた女性が喜ばないはずがありません。


目の正月は英語でEyeCandyという?


上述のように日本語の目の正月に当たる英語は Eye Candyです。文字通り「目においしいもの」という感じがよく出ています。

これを使った英文は次のようになります。


・The sunrise which I saw at Mt. Fuji last year was the best eye candy that I had ever seen.

(去年、富士山で見た日の出は今までで一番の目の保養になりました)

・She is eye candy.

  (彼女を見ると目の保養になる)
    (彼女は見た目は素敵だが、その素敵さは表面的なものだ)
                                                  TECH・BIZ・ENGより


目の正月の反対語は「目の毒」ではない


では目の正月の反対語は何になるでしょうか。

単純に考えれば目に悪いものと言う考えから、目の毒、あるいズバリ反対の意味の「目の葬式」あたりが思い浮かびますが、果たしてどうなのでしょうか、

ヤフー知恵袋によれば「目の毒」の意味は下の通りです。

なお「目の葬式」というのは見当たりません。


「目に毒」
(それを見ると欲しくなる、誘惑に負けそうになる)
たとえば、ダイエット中においしそうなケーキを見るのは「目に毒」です。

2018年6月1日金曜日

人は締め切りがないと動かないのか


このタイトルでブログを書くことになった理由は?


そもそもこのブログを書くきっかけになったのは返却予定日が迫っている本を

どうしたら読み終えることができるかと考えたからです。

つまり3日後の返却日までにどんな方法をとったら分厚い本を読み終えることができるかを考えてのことなのです。

滅多にないような素晴らしい本で、なんとしても読み終えたいと思ったのです。

いろいろ考えた結果出てきた結論は、返却予定日の日に図書館に行って一気に読むことでした。

家だと別のことに気が行き、本だけに集中できないと思ったからです。

その点図書館なら読むことだけに集中でき、締め切りまでに読み終えることができるはずです。

いろんなことをくどくど言っていますが、要するに何を言いたいかと言えば、借りた本を無事読み終えることができるのは、返却日という締め切りのおかげだということです。


締め切りがないと物事は前には進まない


上で書いたように図書館で借りた本を期日中に読み終えることができるのは返却日という締め切りがあるからです。

もし返却日がなければ、決してスムーズにはいかなと思いいます。

つまり、だらだらと読むのを先延ばしして、いつまでたっても読み終わらないことになるに違いありません。

それを証明するには、自分で購入した本のことを考えれば明らかです。

私の場合、本は自分で購入するものが3分の1、図書館で借りて読む本が3分の2の割合です。

これで分かるように、購入するものより図書館で借りるものが圧倒的に多いのです。

ところが読みかけで本棚に並んだままになっているのはすべて購入した本です。

図書館で借りた本は1冊も本棚に残ってはおらず、すべて返却日までに返しています。

返却日という締め切りがあるおかげで読み終えることができるからです。

一方、何時までも読みかけのまま本棚に残っている本は、借りた本のように読み終えの締め切りがない購入した本ばかりなのです。


図書館で借りた本は返却の締め切りがあるから読み終えられる


図書館で借りる本は2週間(14日)で返却しなければいけません。そのため借りた本はなんとしても返却日までに読み終わらなければいけないのです。

そのために返却日を目途に読み終えようと努めます。その結果に予定通り読み終えることができるのです。

つまり返却日という締め切りがあるからこそ、読み終えることができるのであって、これがないと上述の自己購入の本のように、いつまでたっても読み終えることができない本が増えていくに違いありません。

月刊誌は次の号が出るまでに読み終える


本を読み終える締め切りがあるのは図書館で借りる本だけではありません。

私は月間雑誌の文芸春秋を毎月購入しています。購入した月刊誌にも読み終える締め切りがあります。

月刊雑誌ですから言う迄もなく毎月新しい号が出ます。と言うことは、その月の雑誌は次の号が出るまでに読み終えてしまおうといういう気持ちになります。

その結果、コンテンツの多い分厚い雑誌なのですが、なんとかその月のうちに読み終えることができます。

つまり、次の号が出るまでが読み終える締め切りになっているのです。


作家は締め切切りがないと作品は書けない


作家のエッセイなどを読んでいると、締め切りについて書いている文章によく出くわします。

そうなのです。作家ほど締め切りに縁がある人種は他にいないのです。

作家は絶えず締め切りと闘っており、これがあるからこそ予定通りに次々と作品を生み出していくことができるのです。

締め切りは英語でdeadlineという


締め切りという日本語を英語で言えばdeadlineになります。

これを直訳すれば死線と言うことになりますから、聞きようによっては怖い言葉です。

つまりこの先は死しかないということで、先がないことと同じです。要するに締め切りには先がないのです。

と言うことは何としても締め切りに合わさなければならないのです。

その結果作家は必死になって締め切りまでに作品を仕上げるのです。

作家によって次々と作品が生み出され、また作家という職業が成り立つのは、締め切りがあるからかもしれません。


締め切りの最大のメリットは集中できこと


物事をなすために必要なのは集中力です。集中とは目標に向かって一点に力を集めることです。

でも言うのは易しくても集中は簡単にできることではありません。

人は難しいことに直面すると何かと逃げ道を見つけようとします。

でもdeadlineとも言われる締め切りを前にすると、もう逃げ道はありません。締め切りが逃げ道を断ってしまうからです。もうやるしかないのです。

こう思うと、やることだけに気持ちが向き、集中して目標に当たることができるのです。

これこそが物事を成し遂げるための締め切りの最大のメリットなのです。