様々な紆余曲折を経て、いよいよ2011年の来年度から小学5,6年生を対象にした週一コマの「英語の授業」が正式に始まることになっている。
だが、はたして教職員や父兄を初めその他の関係者はこの授業にいったいどれくらいの効果を期待しているのであろうか。
もちろん授業展開にはプロのネイティブスピーカーをはじめ、その助手にも児童英語指導の専門教師があたるのであろうが、授業の質とか展開方法はさておき、最も気になるのは週一コマという授業の量である。
かつて私は17年間に渡り、ある民間の児童英語教育関連の組織に所属していた。
その17年の期間を通して、ずっと模索を続けていたのは「学習効果」という問題であった。
全国規模で幼稚園児と小学生を対象にして「英会話」を指導していた組織であるが、私の管理下の兵庫県の一部の教室だけでも、多いときには600名もの生徒を抱えていた。
授業は週一回60分で、その量の少なさが効果をあげる上での大きなネックになっていた。
そのため父兄の協力を得て、生徒が自宅で予習、復習を含めて、どれくらい多くの時間を授業のフォローに当てるかが、効果を考える上で大きな課題になっていた。
考えてもみて欲しい。
いったい週一時間という時間の量が、子供が持つ全体の時間に対してどれだけの割合を占めるのかということを。
大人にも子供にも、人には皆一律に一日24時間がある。
その内平均的な睡眠時間8時間と、予備の1時間を除くとして、平均的に15時間ぐらい、世の中と接する時間がある。
それが一週間だと15×7で105時間となる。
その105時間の内で、英語の授業を一時間とすると、子供が起きている時間の実に105分の1でしかないのである。
つまり予習復習などせずに、他の時間にまったく英語の接しないとすれば、残り104時間は子供たちはずっと日本語を媒体として世の中と接しているのである。
だとすると、この週に一時間だけ学んだ英語というものは、瞬く間に圧倒的な量の104時間の日本語の中にうずもれてしまい、時を待たずして見る影をなくしてしまうのではないだろうか。
そうならないためには学校での授業以外に、できるだけ多くの時間、子供たちが英語と接する機会をもつようにしなければならず、そのためにはビデオなどの視聴覚教材を使った自宅学習の奨励を徹底し、父兄の後押しを得てそれを強力に実行していかなければならない。
そうしない限り、効果などを期待することはできないのではないだろうか。
半年先に迫っている小学校英語授業開始を前に、関係者はこのことについて今一度よく考えてみて欲しいものだ。
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